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追われる者
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しおりを挟む「あの、おにぎり……遅くなってもうてごめんなさい。って、何やこの重苦しい空気。梅干しと昆布とおかか、先輩が作った卵焼きもあるで」
まぁ、妙なタイミングに来ちゃったわね。コンコンッとドアがノックされたから許可すると、大きなお皿を持ったイチカが顔を覗かせる。
あ、そういえばおにぎりを作るように頼んでいたんだったわね。ちょっと、山盛りあるんだけど。
部屋の中に招き入れれば怪訝そうな顔をしてイチカがテーブルの上におにぎりが乗った大皿を置いて、卵焼きを作ったのだという別の女性が卵焼きとお茶を置いて退室。
女性はこの空気を察知して逃げたわ。イチカも続こうとしたんだけど、アタシが引き留める。
「一緒に食べましょ。シャオリンも、食べられる?」
「いらないっ!」
おやおや。即答ね。あまりの剣幕にアタシの隣に座ったイチカがビクゥッ!と肩を震わせて、ついでに大きな胸もブルンッと揺れて、大きく目を見開いているわよ。
「い、今のってシャオリンなん?何があったんかはわからへんけど、余計なことかもしれへんけど、食べて体力つけんと早う治らんで?」
「うるさい、僕の気も知らないでさ。うぅっ…………そうでなくても、僕は食べられないから。悪いけど2人で頑張って食べて」
「うわぁ、まるで駄々っ子やわ。寝込んでるんやさかい心配しとったのに」
セイフォンが、すっかりいじけてしまっている彼をなだめに溜め息をこぼしながら立ち上がり。アタシは「色々あったのよ」とイチカの頭を撫でる。
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