moon child

決意と意志

８P

「上手くいくのか？本物の壱号の命も使わなければ、成功しないのだろう？それも、自らの意志で命を差し出さなければ」


　月子達は口々にそう言い、シャノンがカラスの手から邪神の倒し方の紙を取り上げる。


「お、お前達、一体何を言って――」


「アー、ア、スゴイッ！ア、エット…………ジャシンヲタオスツキノイシハ、イチゴウノアーシルヲフクメタアタシタチキュウニンノイノチヲツカウ。ライトガ、ジャシンタオスッテハナシシタ」


　突然、とても機械チックな声がミレイナから聞こえた。声帯のない、言葉を発することの出来るはずのないミレイナから。


　振り向くと、彼女の頭には赤い猫耳カチューシャがはめられていた。彼女自身かなり驚いているようで、恥ずかしさ半分、猫耳カチューシャに触れてソワソワしている。


「感謝しろ。ミレイナの脳波を読み取って音声で言葉を発する装置だ。後日、かかった経費を書いて提出してやる。３日で完成させたんだ、開発費は３倍でな」


　いつの間に起きていたのか、再び横になって背を向けたカラスは「せっかく作ってやったのにいらなくなるのか」と小さく呟いた。


　ミレイナを発見してすぐにとりかかったのか？夢のような装置だ。しかもカラスにしては大変珍しく、装着型なのに見た目を考えてカチューシャにするとは。なかなかない気配り。しかし猫耳……


　昔のカラスとは大違いだ。そうか。彼女もまた、チユニやライト達と過ごすうちに変わっていったのか。レンマが猫耳姿のミレイナに大興奮なのは割愛。


　いや、それにしても彼女は。平然とライトや神楽の秘密を見破ったり、普通では手に入るはずのない超機密情報をどこからともなく入手したり、複雑で画期的な装置を短時間で作ってしまったり。