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第12章
④
しおりを挟む「この前はハルトや蛍さんや店を巻き込んでしまってすまなかった。姫の精神管理も考えていないといけねぇのに、あんなことになっちまって。蛍さんには本当に申し訳ねぇ」
「もう済んだことです。あいつだって余計なことを言ったんだし。もう、謝らないでください」
「けどよ……」
「それに、謝らないといけないのは俺達もそうですから。あの日、蛍さんとして呼んでいたのは俺の双子の妹の沙琉です。蛍さんではありません。ハスキーさんを、皆をだましました。ごめんなさい」
先に謝ったのは、ハスキーさんだった。確かに、固定客の姫は俺達ホストの稼ぎそのものだから彼女達の精神面まで気をつけないといけない。
それは俺も同じ、なんだけど。俺の場合、普段の接客が上手いからなのか精神を狂わせるほどのことにはならない。
ハスキーさんの姫達も、ガチで怒ることはあってもあそこまで狂うことは初めて。ハスキーさんも、怖かっただろうなぁ。気絶させられてたし。
「あの時来ていた蛍さんとハルトがすげぇそっくりだったのって、双子だったからなんだな。それに、いつもの蛍さんは胸元とか露出の少ない服だったが――」
「怒らないんですか?」
「驚きはしたが、怒らねぇよ。本物の蛍さんがハルトだっていうのは、今でも確信を持っている。理由、聞きたいか……?」
沙琉には、俺がハスキーさんに本気の恋をしていることも、女装して客として通っているのも打ち明けていた。
あいつはジェンダー事情とか、恋愛対象の性別とかはなんにも気にしないフリーダムなやつだから俺の話もすんなり聞いてくれた。
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