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神楽とチユニ
10P
しおりを挟む「自分が邪神になっているのも気づかず、ニセモノの神を崇拝する、か。哀れだ」
「っ……はぁ、っ……」
月子達は皆、利き手の文様がチユニに見えるように手を胸にあて、そう言った。ミレイナもユラの横に並び、肩を支えてもらいながら立っている。
正直、もうミレイナは限界かもしれない。あの傷は治らないし、長時間力を使ったことでフラフラだ。
「皆、外はもう大丈夫なのかい?って、そんなわけないよね。わざわざ戦闘を中断してこっちに来たってことは、私に何か言いたいことがあるんでしょ」
立ち上がり窓の外を覗けば、数十人の戦闘部員がハウンド達と戦っている。副部長が立ち上がり、バラバラに壊れていた戦闘部を立て直したのだ。さすが、あのサクマの右腕だな。
先ほどの雷。レンマの巨大落雷で大半の敵は滅したようだし、新たに敵が出現しても戦闘部がそう簡単にやられるわけではない。それなりに、人間の中では精鋭部隊だ。
が、所詮は人間。進化した白いタイプもいることだし、数が増えれば防戦一方になる。さらに続ければ戦闘部は数を減らしていくことになる。
月子達が戦場を離れていられる時間はそう長くはない。そんな貴重な時間にここへ来た理由は、確実にこれからの道へ大きく関わること。
「なんや、ミレイナに強う呼ばれた気ぃがしたんや。声が聞こえたわけやないんやけどな、こら行かなあかんって思うたんや」
そう言って、レンマは青い顔のミレイナの元へ歩み寄り頭を撫でた。やや褐色の大きな手の平が、明るい茶色の髪の上を滑る。
「……なんだ、君が言っていたことと違うじゃんか。ねぇ、君達もチユニさんも、今のライトを信じられる?心から、命を懸けても信じ抜くことができる?」
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