moon child

神威アーシル

８P

　たとえチユニは何も知らなくて罪はないのだとわかっていても、神楽は絶望し、心の奥底でじっとしていた邪神を大きく成長させることになった。


　一気に邪神に呑まれた神楽は、それならとライトを利用して月子達が統べる世界に造り替える。人間を滅ぼすことを決意した。


　皮肉にも、ライトが恐れていた未来にライト自身が導いてしまったのだ。


　だからだろう。彼は必死に、未来を変えようとあらゆる手段を考え試みてきた。しかし、１番の協力者だったハルヒが殺されてからは上手くいかない。


　ライトは神楽に１番近い存在であるカラスに真実を打ち明ける前、何かと嗅覚の鋭いハルヒに感づかれて協力してもらっていた。


　というより、協力することを強要されていた、ライトが。


　正義感の強い、負けん気と責任感も強いハルヒ。見つかったが最後、皆には黙っていることを貫き通したが、１人だけで背負っていたライトを叱り手を取った。


　しかしそれもすぐにアーシルに気付かれ、月影によって殺された。邪魔をする者はたとえ月子であろうと消し去る。それが神楽。


　アーシルは神楽にひたすら従う。彼を心から慕っているから。アーシルにとって神楽は全て、生きていくのに必要不可欠な存在だから。


　神楽の目指す未来が間違っていても、アーシルはこの世界のことなどどうでもいいのだから。この世界で彼と一緒に生きていけるのなら。