moon child

那月

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神威アーシル

9P

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「――アーシル、ぼうっとしてどうした?」


「んーん。僕は本当に、あのおお月様から生まれたのかなぁって思って。だってお月様って星だしさ」


「卵の水溶液や殻の成分は月にある土や石、空気中の成分と同じものだった。そう考えるのが自然だろう。最近10番目が発見、保護されたがあれはもう死ぬ」


「お月様、疲れちゃったんだねぇ。僕達に対抗する勢力として新しい月子を生み出そうとしているみたいだけど、そう簡単にいかないんだよ」


「チャンスだ。もうじきまたお前の子供が、5人生まれる。このまま数を増やし、戦争を仕掛け愚かな人間を滅亡に追いやるのだ」


 死んだように眠るライトの頬を撫で、アーシルは窓から見える月を見上げた。


 月子達が本当に月から生まれたのかは、アーシルにも神楽にも確証はない。その可能性が1番高いというだけ。


「そんなの別にどーでもいーじゃん。母さんは母さんだよ」


「そんなことより、弟と妹ができるって本当か?しかも五つ子って話だろ?お盛んだよなぁ、母さんも神楽さんもー。くひひひひっ」


「緋月、下品な笑いをやめろ。母さんも神楽さんも、己達のために家族を増やしてくれているのだ」


 ベッドで眠るライトを挟んでアーシルの向かい側に双子の那月と緋月、ライトの足元で腕を組んで立っている神楽の隣に月影がやってきた。


 街での“仕事”を終わらせて帰ってきた。戦闘部やレンマ達が街に出現した大量のハウンド達をあらかた倒してしまったので、追加投入しに行っていたのだ。


 その数ざっと、400くらい。黒いハウンドとリンクス、白いハウンドとリンクスが各100ずつといったところだな。


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