ユキ・シオン

待ち望んでいた

２Ｐ

「どうした、顔が真っ赤だぞー？」


「な、なんでもねぇよっ！クソッ、尻尾が邪魔……とりあえず、これが消えるまでバイトは休みでいいってさ」


「俺は明日から職場復帰だけど。そうやって隠していくつもり？かなり危険だなぁ。あぁほら、そうやってすぐに出てしまうとヤバいでしょ」


　耳はパーカーのフードか帽子で隠しているから外れない限りはバレない。室内でずっと帽子をかぶっていると不審な気がするんだが。


　けれど尻尾は。何かと敏感になっているシオンは触れられるだけでビクンッ！と反応してしまって、ズボンの中から尻尾が飛び出してしまう。


　俺は“あのお方”のおかげではく奪されていた免許を取り戻し、仕事も明日から復帰。


　嘘だったとはいえあらぬ噂が流れたあとだし、生徒からも教師からも避けられるだろう。好都合。今までのように保健室でのんびり寝てやる。


「なら早く何とかしてくれよ。あんたならできるだろ？」


　突っ込んでも突っ込んでもピョコンッと飛び出す尻尾を諦め、出したままフードも外して俺を見上げるシオン。


　お誘いは嬉しいけどな。もうちょっと色気のある誘い方ってものがあるでしょうが。


　頬が赤いんだけど、そういうことかぁ。うーん……いきなりすぎてすぐに返事ができない。妙に緊張してしまって頭を掻き目を反らす。


　するとギュムッと顎をつかまれて、引っ張られる。唇が触れ合い、シオンが舌を突っ込んできた。


　甘い吐息を吐きながら足を絡め、必死に俺をその気にさせようとする。あぁもう、この子は……