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第30話 アサヒの暴走

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シンド達とキョウドウが出会う前、シンド達は探索をしていた

「なんのあてもなく、移動を始めちゃったけど、どうしようね……」

「結局あのナイフ野郎がターゲットだったら俺達とんだ無駄足だな」

「あそこはライアが妙な借りを作ってしまったからな、まあ無理せずに探していこう」

「ソーマは違うだろう、あいつは博士に狙われるようなタイプではない」

「なんだライア、ソーマのこと気に入ったのか」

ニールのからかいにライアは少し眉をしかめた

「でさぁ、シンドォ 俺らどこに行けばいいのさ」

「そうだな、とりあえず頂上だ」

「バカと煙はなんとやらってか…… 俺らずっと上を目指そうとしている気がするな……」

なんの目的もなく、ターゲット探しのための移動が続いていた


しばらく歩いていると、シンドが反応した

「人がいる……」


サードアイで誰かを捉えたらしい

「木の枝から俺らを観察しているのか?」


敵かもしれない、5人はとっさにフォーメーションをとった


「相手はこっち方向でいいのか、シンド?」

シンドの向いている方向の前に立ち、ニールが、足にオーラを込め出した

「待て……いなくなった」

相手の気配がサードアイの範囲から消えた

ずっと意識していたが、移動したというよりは消えたように気配が無くなったようにシンドは感じていた


「いきなり現れるかもしれないな……」

ニールは集中していた

シンドを中心に他の4人はシンドに背を向けて全方位の警戒を始めた


何かをしてくるのか それともいなくなったのか
5人には長い時間が続いていた

「アレフ、きたぞ!」

シンドが叫ぶ

アレフはまだなにがきたのかわからないが左に身を移動させた

そのとき、光線のようなものがアレフの右腕を貫いた

早い攻撃で回避しきれなかった

「大丈夫か?」

「っ…… 一応右腕は動く……大丈夫みたい」

相手はアレフの方向から攻撃してきたはず


シンドは確認したが誰もいない

「範囲外からの攻撃だ」

「くそ、厄介だな」

「なんでこう、やりずらい奴にばかり狙われるんだ」

「おい、アサヒがいないぞ」

ライアはアサヒを探した


アサヒは高速移動で、ニールの攻撃してきた方向を探していた


「アサヒ危ないぞ! 戻ってこい!」
ライアが呼びかけに反応してアサヒは元の位置に戻ってきた


「勝手な行動は全員を危険にさせるぞ、気をつけろ」

シンドの指摘をアサヒは反応しなかった

「ニール、シールドを全体にはれるか?」

「防御の壁は薄くなるがやれなくはない」

そういうとニールは足のオーラを広げ5人を球体状に包んだ


まずはこれで相手の動きを見極める、下手に突っ込んで、相手が複数いた場合が危険だ


「アサヒ、勝手な行動はとるなよ」
ニールもアサヒを警告したが、アサヒは反応しなかった


「来た!」

シンドが叫ぶと、シールドの一部が大きくへこんだ


攻撃をされた……が数発なら耐えられる

「アサヒ!」
シンドがまた叫んだ


アサヒが敵の方向へ飛び込んでいた


「あいつ、何度も勝手な行動を取って、なに考えてるんだ!」

アサヒを追いかけライアも走り出した


「まて!バラバラに行動したら相手の思うツボだぞ!」

アサヒは攻撃した相手の方で布に包まれた棒のようなものを取り出した

そのまま布を剥がすと、鞘に納まった刀がでてきた

刀を居合い斬りのように一瞬だけ刃を抜きその場を斬り、すぐに鞘に納めた

アサヒが刀を振った扇状の範囲で木が倒れていく

「あいつ、あんなものを持ってたのか!?」

「あの刀……一瞬だけど、鞘から抜いたとき、オーラがでてなかった……?」

「アサヒ……隠してたのか……」

シンド達もアサヒの刀のことを知らずに驚いていた


「キャァァァァ!」

女性の悲鳴が聞こえた


倒れてく木の先には女が木の上で叫んでた

攻撃してきていたのはあの女か

シンド達は敵の姿を認識した


女は叫んではいるが斬撃は届かず怪我はしていないようだ


姿を見られた女は木の枝を飛び跳ね、逃げ出した


「あわわわ、たすっ助けてっ」

酷く慌てながら逃げていく

アサヒは足の能力を使い、一瞬で女に追いつき居合い斬りの構えをとった

「わぁぁぁぁぁっ」

木の枝から地面に降りて逃げ出した女は頭を抱えて女は身を守ろうとした


射程範囲に入った

アサヒが女を斬ろうとしたときだった


ガキィィィィン


刀を抜く前に鞘越しに何かに刀を弾かれた


女は恐る恐る守っていた手を開いて前を除いた

「ミュウ…… 君は焦ると周りが見えなくなる、もっと冷静になるんだ」

ミュウと呼ばれた女の顔が途端に明るくなった

「マヒル様!! 」

アサヒの刀を弾いたのはこのマヒルと呼ばれた男だった

マヒルは場に合わない白いスーツ姿を着ていた


「マヒル……?」


アサヒが思わしげに名を呼んだ


マヒルは右手指先の先端から60センチほどのオーラを伸ばしていた

こらでアサヒの刀を弾いたのだろう

「うちの大切なお嬢様をいじめないでほしいな」

アサヒに向かい話しかけた


ミュウはマヒルの言葉に目がハート型になっていた

マヒルはアサヒに向かってきた


「君の力を試させてもらおう」

早い……

アサヒにはマヒルが消えたように見えた


「君だけ顔を隠してるなんておかしいだろ?」

アサヒの顔を隠していた布が切れ落ちた


アサヒの顔を見たマヒルの顔が曇った


「アサヒ……?」



シンド達もアサヒのいる場所まで追いついてきた


「おい!アサヒの顔が見えてるぞ!」

「なんか様子がおかしくないか?」



シンド達が来たと同じくして、キョウドウとカクミも崖から落ちてきた


「兄さん……」


アサヒがつぶやいた
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