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本当の姿
4P
しおりを挟むすまん、お前の大事な顔を狙ったつもりはなかったんだ。キレているのはそういうことだろう?
やっと目が治ってかすむ視界の中で、リアは2本の角の幻が見えるほどの般若顔。銃で殴っちまったからな、頬が切れて赤い線が引かれている。
それでどんどんスピードを上げて斬撃を繰り出すものだから、俺はその気迫に押されて後退。
速すぎる。一切の無駄がない日本刀の滑らかな軌道は俺の体スレスレ。まったく、日本刀なんてどこの誰に教わったんだよ?
迷いのない太刀筋は、だが決して俺の急所を狙わない。殺すつもりがないんだ。
見事なフェイントをかけられ右のふくらはぎを斬りつけられた。と同時にリアの脇腹の外側を撃ち、もう片方の銃で日本刀の刀身を撃つ。
リアの手から日本刀が離れ、痺れているだろう右手は俺の服の襟をつかむ。次の瞬間「歯ぁくいしばれ!」と叫び、リアの左の拳が俺の腹に叩き込まれた。
利き手じゃなくても、ダンプカーに全力で突進されたかのような衝撃が腹から体全体に響く。
さらに強烈な蹴りを背中に食らい、どこかの骨が折れた音がした。勢いよく地面を転がる俺はそれでも、銃口を向ける。
日本刀に伸ばされる右の手の平を弾丸が貫通。さすがに「うあぁぁぁっ!」と手を押さえて絶叫、左手を支えに日本刀を持ち次の弾丸を避けた。
はっ、予想以上に強いな。俺もリアも、ゼェハァと荒い息。命を奪い合わない本気の戦闘。
光の輝きが増したように見えるリアの真紅の瞳は俺には眩しくて、目を合わせると見とれて引き込まれそうになる。
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