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ハッピーバースデー
16P
しおりを挟む――えぇと。シャワーから上がって何があったのかは、話したくないので。ご想像にお任せします。って、誰に言ってんだろ?
気づいたらものすごく時間が過ぎていて、晩御飯を食べ終わって食器を片付けた。ソワソワする、柚樹さん。
「ミナギは座って待ってろ。皿と包丁とフォークと…………あとは、飲み物だな。よし、待たせたな」
ついさっきまで晩御飯を食べていた席で、大人しく座って待つ僕の目の前にケーキが鎮座。真っ白な生クリームと真っ赤なイチゴで飾り付けされたショートケーキ。
だけじゃない。柚樹さんが仕上げたケーキを冷蔵庫に入れてから、絶対に見るなって言われていたから。晩御飯を作るのに必要だった、冷蔵庫の中のものは彼が代わりに取ってくれるという徹底ぶり。
彼が冷蔵庫の番人になっていたのもうなずける。ケーキの真ん中には“2”と“0”のロウソク、それから“ハッピーバースデー”と書かれた札。
チョコの文字じゃない。何かの厚紙にペンで書いた文字。下書きもなしに書いたのか、“スデー”がすごく小さくなってるし。しかも厚紙をケーキに刺している柱になっているのが、竹串だから長いんだけど。
「クスッ……クスクスクスクスッ、あははははははっ!すっごく柚樹さんらしいなぁ。一生懸命なのが伝わってくる、すごく嬉しいよ。ありがとう」
「笑いすぎだろ。あー……じゃあ、ロウソクに火をつけるからな。電気は、いいか」
本当に可愛いなぁ。愛されてるって感じがする。でもさすがに、ロウソクに火をつける時は厚紙の札は撤去するよ。
その前に、ケーキを真ん中に記念撮影。ケーキを持つ僕の肩を抱き寄せる柚樹さんが、僕の頭に何かを乗せた。先に銀色のテープがついた、とんがり帽子。
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