上 下
28 / 38

第26話 意外

しおりを挟む
アドミニストレーター?

この子は何かを管理しているのか?


「君みたいな人がこんなところにいるなんてね」

アドミニストレーターと名乗った子がカクミを観察しだした


「この次元にいるのは予想外だったよ……」

カクミの鼻先まで顔を近づけてきた

「せっかくだから、僕と一緒にこないかい?」

この子供は色々と知っているようだ

しかし、カクミは興味がなかったようだ


「いいです…… 行きたくないです」


子供は意外そうな顔をした

「自分に興味がないのかい?」

「あなたには…… あなたのオーラにはあまり良いもの感じません……」

子供は少し間をおいてから笑い出した


笑いながら高く空に浮かびだした


「そうか、僕の事を恐れてるんだね」

ゆらゆらと揺れて嬉しそうだ


木のてっぺん程度まで浮かび上がった子供をカクミは見上げた

「今荒れている2人はあなたが何かやったんですか?」

ペディとマニィのことだった
あの2人はオーラが明らかに普通じゃない、暴走してるか、させられてる
直接見ては無いが異常事態であることを感じていた

「2人? 神宝具を爪に塗ってた女の人のことかな?」

この子供が何かやった……カクミは確信した

子供はテニスボール程度のオーラの塊を2つ作って自分の周りを回転させだした

「たいした適性も無いのに使うから能力に飲み込まれてしまうんだよ」

子供の周りを高速でオーラの塊が回転している

「僕は心のままに神宝具を使うように進めてあげただけだよ」


「……さっきから俺にやってるように悪いオーラを膨らませようとしたんですね」

子供の周りを動いていたオーラが止まった

ゆらゆら揺れるのも辞め地面に降りてきた


「なんだ……気づいてたのか」

声のトーンが少し低く子供じみた空気もなくなった


カクミが感じ取るのを得意とするようにオーラと精神状態はリンクしている

この子供は相手のオーラを操作し、相手の感情をコントロールできる能力を持っているようだ

「あなたはあの2人が暴走して、シーナが悲しんでる事を楽しんでる…… 」


「人の気持ちがぶつかり合う姿って観てて楽しいと思わないのかな? 多少手助けはしたけど、シーナって娘への2人の感情は嘘じゃないよ」

子供はまた嬉しそうに笑い出した


ザワッ


森全体が息を飲むかのように静かになった


カクミの空気が変わった


子供もそれに気付いていた

意外だな彼も腹が立ったりするのか、しかも見ず知らずの他人のことで

カクミへの興味は尽きないようで、分析をしているようだ


「あなたはここにいたら行けない人だ」



子供は先程まで回転させていたオーラの塊を2つとも槍の様な形に尖らせカクミに刃を向けた


「面白いよ、この次元ではこういう成長をするんだね」

この子供の言っていることは相変わらずよくわからない……カクミは聞く耳を持たなくなっていた


「別に君自体は僕と争う気は無さそうだけどせっかくだからためさ……」

ドッ


子供が吹き飛んだ

合わせて、子供が作り出した槍のオーラも消滅した


子供は数メートル飛ばされたがすぐ体制を立て直した

カクミが衝撃波を飛ばしていた


子供は少し驚いているようだ

まさか、いきなり攻撃してくるのか……

その気ならこっちも遊んでやる


宙に浮き、高い位置から無数の針のようなオーラをだした

それを一気にカクミに向けて放った


こんなもので、やられるようならそれまでのやつだったと思おう、ただ少しは痛い目を見せてやる


子供は少し本気になっていた



無数の針がカクミに向かってきているが、カクミは何も気にしていない様子で針を眺めた

ドドドドドドドドッ


全ての針がカクミに当たった


「あっ死んじゃったかな」

子供が嬉しそうにカクミを確認した

「あっ」

針はカクミに触れる直前で全て停止し、カクミは傷ひとつついてないようだ


カクミは針をそのまま子供に向けて放った


「こんなもので!」

子供は自分の前に分厚いオーラの壁を作った


針は壁にあたっりドスドスと音を立てて突き刺さっていった


ボゴォォォン


針が数発当たったところで壁が貫通し壊れた

子供の笑顔がなくなった


子供は全身からオーラを放ち光だした


眩しい光とともに針はすべて消え去った


ドッ


針が消えたところでカクミは子供に衝撃波を当て吹き飛ばした


なんだ、こいつこんなに容赦のないやつなのか……


針を消滅させたことでかなりのオーラをつかい子供は衝撃波をまともなくらってしまった


数10メートル飛ばされようやく姿勢を立て直した


勝てない……強すぎる……

子供は感じていた

「この体では君に勝てそうにない、ここは一度避難させてもらうよ」

子供はカクミから離れ移動しようとした

しかし、カクミは子供を目の前に引き寄せた

子供はカクミに気付き目を丸くし驚いていた


「逃がさない……」

カクミの言葉が子供にはすごく残酷に響いた


子供は必死の表情になった

「こんなところで終わる訳にいかないんだ!」

そういうと黒いオーラに包まれた


黒いオーラは伸縮をはじめ徐々に収縮していった

子供はそのまま姿を消した


「消えた……」

カクミにもオーラを感じられなくなった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

突然シーカーになったので冒険します〜駆け出し探索者の成長物語〜

平山和人
ファンタジー
スマートフォンやSNSが当たり前の現代社会に、ある日突然「ダンジョン」と呼ばれる異空間が出現してから30年が経過していた。 26歳のコンビニアルバイト、新城直人はある朝、目の前に「ステータス画面」が浮かび上がる。直人は、ダンジョンを攻略できる特殊能力者「探索者(シーカー)」に覚醒したのだ。 最寄り駅前に出現している小規模ダンジョンまで、愛用の自転車で向かう大地。初心者向けとは言え、実際の戦闘は命懸け。スマホアプリで探索者仲間とダンジョン情報を共有しながら、慎重に探索を進めていく。 レベルアップを重ね、新しいスキルを習得し、倒したモンスターから得た魔石を換金することで、少しずつではあるが確実に成長していく。やがて大地は、探索者として独り立ちしていくための第一歩を踏み出すのだった。

人生を諦めた私へ、冷酷な産業医から最大級の溺愛を。

海月いおり
恋愛
昔からプログラミングが大好きだった黒磯由香里は、念願のプログラマーになった。しかし現実は厳しく、続く時間外勤務に翻弄される。ある日、チームメンバーの1人が鬱により退職したことによって、抱える仕事量が増えた。それが原因で今度は由香里の精神がどんどん壊れていく。 総務から産業医との面接を指示され始まる、冷酷な精神科医、日比野玲司との関わり。 日比野と関わることで、由香里は徐々に自分を取り戻す……。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...