警察の犬は雨天がお好き

那月

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黒い傘

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 筋肉はまぁまぁ、体つきが女の子っぽいうえに顔は小さく目が大きくて可愛らしい。さらにこの、肩より少し長めの髪はシャンプーのCMに出られそうな滑らかさと細さと艶。


 ミナギを可愛い女の子と見間違えて襲う男の気持ちが、少しわかる気がする。いや、俺は襲わないけどな。


 俺と同じシャンプーを使っているはずなのにいい匂いがするな、なんて思いながらも車に到着。先に助手席にミナギを押し込んでから、前を回って俺も運転席に飛び乗る。


「たしかここに……あった。ほら、足が濡れただろ?俺も膝までビッショリだ。風邪をひかないように一旦家に帰って着替えるぞ」


 傘を使ったあとのミナギにタオルを差し出せば、真っ先に傘を拭くだろうとは思っていたが。違った。


「もう、僕にばっかり傘を押し付けてたでしょ?藤代さん、髪から滴が落ちてるよ。藤代さんの方が風邪ひいちゃうから」


 迷わず、俺の髪を拭いたんだ。左側に座るミナギにはよく見えてしまう、俺の左半身が特に濡れている。タオルで丁寧に拭いて、滴が垂れなくなったら俺から離れて座り直す。


 そしてタオルを、よく頑張ってくれた黒い傘へ。って、違うだろ。


「傘の前に自分を拭け。ほら、お前も右側が少し濡れてる。その傘が大事なのはわかるけどな、自分も大事にしろ。体が資本だっていうだろ?」


 タオルを奪って、俺からよく見えるミナギの右側の髪を拭く。垂れるほどじゃないが、毛先が雨水をたっぷり含んでいる。


 振り払われるかと思ったのに、膝の上で拳をギュッと握ってうつむいて大人しい。しかも小さく「あ、ありがとうございます」なんて聞こえたし。


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