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第1話 選ばれた人
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混雑した朝方の電車のホームで通勤のサラリーマンたちが並んでいた
「間も無く電車がまいります……」
電車が減速を始めたところだった
ホームから人影が向かってくる電車に飛び込んだ
ギャギャギャギャギャ
すさまじい音を立てて、電車は停止した
轢かれた……飛び込み自殺か……?
野次馬があつまり飛び込んだ男を覗き込もうとした
「!?
はっ? なんだこれ?」
電車はまるで、上空から縦に切られたように真っ二つに切断されていた
「おはようございまーす」
気だるそうなあいさつで男が出勤してきた
「カクミ! もう8時25分だぞ! 昨日も言ったぞ、もっと早く出勤するように!」
「はい……」
言葉少なめにデスクに座ると、みんなテレビに夢中になっていた
(電車の切断事故? 直前には電車に飛び込む男の姿? なんだそれ……)
「カクミ君大丈夫だったんだ、みんな心配してたんだよ」
「近くであったんですか?」
「そうだよ、隣駅。君平気だった?」
「知らなかった……僕は大丈夫でしたよ、今日は早く来てたんで」
「うそつけ! さっき出勤してきたばっかりだろ!」
係長の言葉に返す言葉がなくなってしまった
「なんでお前はすぐバレるような嘘をつくんだ……」
……
長々と説教されてしまった
電車の事故は俺の次の電車で起きたみたいだ、ここひと月くらいで変な時間が起きてきてる、その前にあった空が割れるような音、関係あるのか?
1ヶ月くらい前、カクミが夜寝ようとしている時だった
急に窓の外が明るくなった
(花火か?でもそんな季節じゃないんだけど)
ズゥオオオオオオオ
空気が引き裂かれるような音だった
(何かが起きてる)
外を見てみると、光は徐々に薄くなっていった
(気のせいか……何かに覆われたような気がする)
すぐに妙な違和感は無くなった
翌朝の職場で謎の光について話をする者はいなかった……だから俺は寝ぼけてたものだと思ってた……
やっぱり今日の事故といい、ここ最近変なことが起きてる……気になるな……
【昼、事故現場周辺】
「学校休みになるなんてついてるねー、毎回事故があればいいのになぁ」
「ダメだよアズ、もしかしたらテロかもしれないって言われてるんだよ、何かあったら怖いし」
「テロねぇ……カナちゃんはビビリだねぇ」
「そりゃ怖いよ、アズは怖くないの?」
「ふふふ、あたしたちは選ばれたんだよ、大丈夫でしょ、ってここか事故現場、うわーすっごい人の数!」
「規制されてて電車見えないね」
「ここまで来たんだから電車見てみなきゃ」
アズが人混みを押し退けて規制線ギリギリまで近づいていった
「ちょっとアズぅ待ってよぉ」
カナもアズを追いかけて規制線までついていった
死傷者100名以上だってよ
人混みから聞こえた声にアズの顔が強ばった
「そんなにすごい事ができるなんて……」
「ねぇアズ、あの人もしかして選ばれた人じゃない?」
「ん? あっそうかも」
視線の先では、カクミが現場を眺めていた
「まさかと思うけど、あいつが犯人じゃないよね?」
アズは少し距離を取ろうとした
「ううん、多分違うよ。あの人何もわかってなさそうだもん」
「そーね、なんかバカっぽいしね、ちょっと聞いてみよう!」
そういうとアズはカクミの前まで詰め寄った
「ちょっとお兄さん!」
いきなり話しかけられ、カクミの肩が上がった
高校生? なんだいきなり……
「何か知ってるの?」
カクミは目を丸くした……意味がわからなかった
「何かって? この事故の事?」
「ちょっとアズ! いきなり失礼だよ! すみません、この娘思いだしたらすぐ行動しちゃうんで」
「えっ? えっ?」
(なんだこの娘たち、人間違いか? 何と間違えられてるんだ?)
慌てたカクミの様子を見て、アズが冷静になった
「お兄さん何も知らなそうだね、でも選ばれた人なんだよね?」
「選ばれた人?」
「そうです、と言っても私たちでそう言ってるだけですけど、私たちからぼんやりと光みたいなものが見えませんか?」
あまりにも到達なことすぎて何を言ってるのかわからなかった
「俺はただ近くにいたから来ただけで何の事かさっぱり……」
アズがウズウズしだした
「で、どうなの? オーラ見えてるの?」
「オーラ? そんなこと言われても……俺はここに来ただけで……」
「はっきりしてよ! 見えるか見えないか聞いてるだけだよ!」
アズが声を荒げた
(なんだこの娘……怖い……)
「ちょ、ちょっとアズ、いきなり失礼だよ、すいません悪気はないんです」
(なんか変なのに絡まれたな、もう職場戻ろう……)
カクミは何も言わずに立ち去った
「あっ逃げちゃった」
「逃げちゃったじゃないよ、いきなり強引に押しかけたら失礼だよ」
「うーん、でもさ、あの人弱そうだし頼りなさそうだし選ばれた人だとしても何かできるような人じゃないよ、きっと」
「そうかもしれないけど……せっかく同じ人に会えたんだから話ししてみたかったなぁ」
「まぁお互いオーラはでてるんだし、縁があるならまた会えるでしょ」
2人も事故現場からバツが悪そうに去って行った
「フフ……選ばれた人ねぇ」
現場に残っている何者かが呟いた
「間も無く電車がまいります……」
電車が減速を始めたところだった
ホームから人影が向かってくる電車に飛び込んだ
ギャギャギャギャギャ
すさまじい音を立てて、電車は停止した
轢かれた……飛び込み自殺か……?
野次馬があつまり飛び込んだ男を覗き込もうとした
「!?
はっ? なんだこれ?」
電車はまるで、上空から縦に切られたように真っ二つに切断されていた
「おはようございまーす」
気だるそうなあいさつで男が出勤してきた
「カクミ! もう8時25分だぞ! 昨日も言ったぞ、もっと早く出勤するように!」
「はい……」
言葉少なめにデスクに座ると、みんなテレビに夢中になっていた
(電車の切断事故? 直前には電車に飛び込む男の姿? なんだそれ……)
「カクミ君大丈夫だったんだ、みんな心配してたんだよ」
「近くであったんですか?」
「そうだよ、隣駅。君平気だった?」
「知らなかった……僕は大丈夫でしたよ、今日は早く来てたんで」
「うそつけ! さっき出勤してきたばっかりだろ!」
係長の言葉に返す言葉がなくなってしまった
「なんでお前はすぐバレるような嘘をつくんだ……」
……
長々と説教されてしまった
電車の事故は俺の次の電車で起きたみたいだ、ここひと月くらいで変な時間が起きてきてる、その前にあった空が割れるような音、関係あるのか?
1ヶ月くらい前、カクミが夜寝ようとしている時だった
急に窓の外が明るくなった
(花火か?でもそんな季節じゃないんだけど)
ズゥオオオオオオオ
空気が引き裂かれるような音だった
(何かが起きてる)
外を見てみると、光は徐々に薄くなっていった
(気のせいか……何かに覆われたような気がする)
すぐに妙な違和感は無くなった
翌朝の職場で謎の光について話をする者はいなかった……だから俺は寝ぼけてたものだと思ってた……
やっぱり今日の事故といい、ここ最近変なことが起きてる……気になるな……
【昼、事故現場周辺】
「学校休みになるなんてついてるねー、毎回事故があればいいのになぁ」
「ダメだよアズ、もしかしたらテロかもしれないって言われてるんだよ、何かあったら怖いし」
「テロねぇ……カナちゃんはビビリだねぇ」
「そりゃ怖いよ、アズは怖くないの?」
「ふふふ、あたしたちは選ばれたんだよ、大丈夫でしょ、ってここか事故現場、うわーすっごい人の数!」
「規制されてて電車見えないね」
「ここまで来たんだから電車見てみなきゃ」
アズが人混みを押し退けて規制線ギリギリまで近づいていった
「ちょっとアズぅ待ってよぉ」
カナもアズを追いかけて規制線までついていった
死傷者100名以上だってよ
人混みから聞こえた声にアズの顔が強ばった
「そんなにすごい事ができるなんて……」
「ねぇアズ、あの人もしかして選ばれた人じゃない?」
「ん? あっそうかも」
視線の先では、カクミが現場を眺めていた
「まさかと思うけど、あいつが犯人じゃないよね?」
アズは少し距離を取ろうとした
「ううん、多分違うよ。あの人何もわかってなさそうだもん」
「そーね、なんかバカっぽいしね、ちょっと聞いてみよう!」
そういうとアズはカクミの前まで詰め寄った
「ちょっとお兄さん!」
いきなり話しかけられ、カクミの肩が上がった
高校生? なんだいきなり……
「何か知ってるの?」
カクミは目を丸くした……意味がわからなかった
「何かって? この事故の事?」
「ちょっとアズ! いきなり失礼だよ! すみません、この娘思いだしたらすぐ行動しちゃうんで」
「えっ? えっ?」
(なんだこの娘たち、人間違いか? 何と間違えられてるんだ?)
慌てたカクミの様子を見て、アズが冷静になった
「お兄さん何も知らなそうだね、でも選ばれた人なんだよね?」
「選ばれた人?」
「そうです、と言っても私たちでそう言ってるだけですけど、私たちからぼんやりと光みたいなものが見えませんか?」
あまりにも到達なことすぎて何を言ってるのかわからなかった
「俺はただ近くにいたから来ただけで何の事かさっぱり……」
アズがウズウズしだした
「で、どうなの? オーラ見えてるの?」
「オーラ? そんなこと言われても……俺はここに来ただけで……」
「はっきりしてよ! 見えるか見えないか聞いてるだけだよ!」
アズが声を荒げた
(なんだこの娘……怖い……)
「ちょ、ちょっとアズ、いきなり失礼だよ、すいません悪気はないんです」
(なんか変なのに絡まれたな、もう職場戻ろう……)
カクミは何も言わずに立ち去った
「あっ逃げちゃった」
「逃げちゃったじゃないよ、いきなり強引に押しかけたら失礼だよ」
「うーん、でもさ、あの人弱そうだし頼りなさそうだし選ばれた人だとしても何かできるような人じゃないよ、きっと」
「そうかもしれないけど……せっかく同じ人に会えたんだから話ししてみたかったなぁ」
「まぁお互いオーラはでてるんだし、縁があるならまた会えるでしょ」
2人も事故現場からバツが悪そうに去って行った
「フフ……選ばれた人ねぇ」
現場に残っている何者かが呟いた
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