moon child

那月

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陸号

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 とても丁寧に、包装紙を破らないよう慎重にセロハンテープをはがし外した包装紙は、綺麗に折りたたんで脇に置く。


 これ、きっと包装紙は厳重に保管、箱も何かの容器に使ったりして何年も大事にしているんだろうな。本当、子供にもらったものをたいそう大事にする母親そのものだ。


 そっと箱のふたを開けると、中には1粒ずつ銀紙に包まれたコーヒー味のチョコが9つ。


 開けた瞬間にコーヒーの香ばしい、チョコレートの甘い香りが2人の鼻孔をくすぐった。美味しそう。口の中に唾液の洪水があふれる。


「高かったろうに。じゃ、いただきます」


 真ん中の1粒をつまみ、銀紙をはがしてポイッと口に放り込んだ。几帳面なチユニ、銀紙さえも綺麗にたたんでいる。


 レナは少し身を乗り出して、食い入るようにチユニの顔を黙って見つめる。不安だろうな。


「うん、おいひぃよ。それほど甘すぎないし、中のコーヒーも苦すぎなくてちょうどいい。レナも1つ…………あー、コーヒーは苦手だったね」


「主のために、このあたしがわざわざ買いに行って選んであげたんだからあぁ。気にしないで全部食べちゃってよねえぇ」


「クスクス……。これ1つで疲れが吹き飛ぶよ。残りはとっておくね、本当にありがとう」


「っ!れっ、れれれれ礼なんて別にいいわあぁ。じゃあ、それだけだから一旦部屋に戻るわ。嬉しかったからってニヤニヤして、お昼ご飯に遅れないでよおぉ?」


 礼を言われ軽くチユニに抱きしめられたレナは、全身真っ赤になって、逃げるように部屋から飛び出した。


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