ユキ・シオン

ぬくもりのなかで

６Ｐ

　正直、人間として過ごしてきて彼女がいたことはあるがここまで続いたことはない。擬人化種だから、避けてきた。


　だから俺はどうすればいいのかがわからない。ネコヒメとしての経験は豊富。けど、それはただ相手を悦ばせるためだけの作業にすぎない。


　今は違う。これは、お互いの想いを確かめ合いぶつけ合うための行為。愛する者への慈しみ。


　何かやり返そうと試みるが、なにせその隙が無い。俺だって先生を気持ちよくさせたいのに。先生の舌を伝って流し込まれた唾液を飲み込めば、先生が俺に食らいつく。


　荒々しく、濃密なキスに夢中になって心も体も甘く痺れる。でも突然、バッ！と離れた。


　先生の唇と俺の唇との間に細い橋が架かり、俺は無意識に「先生？」と手を伸ばした。ほしい。もっと、先生が欲しい。


　もっと触って。もっと見て。もっとささやいて。俺だけにしか見せない顔で。俺だけにしか聞かせない声で。もっと、愛して。


　わかるんだ。俺、女でもねぇのに下が濡れてる。竿から出たのじゃなくて、何人もの男を知っている俺のメス穴。ここに先生を迎え入れようと、体が勝手に準備をする。


「あぁもう、ヤバい。ヤバすぎる。今のお前、馬鹿みたいにエロいしアホみたいに可愛いし理性がブッ飛ぶ。成り行きで脱がせたけど、これを見たらさすがに…………しないから」


　え、いつの間に？キスに夢中になりすぎて、いつの間にか上半身が裸になっているのにも全く気付かなかった。


　しかも俺の体は上を向いていて、隣にいたはずの先生は俺を見下ろしているし。その、俺の体を見つめる先生の黄色い瞳が悲しそうに揺れる。