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第5章
⑦
しおりを挟む「オーナー、それってわざとですか?クスクスッ、可愛いぃ」
ホストスイッチが入った。口の端から白いチーズを垂らすオーナーに覆いかぶさる勢いで近づき、指でチーズをぬぐってやる。
「当たり前にわざとだが、それでは足りんな」
オーナーは、突然牙をむいた。
「え、わ、んんっ!?」
「は……ちゃんと、こうやって舌を使ってぬぐうんだよ。わざと、見えるようにな」
指が触れる寸前、彼が俺の首をつかんで引き寄せた。唇が触れた、俺の口の端にもチーズがついて、それをヌラリとオーナーの舌が絡めとった。
やってみろ、と言わんばかりにそれを見せつけられさらに首を引っ張られる。力が強い、振りほどけない。
何が何だかわからない。でも今はとにかく、従わないといけない。震えながらも舌を出し、彼の口元へ。呼吸が荒くなる。意識しないようにしても、だめだ。
熱い吐息をかけながら、ゆっくりと白いものを舐めとって、彼に見せてゆっくりとゴックン。
無表情の奥に満足そうな表情を浮かべ、頬は少し上気している。興奮しているのか?怖い。離れようとしたら、そのまま腰を抱かれ膝の上に座らされた。
細身で、俺よりも少し背が高いオーナー。実年齢よりもかなり若く見えるのは童顔、というよりも。うちのキャストでも張り合えないほどの、顔面偏差値の高さ。
かっこいいって言われるのは当たり前で。もはや美しい。美麗。けれどそれは、しゃべらなければの話。
とんでもない上から目線の俺様だし、一切笑わない。姫達と言葉を交わす時でさえ無表情。まぁ、オーナーなんだから客に媚びうる必要なんてないけど。
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