moon child

那月

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涙のあと

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 ライトが月の欠片と14人の命を融合させて作った、月の石。の、残り。こちらも、風に吹かれると細かな砂になって散っている。


 終わった。人間の殲滅と世界の破壊をもたらそうとした邪神は死に、街は守られた。脅威は去った。


 チユニは走った。全力で、夢中で走って真っ白なライトの前で立ち止まる。もう2度と動かない。役目を終えた彼の表情は、穏やかだった。


 わなわなと震える手を伸ばして真っ白な手に触れると、ゴトンッと手首から先が落ちた。粉々に壊れ、崩れてサラサラの砂のように風に乗って行く。


 生き物ではない。終わりを迎え受け入れたソレは、もうこの世にはいない、


 チユニは理解した。ライトは、皆は死んだのだと。チユニの中を何かが駆け上がり、言葉にならない感情が爆発した。


 熱い涙が頬を伝い、零れ落ちライトだった白い砂に染み込んでいく。ボロボロと大粒の涙が止めどもなくあふれ、チユニは崩れ落ちた。


 手に真っ白な砂を握り締め、大声で1日中泣き叫んだ。


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