ユキ・シオン

準備体操よーい

１４Ｐ

「プッ！クッ、クククッ……お前、俺が真顔で黙ってたら怒ってると思うんだなぁ？前にもそんなことがあったし、ちょっと試してみたらそんな不安そうな顔をして。可愛いよなぁもう」


「怒ってねぇのかよ！しかも俺を試すとか、サイテーだなっ！クッソ……笑うんじゃねぇ！俺の心配を返せバカッ！下手くそっ！」


　ベッドの横まで歩くとそこで我慢の限界が来たのか、肩を震わせて笑いだす。マジでムカツク。


　真顔で沈黙なんて、急にされたら誰だって怒らせたって思うだろ？悠一だって俺に同じことをされたら絶対、俺みたいに不安になってご機嫌を取ろうとするはずだ。


　暴れてやった。大暴れ。悠一の腕の中で両腕と両足を盛大にバタつかせ、けどビクともしねぇ。


　さすがに猫科最強のライガーの名は伊達じゃないんだななんて考えていたのもつかの間。俺は「はいはい、暴れない暴れない」とあやされながらベッドに下ろされた。


　落とさないようにゆっくりと。ベッドの真ん中あたりに俺を座らせた悠一は隣に座り、頬を撫でる。深い深い黄色の瞳で見つめる。


　温かくて優しい手が気持ちいい。その手に自分の手を重ね、目を閉じてスリスリ。あ、もっと撫でてほしかったのに離れた。どうして？