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本当の姿
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しおりを挟む「フるわけねぇだろう。こんな完璧な女……いや、まだ女にはなりきれてねぇのか。だがそれでいいんだ。俺は10年前からずっとお前のことが好きなんだからな、マリアン」
やっと本当の“オレ”を見つけてやれた。リアの本当の名前はマリアンだ。男とも女ともつかない名前だから嫌いだと、女になると決意した時からリアを名乗っている。
マリアンの名前で兄貴も思い出したし、こいつがどれだけ本気で俺を想っているのかもよく分かった。
俺のことが好きだから、俺のために全てを犠牲にして捧げてくれる。こいつからすれば犠牲とも思ってねぇんだろうけどな。
「その名前、嫌なのに。ノルはもう、アタシの想いも全部わかってるのね」
「あぁ。最初はただのジェンダーだと思っていたがな、お前の俺への想いに気付いたらなんとなく。俺のために本物の女になろうとしてくれたんだろ?」
「うん。アタシもね、子供の頃からノルのことが好きなの。でもノルの理想は高すぎるし、そもそもアタシは男だしって諦めそうになった。でもね、女にさえなれば理想の女になれるんじゃないかって思ったの。だから……」
俺の腕の中でビクンッ!と体を震わせたマリアンはそれっきり、抵抗もすることなく俺に抱きしめられている。
ばーか。お前が俺のことを好きだってお見通しなんだよ。だから言っただろ、公園で。言い方は悪かったって反省してるけどな。
「でも、ごめんなさい。アタシ、やっぱりどうしても工事できなくて。お金が溜まったら必ずって決めてるし、皆にもそう言ってるんだけど。だけど本当は怖いの、工事したらアタシがアタシじゃなくなっちゃうような気がして。女じゃないといけないのに。男のままじゃ……」
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