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月子の取扱説明書
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しおりを挟む某日、早朝。4つの部屋から目覚まし時計の音が鳴り響いた。
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリッ!
シャラランシャラランシャラランシャララン!
ギャァァァァァ、グアァァァァァ、ギャッア……アァァ……グ、アァァ!
起きてぇ。ねぇ、早く起きてよ。早く起きないとぉ……ピー潰しちゃうぞッ!
これが彼らの目覚まし時計。なんともまぁ、個性的というかなんというのか。しかしこれが毎日続けば、嫌でも慣れてしまう。
「やぁ、おはよう我が子達。よく眠れたかい?」
ぞろぞろと食堂にやって来ると、各々が朝の挨拶を交わしいつもの席に着く。シャッキリ目を覚ましている者もいれば眠たそうに眼をこすっている者、完全に目を閉じてしまっている者もいる。
いつものメンバー、いつもの席で、いつもの朝食を食べる。メニューまでは毎日同じというわけではないが、彼らの好みに合わせて専用の朝食が用意されている。
楽しそうにしゃべりながら、黙々と集中して、嫌いなものを隣に押し付けて、眠りながら食べている彼らを眺め、微笑みながら魚の干物を口に運んでいるのは黒縁眼鏡をかけた女性。
所々がシワになっている白衣を身にまとい、向かいに座ってウトウトしている少年の頬についたご飯粒をつまみパクッと食べてみせる女性こそ、最初のmoon child――以下、月子――を見つけたとある科学者。
歳は40過ぎ。とても明るく優しいが怒る時はしっかり怒る、しつけのしっかりした、彼らの良き母親。
無論、本物の母親であるはずがない。だが現在発見されている月子を全員保護し、まるで本物の子供のように平等に愛情を注いでいる。
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※この物語はフィクションです。登場する
人物・団体・名称等は架空のものであり、
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※表紙はミカスケ様のフリーイラストから
お借りしています。
※作中の画像はフリー画像サイト、pixabay
からお借りしています。
<参考文献・引用元>
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阿部 恭子 著 幻冬舎新書
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