ホスト狂いのホスト

第７章

⑥

「ま、マジで飲み切った……すごい……すごいわ、ハルトさん！でも残念ね、もう時間だわ。そろそろコンコンは帰らなくちゃ！いいもの見せてくれてありがと！じゃっ！」


　すっごい、ひきつり笑顔。荷物を持って、大きなイチゴを１つ口にくわえて席を立つと帰ってしまった。まだ時間は半分くらい残っていたのに。


　けぷっ。ふぅ。残りの時間、どうしようかな。あんなに大好きなイチゴ、まだ残ってるしもらっちゃおう。


「おーいおいおい！こら、そこまでにせぇや。ハルト、おまえさん今日はおかしいで？何かあったんか？おにーさんが話聞いたるで？」


　イチゴを１つ口に放り込んで、甘酸っぱくてジューシーで美味しいなぁってもう１つ。果汁がいっぱいだぁ、もう１つ。って、いくつ口に入れたんだろう？


　笑いながらも困惑顔のフレブルさんが、さらにイチゴを食べようとした俺の手をつかんだ。そこでようやく、まだ飲み込みきる前に無心で口の中に入れていたんだと気づく。


　イチゴの果汁で溺れそうになった。フレブルさんに「落ち着けぇ。ちょっとずつや、な？」と身振り手振りで落ち着かせてくれたおかげで、少しずつ飲み込むことができた。


「ハルトは真面目さんで一生懸命で、けどたまぁに天然さんなんが可愛い。けどな、今日のおまえさんは『たこ焼きにイチゴ』やとか、たまに上の空やったり全然ちゃうとこ見とったりしてコンコンに失礼やったわ」


「あはは。すみません、ちょっとだけ寝不足で体調崩しちゃってて。でもほら、ちゃんと一気できましたし、この通り元気です！」