ユキ・シオン

まさかの翌日再会

６Ｐ

　そんなんじゃあ付け込むぜ？明日は３時間目がフリーなんだ、また来て寝てやるぞ？


「…………」


　まさか、寝たふりとか言わねぇよな？いびきはもう聞こえなくなった。


　身を乗り出して、起こさねぇように静かに顔を近づけてみる。やっぱり髪がボサボサだし髭もそろえてない。まるっきりオッサン。


　あ、まただ。加齢臭じゃない、オッサンの体からフワンと、甘くて優しい匂いが漂ってきた。


　って思ったら次の瞬間にはタバコ臭に覆い隠される。このオッサンから発せられているとは思えないようないい匂いだったのに。


　なんか、ドキドキして。もっとさっきの匂いを嗅ぎたくて、俺の体は勝手に動いて。


　オッサンに覆いかぶさるように両手をついて、首のあたりで鼻をスンッスンッ。あ、またいい匂い。これ……


「はっ！？ひ、昼飯と授業行かねぇと！」


　な、なんだ？俺今、いい匂いに引き寄せられてオッサンの鼻に……俺の鼻を擦りつけようとしてた？まるっきり猫の挨拶じゃんか。


　俺の腹が「きゅぅきゅるるるるー」って鳴らなきゃ今頃……


　俺は慌てて窓から飛び出し、食堂へと走った。何やってんだよ俺ぇぇぇぇっ！！