ホスト狂いのホスト

第５章

⑨

　端的に言うと、オーナーを抱けってこと？でも俺はハスキーさんに片思い中だし、男同士でやるセックスを知らないわけじゃないけど。


　好きでもない人を抱くなんてなぁ。しかも、オーナーは無だし。んー、とりあえずやってみるかぁ。


　すぅ、と息を吸い込んで、ホストスイッチオン。微笑を浮かべ、頬に手を当てて見つめ合いながらスルリとオーナーの隣に座りなおす。


　もう片方の手でオーナーの手を柔らかく握り、指先で撫でる。ゆっくり近づきながら首元、胸元、腰、足へと視線を流しまた上の方へと戻す。そしてまた目が合うと頬に当てていた手を耳へ。


　軽く爪でひっかくとわずかにピクンと反応。顔を寄せ、耳に熱い息を吹きかけると肩が跳ねた。


　そのままチュ、と耳たぶにキスをすれば頬にもキス。次は唇に、触れる直前に離れ手でオーナーの口を覆う。そしてニッと笑ってみせればどうする？


　何を言うでもなく、けれど怒ったような顔になりベロンと俺の手のひらに熱くぬるりとした感触があった。


　経験はなくても知識はある、予想の範囲内。何度も舐めてくるので、指を開いてそのいたずら好きな舌を指で挟んでやる。


「んぁ……っ、はあへ、いはい」


　少し強めに挟んで引っ張ってやれば真っ黒な瞳に涙がにじむ。うるんだ瞳で、上目遣いに睨まれる。上司にイケナイコトをしている。罪悪感に、愉悦感が勝った瞬間だった。