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真実と嘘と現実
4P
しおりを挟む体中が焼けるように熱い、炎に包まれているみたいだ。血液が沸騰しているんじゃねぇかって感じる。あぁだめだ、我慢ならねぇっ!
血が流れる手を押さえる男――轟木直也にもう一撃と、振り上げた俺の右手。指先から延びる爪が、直也の血で濡れていた。
「…………この子、あの先生に頼まれて僕を陥れにきたんだよ。かわいそうに。大丈夫だよ。僕があの怖い先生からシオン君を、守ってあげる」
振り上げられた俺の鋭い爪が直也の青い瞳に大きく映し出されたその瞬間、俺は抱きしめられていた。
さっきのボディーガードと同等の強い力で抱きしめられ、両腕も動かせねぇ。声を出そうにも、力が強すぎて呼吸さえ困難。
モデル体型のこの体のどこにこんな力が!?「大丈夫」と俺の背中を撫でる姿を周りから見れば、恐怖に怯える俺を直也が優しくなだめているように見えるんだろう。
近くにいた生徒達の混乱も、直也の「もう大丈夫だよ」の声に納まっていく。
予鈴に慌てて教室へと急ぐ生徒達の様子を確認すると直也は手を上に滑らせる。首の後ろまで上がると、グッ!とつかみ気管を締め付けた。
「夜8時。あの場所に来い。逃げればあの先生の命はないと思え」
耳元でささやかれた低い声。ビクンッ!と死を感じた。直也はゆっくり離れ、目が合うとニッコリ微笑む。
表の顔で、裏に怒りの炎と闇をたぎらせて「またね」と、去っていった。
「ゴホッゴホッ!はっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、うっ……ゴホッゴホッゴホッゴホッ……」
床に崩れ落ち激しく咳き込む。俺はヨロヨロ立ち上がると、指先が赤く染まった手を隠しながら走った。
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