警察の犬は雨天がお好き

那月

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未知との出会いモッチモチ

14P

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 ――目が覚めたら夜になっていた。家の駐車場。俺は車の助手席でぐっすり眠っていて、隣にミナギはいない。


 俺が起きないからって放置して先に家に戻ってしまったのか?シートベルトを外して、車から降りるとまだ降ろしていない荷物を持って家の中に。


 電気がついていない。呼びかけても返事がないということは、また1人でどこかへ出かけたのか。


 あぁ体が痛い。帰ってきたらしっかり叱ってやらないとな。腹も減っているだろうし、じきに戻ってくるだろうとリビングで待つ。


 新しく買ったミナギの服のタグを切って外していると、ほんのわずかに玄関のドアが開いた音が聞こえた。


「ミナギ!いつも言っているだろう。出かける時は声をかけるかレインに一言、書いて、おけって……」


 俺に怒られると思って気付かれないように帰ってきた?残念だったな。玄関からダッシュで逃げようとしたミナギの首根っこをつかんで、スマホを突きつける。


 青地に白で“RAIN”と書かれたコミュニケーションアプリの、ミナギにあてて送った「さっさと戻って晩飯だ」のメッセージ。既読になったまま返事はない。


 それを見ようと振り返ったミナギの姿に、俺は息をのんだ。頬から顎にかけて血を拭ったあと。それから服にも所々に血がにじんでいる。誰かの、返り血。


「……殺したのか?」


「ごめんごめん、害虫駆除に時間がかかってさ。そんな顔しないでよ。僕は怪我なんかしてないし、殺してもないから」


 違う、そうじゃない。「合法だから」とか、そんなことじゃないんだよ。ミナギ、お前は俺に一体何を隠しているんだ?


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