警察の犬は雨天がお好き

那月

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拾ったのは黒い犬ですか?それとも腹黒い犬ですか?

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 ずっと会いたいとは思っていたが。もう会えないと思っていたのに、まさかこいつから姿を現すとは。


 仮にも警察の家に名前も知らない正体不明の少年を招いて何かあっては俺も、警察組織もヤバい。だがこの子はブラッディバースデーに何らかの形で関わっているし、誰かの犬かもしれない。その話はしたい。どうする?


 雨が降っているしなと純粋に家に上げてやりたい俺の良心と、警察としてのプライドが脳内で激しく殴り合う。すると「グゥキュルキュルゥゥー」と、可愛らしい音が聞こえた。


 油断した、警察としてのプライドがノックアウト。俺はバッ!と腹を押さえる少年の肩を押して、家のドアを開けた。


 怪しさ満点の美少年。この子が普通の男の子じゃなく、よく鍛えしつけられた誰かの犬だとしても。俺は警察だ、もし襲われてもこんな子供に力で負けるわけがない。


 というのが表向きの理由。本当は、ニコニコというかニヤニヤしてチャラっぽい、警察を前に余裕をブチかましていたこいつが。腹の音を恥ずかしがって慌てて顔を真っ赤にしたのが、可愛かった。


 垣間見えた、この子の素の顔。いくつなのか?まだ中学生くらいの、子供の顔。なのに大人社会の、裏の世界を生きている。


 あれだ。人通りがまぁまぁある道路淵に捨てられた子犬を拾った、っていう感じだな。


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