ユキ・シオン

ぬくもりのなかで

７Ｐ

　先生の大きな手の平が俺の腹に触れる。うわっ、こ、こんなえげつねぇ色になってんのかよ！？


　赤黒い中に紫っぽいところがあって、全体的に腫れ上がっている。ということは背中もこれと同じか。そりゃあ、この状態で突っ込まれて何度も奥を突き上げられたら確実に痛みしか感じねぇな。


　保健室の先生として見ると、あと３日から５日は我慢だと。


　それさ、先生は大丈夫なわけ？俺は大丈夫じゃねぇよ。正直に言えば、今の俺は完全な発情期モードなわけで。大好きな先生が欲しくて欲しくて、早く深く繋がりたくてたまらねぇ。


　タチよりもネコの立場の方が負担が大きいわけだし、そのうえ俺にはこの怪我がある。それでも、強く求めてしまうんだ。


　暑い。「ふぅ」と息を吐いた先生は上半身の服を脱ぎ捨てる。オッサンの割には引き締まっていて、腹筋が割れている。バッキバキじゃねぇけど、いつも猫背だから気づかなかったな。


　逞しくて、格好よくて、見惚れる。まさかこの俺が男の体にウットリする日が来ようとは。


　求めさまよっていた俺の手をつかんで指を絡ませると、優しくシーツに押し付ける。困った顔の先生の額には汗がにじんでいた。


　先生だって辛いんだよな。やっと想いが通じ合って、だけど繋がれないなんて。甘美な据え膳を前にして何もできない、生殺し状態。それがあと５日もかよ。


「チッ。あー、そんなにもの欲しそうな顔をするな。お前のことを大事にしたいから我慢してるんだぞ？それに、お互いにこのまま終わるわけにはいかないだろう？本番はしないから、せめて一緒に……」


「あっ！だめ、見るな……っ！」


　と思った矢先、先生が俺のズボン――先生の私物――に手をかけた。パンツも一緒に掴んで、俺が叫ぶのも間に合わず一気に引き下ろされる。


　俺の叫びに、そして目の前の惨状に手が止まった。