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那月

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 それぞれの片ハサミを合わせながら飛び出し、巨大なハサミを振りかざしながらケダモノに突っ込む。ハウンドやリンクスを操っている間は動けなかったのに。


 那月は鼻から緋月は口から血を流しながら、己の限界を超えて戦っている。守るために。


「次は己が行こう。兄貴…………本当はもっとたくさん話をしたかった。家族らしく、一緒に暮らしたかった」


 月影はライトの肩を叩き、瞳の色と同じ透明な黒のモヤとなって彼の中に入っていった。同時に、黒いハウンドとリンクスが消滅。


「次ぃい、あたし行きまぁあーっす!主!全部終わったらこれ、ティカに渡して。相談に乗ってくれたり普通に接してくれた……1番の親友なんだからあぁッ!」


 手の平よりも小さな包みをチユニに押し付けたレナは、バチンッと可愛らしいウィンクを決めてライトに突っ込んだ。瞳と同じ、少し濃い紫色のモヤだった。


 闘牛のような勢いで突っ込まれ、思わずライトはフラついて1歩下がる。腕を、ユラがつかんだ。


「ライトが羨ましい。我は見た、ライトが小カラスに人気が高く街の野良猫達にも大人気ですり寄られているのを。だがもう良い。たとえ触れられなくとも遠くから見守る、それも愛だと知ったのだから」


 ちょっと違う気がするぞ、ユラ。悟りでも開いたのか。キリッとした顔でライトを見つめる彼はフッと笑い、ライトグレーのモヤへと変わった。


 その姿なら小動物に近づけるんじゃないか?と、本人も気づいたようだ。月子研究所のビルでカラスが寝ている部屋の窓際にいる小カラスに近づこうとしている。


 スゥーっとのぼっていき、我に返ったのかピタッと止まって大人しく、渋々ライトの体へと染み入る。最後の最後までしっかり、速神ユラ。


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