moon child

那月

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玖号

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「以前よりも上手く火をコントロールできている。刻限までは時間がある故、手合わせに付き合う。む。どうした…………ルカ?」


「どうして。あたしが頑張って、2週間もかけて開発した新技を……ユラも同じような技を……」


 そこか。そんなところに驚いていたのか、ルカは。しかもちょっと、怒っている?


 驚異的な火力を持つルカだが、コントロールは不得意。気分がノれば火が炎に変わり、炎が爆発へと変わってしまう。


 そんなルカが、炎を凝縮させ球体を維持し、しかもそれを10個も作ったうえに保ちながら操作したのだ。


 大した急成長。生まれつき使える能力を、改めて学び理解しているからこその結果だろう。あと、ライバルがいたから。


 ライバルとはこのユラ。月子の末っ子にして、戦闘においては大変優秀だった。人付き合いや私生活はともかく、自分の能力を深く理解していてパワーも技術も申し分ない。


 同じような能力を持つ者として比べられることは多々ある。本当はもう1人、似た能力を持った月子がいるがアレは除外。2人と比べ物にならない。


「とっさのことだ。我とて、できるとは思わなかった」


「それ、あたしにダメージ与えてるって気づかないで言ってるでしょう?……はぁ、やっぱり。とっさにポンッとできちゃうんだから悔しいんだって……」


 問いかけにユラは少し首を傾げ、ルカは落胆。両腕に真っ赤な炎をまとい、身構えた。


「でも、頼りにしてる。尊敬してる。だからあたしを鍛えてよ。ユラに頼られるように、尊敬されるように。だってユラはまだ、どんなに辛い時でも誰も頼りにはしないでしょう?」


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