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伍号
6P
しおりを挟む「よし、あらかた避難させられたかな」
近隣住民の避難誘導、するにはしたものの、ほとんどはパニックで散り散りに逃げ去り、残りはほぼハウンドに食われた。
「………………こっちか」
ライトは目を閉じて意識を集中させ巡らせる。この近くにいる、人間でも月子でもハウンドではない何かの気配。
ハクトの様子を気にしつつも背を向け、指示は心での会話へと変更。ここからは口から出す声では届かない。いや、声を出さずに行動しなければならない。
さっきから全く動かない。気配の主がいる場所を特定したライトは、そのビルの中に入り階段を駆け上がる。
50階建てビルの、なぜか37階の窓際にいるようだ。中途半端だな。だが上すぎて地上からではその姿が見えない。手ぶらで、ひたすら階段を駆け上がる。
考えている。探っている。そこにいるのは誰だ?一体何だ?集中力を高めてみると、なんとなく知っているような感覚がしないでもない。けれど、わからない。
嫌な胸騒ぎがする。ハクトを1人で置いてきてしまったのも、指示を出すのも後回しに集中することに集中し続ける。
そうそれはすなわち。ハクト、頑張れ。
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