moon child

本物の偽物

２P

　振り返った双子はそのヒロキの姿に驚き、そしてドン引き。絶句して片ハサミを持つ手をダランと下ろしてしまっている。


「うっわぁ何アレ。ちょーありえないんですけどー。数あればいいってもんじゃないでしょ」


「あれだ、あれ。自分は弱いから、手当たり次第に強そうな武器で固めて自分守ってるんだよ。哀れだねぇー」


「くっ……何とでも言えよ。言っとくけど、たとえあんた達がライトの本当の兄妹でも容赦はしねーから。最初から本気でかからせてもらうぜぇッ！」


　ヒロキは、そのご自慢のサイコキネシスでたくさんの武器を操っている。武器庫にあった武器、それを全部を持ってきた。


　自分は右手に長剣を、左手に銃を構え、あとの武器は彼の周りを囲むように浮遊している。見た目のインパクトがすごい。


　一斉攻撃、開始。上から、前後左右から剣が、弾丸が、手りゅう弾が双子に襲いかかる。


　正直、ヒロキはイラついている。何せ、なんとしてでも自分の手で倒したかったハルヒの敵である月影の相手がレンマだから。


　つまり、双子に八つ当たり状態。しかし冷静さは保っている。自分の役割を見失ってはいない。


　自分では月影の相手ができない。圧倒的な力と、冷静な考えができる頭脳が必要だ。それはレンマしかいない。だから託した。戦場に出る前にレンマの胸に拳を当て「頼むぜ」と、想いを託した。


「「あなどるなかれ」」


　双子は、その場から１歩も踏み出すことなく腕を振るい続ける。正確に見切って剣と弾丸を弾き、かわし、手りゅう弾は真っ二つ。


　目にも留まらぬ速さで次々と双子の足元に残骸の山ができていく。だが、防ぐだけ。