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黒い傘
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しおりを挟む寒いのか?小さく震えている肩に触れ「ミナギ?」と声をかけてみたら。心配になってうつむく顔を覗き込んでみたら、さ。
「あっ……な、なんでもない、です。ちょっと寒いし、暖房つけるから。あー、僕が傘を持っててよかったね?」
なんて言えばいいんだろう。驚きというか不安というか、よくわからない顔をしていた。だがすぐに笑って、俺の手から逃れるように身を乗り出し暖房のスイッチを入れる。
で、結局タオルはミナギに奪われて黒い傘を拭くことになったんだが。それにしても複雑な顔だった。なんか、胸の奥がゾワゾワする。
「あぁ、そうだな。でもすぐに止むみたいだぞ?西の空が晴れている。着替えたら改めて商店街に行こう。どこに行きたい?」
「タピオカっ!タピタピタピオカっ!絶対、タピオカ行くっ!!」
少し顔が赤い気がするが、まさかこの短時間で熱が出たんじゃないだろうな?なんて思いながら、商店街の話を振れば眩しい光。
すっげぇ、ミナギが輝いている。漆黒のクリクリの瞳が爛々と輝いて、顔にしっかり「ワクワク」と書いてある。
だがなミナギ、俺はもう車の運転を始めているんだ。両手で俺の腕を握って揺さぶらないでくれ。商店街に行くどころか、病院に行くことになるぞ。
「うっ、お、おぉ、タピオカだな……若い女子に人気らしいが、そんなに好きなのか?」
「初めてだから!甘くてモッチモチで、でもコンニャクとかおもちとは違う感じだって聞いた。死ぬまでに1度は絶対食べるって決めてたんだ。うぅー、夢がかなうーっ」
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