ユキ・シオン

待ち望んでいた

６Ｐ

「はっ、はっ、はっ……やば、も……イくっ！」


　ずっとつかんでいた、シオンの服の後ろが伸びてしまうくらい強く握りしめ、俺はゴムの中に熱を吐き出した。


　と、同時にシオンの体がビクビクッ！と震えた。ま、まさか！？


「おいおい、全然触ってないのにイったのか……」


「はーっ、はーっ、はぁ、っ……あ、うぅぅ……悠一のイジワルっ！今夜してくれなきゃ絶対許さねぇからっ！！バカァッ！！」


　…………この可愛すぎてヤバい怪物は何だ？


　体の痙攣が止まらないで、顔を真っ赤にして泣きながらギンッと睨んできて、可愛すぎる言葉の暴力をふるいながら抱き着いてきた怪物。


　ドンッ！と容赦ない体当たりに息が詰まったけれど、しがみついて痴態に泣きわめく子猫なシオンが可愛い。クソ可愛い。


　まさかとは思ったけれど、ゴムをつけていて正解だったなぁ。この子がこんなにも感じやすいとか。俺のせいか？


　中に入れないからって、元ネコヒメだからって、この１週間体中をくまなくいじっていたからなぁ。


　３５歳の、いい歳した大人が。今までシオンに触れたネコヒメの客全てに嫉妬するなんて。触れられた、汚された、痛めつけられた過去は変えられないっていうのに。


　俺は「どんなことをされていたんだ？」って聞いて、それら全てを俺で上書きした。


　今思えばユキ・シオンと出会う前。ネコヒメが商売の最中に俺がタバコを吸っている時から、俺はコイツが好きだったのかもしれない。顔も見たことがないのに。


　この街にいてよかった。俺が昔この街から出て行こうとした時、俺を引き留めてくれたのが“あのお方”だった。


　体中大怪我を負って街を逃げ回っていた俺に「助けてあげますよ」と、救いの手を差し伸べてくれた。