■Gastgeber■

悪魔ベリアル

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【第4週】

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【第4週】
●10月17日
17日未明
宅配便の配達員を装って、女性宅へ押し入り現金を奪ったうえ性的暴行した男が逮捕されました。
警視庁によりますと、無職の虹村拓海容疑者は去年12月、稲城市在住の女性の自宅にて強盗および性的暴行を加えたとしていてる。
虹村は過去にも同様の事件を複数回起こしており
他にも余罪がないか、慎重に捜査しています。

201 名前:名無しさん 20XX/10/17 21:20 ID:1Edv7Hiq0
こんな恐ろしい事件がまた起きるなんて…。
娘が巻き込まれたらどうしようって思うと、本当に怖くて仕方ないわ。

202 名前:名無しさん 20XX/10/17 21:20 ID:hYq33XEN0
男がまたやらかしたね。
こんな奴らがいるから、全ての男は信用できないんだよ。
もっと厳しく取り締まるべき。

203 名前:名無しさん 20XX/10/17 21:21 ID:D5HwX8uY0
>>202
その言い方は極端すぎるよ。
確かにひどい事件だけど、全ての男性を一括りにするのは違うと思う。

204 名前:名無しさん 20XX/10/17 21:22 ID:z3FOZZ330
>>202
は?男全体を敵視するのはやめろよ。
こんな犯罪を理由に男全員を悪者にするのはおかしいだろ。

205 名前:名無しさん 20XX/10/17 21:22  ID:7yWF0qco0
子どもたちにも、こういう事件から身を守る方法を教えることが必要ですね。
社会全体で防止策を考えないと。

206 名前:名無しさん 20XX/10/17 21:22  ID:aMAterAsu00
こうゆう奴は、死刑に処すべきです。
絶対、報いを受ける事でしょう。


●10月16日
16日
新宿の「トー横」に集う未成年達が犯罪に巻き込まれないようにする為、
NPO法人「月の光」が、そうした未成年者への各種ケア事業を開始しました。
NPOとしては、最大規模の資金を投入し、トー横の浄化を図る目的です。
「月の光」は、新興宗教「ツクヨミ」がスポンサーとして名を連ねており
未成年者が新興宗教に取り込まれる危険性があるのではと問題視する声も上がっています。
これについて、「ツクヨミ」の報道官は以下の様なコメントを出しています。
「「月の光」は青少年育成を目的としており、宗教活動とは完全に分離して活動してゆく。」
「都庁および警視庁は、「月の光」に正式認可を認めており、活動になんら問題はない。」
NPO「月の光」によるトー横の浄化活動に関して、今後の動向が注目されています。

110 名前:名無しさん 20XX/10/17 12:05  ID:ID:o8sLXLiq0
こんなNPOの活動なんて税金の無駄遣いだろ。
結局、未成年がまた問題を起こして終わりだ。
意味がないと思う。

111 名前:名無しさん 20XX/10/17 12:05  ID:3fkinksw0
「ツクヨミ」が支援してる「月の光」は本当に素晴らしい活動をしてる。
これで若者たちが救われるなら、もっと広がってほしい。

112 名前:名無しさん 20XX/10/17 12:06  ID:B.n.P87U0
未成年の保護活動自体は大切ですが、宗教団体との関わりは慎重に見守るべきです。
教育現場としても、偏った影響がないか心配です。

113 名前:名無しさん 20XX/10/17 12:07  ID:xJBuI0360
NPOとか言って、どうせ資金をどこかに流してるんだろ?
こういうのはいつも裏で誰かが甘い汁を吸ってるに決まってる。

114 名前:名無しさん 20XX/10/17 12:07   ID:sGvmkp020
私も貧困家庭の子どもたちにボランティアしてるから、
こうした支援は本当に大切だと思う。
でも、宗教色が強くなるのは少し不安。


マリナは5年目の看護婦。
今日もいつもと変わらない朝が始まる。

夜勤組の申し送りとミーティング。
その後は、病棟を巡回して患者達のバイタル確認。

体温と脈拍の確認をしつつ、
昨夜の健康状態を患者から聞き出す。
そして、大部屋に居る最後の一人を訪問する。

彼女は交通事故にあって、救急で担ぎ込まれた女性。
怪我は脛骨と腓骨骨折、要は脛の部分だ。
右脚はギブスで固定され、歩くのもままならない。
同乗者の人は亡くなっている。
その人は、同性結婚したパートナーと聞いているけど…。

入院女性の名前は、杉本リンカ。

「脚はどう…?」
「痛んだりしない?」
マリナはそう言いながら、テキパキと無駄のない動作でリンカのバイタルを測定した。

だが、マリナはリンカが悲観に暮れて居る様子を見た記憶がない。
まあ、今だに現実を受け入れられないのかも知れないけど…。

「はい。大丈夫っ」
リンカは骨折の治療手術も終わり、寝たままの姿勢で元気に応えた。
「アタシの脚…。
「どれ位で、治りますかねぇ…?」

「そうねぇ…、手術で結合したし、最低3か月はかかると思うわ」
「詳しくは主治医に聞いてみないと、わからないけど…♪」

そう告げると、マリナは彼女への面会希望者が警察以外に来ない事を思い出した。
彼女自身の親や兄弟、同性婚パートナーの親族すら連絡がない。

「そう言えば…リンカさん。」
「ご家族の方とか、関係者の人は…?」
「こちらから、何か連絡した方が良いかしら…?」

「…うーん…っ。」
「いえ、大丈夫です。」
「アタシから、スマホで電話するんで…。」

「そう、それなら良いのよ♪」
「じゃあ、もうすぐ朝食が出ますから…。」
「それまで、ちょっと待っていてねっ♪」

マリナは、リンカの居るベッド周りにあるカーテンを引いた。
そして、次の病室へとカートを押して向かう。

「えーと…。」
「杉本リンカさん…?」

看護婦のマリナが退室した数分後。
鈴の音の様によく通る声が病室入り口から響いた。

ウトウトしていたリンカは、その声に起こされる。
正確に言うと、その声が脳を激しく揺らした。
まるで、冷水を耳の穴から流し込まれた様な、冷たい針が鼓膜を突いたような感覚。
ぞぞっとした悪寒が、リンカの耳から全身へと流れ、意識を強制的に覚醒させる。
不自由な身体を起こすと、必死に手を伸ばして仕切りのカーテンを捲った。

「杉本リンカさん?」
「この病室に居るって、聞きましたけど…?」
声の主は、スーツ姿の女性。
病室の入り口でピシッと起立し、室内を見渡している。

金髪のミディアムヘア。
赤く薄い唇。
切れ長の目は、彼女が気の強い事を象徴していて、
スラリッとしたスレンダーなモデル体型。
その肢体をパリッとしたビジネススーツに包み。
一見すると、何の職業で何者なのかわからない。

だが、何故だろう。
リンカは彼女の姿を見ていると、不安感に襲われた。
自分の背後から暗く、目に見えない背丈ほどのある不安の波が覆い被って来る。
そんな、得体のしれない感覚がリンカを脅かす。

より異様さを醸し出しているのは、彼女が連れていた二人の男だった。
二人とも2mを超える長身で、彼女と同じ様な黒いスーツを着ている。
だが、スーツの内に隠した筋肉が、はち切れんばかりに満ち満ちているのが見て取れる。
彼等は、訪問してきた彼女を両側から護衛する様に立っていた。
片方の男は肩まで伸びた白髪。
もう一人は、逆に短く刈り込んだベリーショート。

その男達の顔は…。
見えない。
わからない。

二人とも、異様な"鬼の仮面"を着けていた。
ギョロリと目が飛び出し、相手を睨みつけている。
そんな、誇張した憤怒の形相。
白髪は青色、短髪が赤色の鬼であった。

意識がクラクラして、身体が緊張する。
腕や脚から力が抜ける様な感覚。
大観衆の前で、演説や出し物を演じる直前に似た。
あの異常な緊張感が、リンカを襲う。

理由はわからないが、あの三人は自分に悪意を持っている。
それだけが無意識に体で理解できた。

異常を察知したリンカは息を殺す。
だが、病室内を見ていた女性は、リンカの動きを察知して室内へ進む。
そして、無遠慮に仕切りのカーテンを捲る。

「…アナタが…、杉本リンカさん…?」
女性はじろりっと、値踏みでもするかの様にリンカを見た。

「…は、はい…。」
「だ、だれですか…??」
リンカは異様な圧力に押され、ベッドの奥へと身をよじった。

「あら、ごめんなさいっ♪」
「怖がらせてしまったかしらっ」
がらりっと、女性は雰囲気を変える様に満面の笑みを浮かべた。

「心配しないで★」
「ワタクシは、貴女を迎えに来たのよっ♪」

「…へっ??」
「む、迎え…?ですか?」
「何処から…?」

「ごめんなさいっ、ワタクシ…」
大己貴命おおなむじ大学病院のすめらぎと申します。」
「皇ディライラと申しますのよ♪」
彼女はしゃんっと姿勢を正すと、リンカの前で深々と一礼する。

「大己貴命…大学病院…?」
「…あっ。」
リンカは記憶を辿り、病院の名前を思い出した。

物部タニヤと一緒に受診する為に向かっていた大学病院だ。
元々の妊娠治療は、少彦名すくなひこな大学病院で受診していた。
そこでは検査出来ないから、詳細検査を受ける為に向かっていたのが、大己貴命大学病院。
その道中で交通事故に逢い、今の救急病院に搬送されたのだった。

「え…、でも…」
「何で、アタシを迎えに…?」

金髪の美女。
怪しい二人の鬼面を付けた屈強な男2人。
どう見ても、不審者でしかない。

「ああっ♪」
「このふたり…?」
「彼ら、右神うしん左神さしんは、アタクシに絶対服従する忠実な下僕ですのよ。」
「怪しい者ではありませんわっ♪」
「アタクシの頼もしいボディガードですのっ♪」
ディライラは心底から、自分達には何も怪しい所がないと豪語する。

「本来、リンカさんはウチの病院で…、」
「大事な精密検査をお受けになる予定だったじゃないですか♪」
「ですから、アタクシがお迎えにあがりましたの…っ☆」

「大丈夫です、すでに転院の手続きは済んでますから。」
ディライラは営業スマイルを崩さず、リンカへ近づいた。
とすんっと、無遠慮にリンカのベッドに腰かける。

「タニヤさんの事は…、心中お察しします。」
「ですが、心配しないでください。」
「これからは、大己貴命大学病院で、ご静養なさってください。」
しゃべり続けるディライラの息が吹きかかる。

右神っ!うしんっ
「リンカさんのお荷物をお纏めしてっ!!」
ディライラがそう命令すると、白髪の屈強な青鬼は素早く行動を開始した。
リンカの私物を棚から持ち出し、大きなバッグへと放り込む。

「え?えっ??」
「ちょっ…、ちょっとっ!?」
「止めてくださいっ!!勝手に…っ!?」
リンカは片足が骨折した体を何とか動かして、右神の動きを制止させようともがいた。

「心配しないでぇ~」
「コチラに全てお任せくださってっ♪」
リンカの抵抗を皇ディライラは、上から覆い被さる様にして圧し留める。

「いやっ!?やだっ!!離して…っ!!」
「何なのっ??こんなのアタシっ、知らないっ!!」
リンカは必死に身をよじり、ディライラの抱擁から抜け出そうともがく。

「まあまあ♪そんなに暴れないでっ☆」
「いやよっ!!行かないわっ!!」
最初に感じたリンカの悪寒は、益々増大して彼女の中で警報を鳴らす。
その本能的な感覚に従って、リンカは必死に抵抗した。

すると、突然に激しいスパークがリンカの身体を突き抜ける。
視界が激しく点滅し、頭の中が真っ白にふっ飛んだ。
再び、独特の乾いた電撃音が響くと、リンカの身体はびんっと硬直して反り返った。

「まったく…、あんまり手間をかけさせないでぇ。」
「貴女は大人しく、我々に従えばよろしいのよっ♪」
ディライラは、スタンガンをベッドに突っ伏したリンカの頬へ圧し当てる。

「そうすれば、こんな物使わなくて済んだのにぃ…。」

左神っ!!さしんっ
「リンカさんを連れて行ってっ!!」
ディライラは短髪の赤鬼へ命令する。
すると、筋骨隆々とした左神は、リンカを両腕で軽々と抱え上げた。
そのまま"お姫様抱っこ"の体勢でリンカを抱え、のっしのっしと歩き出す。

「いやぁっ!!離してっ!!!」
「離してよぉっ!!」
リンカは出せる全力で、左神の抱擁から逃れようともがいた。
だが、彼女を抱きかかえる左神の腕は、岩の様に硬く、びくともしない。
異常を察した他の患者達が、廊下へ出ると運ばれるリンカを見る。

「右神と左神は、頑強で絶対無敵ですの☆」
「アナタみたいな、か弱い女性に解ける程、ヤワじゃありませんことよ♪」
2mを超える鬼の仮面を着けたふたりの男。
それに抱きかかえられた、病衣を着ている若い女性。
ニコニコと周囲に愛想笑いをしている美女ディライラ。

あまりに異様な光景に、誰も行動を起こせない。
看護婦も怯えた様子で、彼等が立ち去るのを見ているだけだった。

「…こっ、のぉ~っ!!」
「離してっ!!誰かっ!!」
「助けて…っ!!」
リンカは周囲で見物している人々に声をかける。

「あら、いやだぁ、リンカさんったら…♪」
「我々は、ただのお迎えですのよっ★」
「ちゃんと、この病院にも話は通してあるんですから♪」
皇ディライラは微笑み、おどける様に周囲の見物客へ手を振ってみせた。

抵抗空しくリンカは三人によって、エレベーターへと載せられる。
リンカをエレベーターに載せた事を確認すると、皇・ディライラは病棟の方へ向き直った。
そして、礼儀正しく深々と一礼すると、エレベーターへ乗り込んで扉を閉めた。

病院のロビーを抜け、エントランスには大きな黒塗りのリムジンが停車している。
自動で後部ドアが開くと、リンカを抱えたままで左神はリムジンへ乗り込んだ。
その後をディライラが続き、トランクへリンカの荷物を積んだ右神が乗り込む。
静かにリムジンは、病院を後にして動き出す。

リムジンの座席は対面式で、前方の運転手に背を向けた座席に左神と右神が座った。
最後尾の座席にリンカとディライラが座している。
ジリジリと焼け付くような、痺れる様な感覚が腕やわき腹を這い回る。
脳みそ自体に鳥肌が立つような感覚に、リンカは意識がクラクラとした。
小さな個室へ圧し込められ、リンカの身体に感じる"悪寒"の圧は増した気がした。

「いったい…、どうするつもりっ??」
観念したリンカは、憮然とした表情で隣に座ったディライラへ問う。
対してディライラは、問いに応えずに営業スマイルを浮かべている。

「まずは…、何かお飲みになります…?」
「リンカさんは…、まだ療養中ですから…。」
「ノンアルコールの方がよろしいかしら…?」
ディライラが目配せすると、察した右神が動く。
座席下に収納されたクーラーボックスから、サイダーの瓶とグラスを取り出す。
そして、サイダーを注いだグラスを簡易テーブルの上へ丁寧に置く。

「どうして…、アタシを誘拐したの…?」
「誘拐? とんでもないですわ☆」
右神から差し出されたグラスをディライラは受け取り、グラスへ口を付けた。

「ちゃんと、転院の許可は取っていますし…。」
「元々、リンカさんは、大己貴命おおなむじ大学病院へ来院のご予定でしょう?」
「まさか、あんな事故に巻き込まれるなんて…。」
「ウチ共も大変心配していましたのよ…。」
ディライラはスラリッとした細い脚と腕を組む。
その姿はファッションモデルの様で、高級なリムジンの内装と似合っていた。

「あ。」
何かを思い出し、ディライラは小さく声を上げた。

「今回の事故でパートナーのお方…。」
「物部タニヤさんでしたっけ?」
「改めて、謹んでお悔やみ申しあげます。」
脚を組んだ体勢から姿勢を正す。
キチンと椅子へ座り、最大限身体をリンカの方へ向ける。
そして、ディライラは太ももに顔がつく位に深く一礼した。

大仰な礼儀正しい動作に呑まれ、リンカもそれに応えて頭を下げる。
だが、すぐに自分の置かれた不可解な状況を思い出した。

確かに、大己貴おおなむじ大学病院へ精密検査に向かう途中だったけど…。
ここまでの対応をされる様な事だと思えない。

「検査って…。」
「妊娠の精密検査…?」
そろりっと小さい声で探る様に、リンカはディライラへ問うた。

「はい、そうですわ☆」
「前にも何回か、ウチで検査を受けたご経験があると思いますけど…?」
再びディライラは脚を組み、グラスのサイダーを口へ含んだ。

同性結婚のパートナーであった、物部タニヤと共にIPS妊娠治療をしている。
あの時のかかりつけ医は、少彦名すくなひこな大学病院。
確かに2回ほど、大己貴おおなむじ大学病院で検査を受けていた。
その受ける精密検査も、外来診察ではなくて、1泊の本格的な検査だった。

だが、その2回とも妊娠していない結果で終わっている。
今回は、3回目の"精密検査"を受診する予定だった。

リンカの警戒を解そうと考えたのか、ディライラは喋り出す。
「今回の不幸な事故で、お怪我もされた様子ですし…。」
「怪我の療養も兼ねて、当方で入院して頂こうと判断した次第ですわ♪」

自慢げに朗々としゃべるディライラの声を聴きながら。
リンカの頭は不快な感覚で一杯イッパイだった。
無数のムカデが体中を這い回る感覚。
車の中という狭い空間。
目の前に座った、微動だにしない二人の鬼。
細かく鋭利な毛糸が、肌をチクチクと刺激する様な感覚。

それは、空間に満ちている悪意だと、本能的にリンカは察知した。
彼女たちは、何かを隠していて。
その為にリンカの身柄を必要としている。

息苦しそうにリンカは、視線を車窓の外へ向けた。
リムジンは徐々にスピードを緩め、赤信号で停車しようとしている。
頭で考えるより、先に腕が動いた。
ドアノブへ手をかけ、ぐんっとロックを解除する。

リムジンが停車するより先にドアを開けた。
するりっと、リンカはドアを開きつつ、その隙間から道路へと身を投げ出した。

硬いアスファルトで身を叩く感覚。
世界は無数の筋に引き延ばされ、白と黒が瞬く。
思考は停止して、衝撃と混乱に身を任せる。
自分が独楽になった気がして、何度もアスファルトを転がり、リンカはリムジンから投げ出された。

アスファルトが視界の半分を覆い、それを呆然とリンカは眺めている。
停車寸前のリムジンから飛び降り
バラバラになった意識が、再びリンカ自身の脳内で再構成される。
意識が固まると、体のアチコチに痛みが走った。
リンカは、力一杯に体を動かす。
だがそれは、ゴロリッと寝転んだ体を転がす程度にしかならなかった。

「…う…っ。」
意識の焦点が定まると、リンカは上半身を起こして周囲を見渡す。
少し離れた場所にドアが開いたリムジンが止まっている。
その中から、ぬぅっと青鬼…。
右神うしんが頭を下げて、下車しようとしているのが見えた。

「…くっ!」
リンカは考えるより早く、うつ伏せになる。
身体中の痛みは増し、全身が熱く火照る様だった。
力一杯に腕を動かし、匍匐前進で何とか前に進む。

右神うしんっ!左神さしんっ!!」
「リンカさんを確保しなさい…っ!!」
「リンカさんっ」
「そこで、ジッとなさっていて…っ!!」
後ろからヒステリックな声色で、ディライラが叫ぶ。
その声がトリガーとなって、リンカは身の危険を察知した。
両腕で自分の身体を突き上げ、腕立て伏せの様な体勢で身を起こす。

「何なのよ…っ、もうっ!!」
思う様に動かない体に愚痴を飛ばし、立ち上がろうともがいた。
だが、ショックから復帰していない身体は、思う様に動かない。

「リンカさんっ!!」
「大人しくなさい…っ!!」
すぐ後ろからディライラの声が聞こえ、咄嗟にリンカは振り返った。
スタンガンの青白い光が瞬くのが見え、リンカの全身を激しい衝撃が駆け抜ける。

その電撃にリンカは、反射的に抵抗して腕を大きく振るった。

「きゃっ!?」
大振りなエルボーは、ディライラの頬へクリーンヒットし、彼女は大きくもんどりを打つ。
飛び上がる様にリンカは立ち上がり、ディライラへは目もくれずに逃げようと脚を出した。

リンカが逃亡したいと思う源泉は、気力より体にまとわりつく"悪寒"だった。
ディライラ達と居る時に感じる不快感。
その感覚に我慢しているのも限界で、三人から早く離れたかった。

裸足のまま、ぺたりっとアスファルトを踏みしめる。
だが、右足はギブスで固められて自由度が極端に少なかった。
硬く拘束された右足は、ゴツゴツと歩きずらく、走る事も出来ない。

「さいってい…っ!!」
吐き捨てる様に悪態を吐き、ディライラの様子に視線を向けた。
左神がぐったりと弱ったディライラを助け起こしている。
そして、右神もディライラの方を気遣って、意識がリンカの方へは向いていない様子だった。

今が好機と察し、リンカは再び歩き出す。
左脚に対して、ギブスで拘束された右足がバランスを狂わせる。
ゼンマイが切れかけたロボット人形の様に、
歩き始めた赤子みたいに、それでも辿々しく歩を進めた。

「あーっ!!」
「もう…っ!!」
あまりにスローペースな事に怒ったリンカは、右足で道路端に置かれたブロックを蹴った。
怒りに任せて、ギブスをブロックへ打ち付けて叩き壊す。
ごろっと大きな塊がギブスから外れ、白い石膏の塊から自分の脚が見える。

「…!!」

その背中にぞろりっと大きな"悪意"が、不安がリンカの身体へ覆い被さる感覚がした。
今まで感じた中で、一番大きな"悪意"
氷の様に冷たく。
底が見えない位に黒い。
鎌を抱えた死神が、後ろからリンカを抱擁するイメージ。
あまりにソレが恐ろしく、リンカは振り返って確認できない。

「はやく…っ、はやく…っ!!」
リンカは恐怖から半ベソになりながら、ギブスを破壊して生足を取り出す。
右足を踏み出すと、そこから地面へ流れ出る様に力が抜け、リンカは身を崩した。

「あぅ…っ!!」
ぐっと右足を踏みしめ、急いで左足を先へ出す。
左足で安定を確保して、右足を前へ出す。
右足はぐにゃりっと曲がると、リンカは力を振り絞った。

バランスを崩して、よろめくと近くの壁へ手を伸ばす。
バシッと叩く様に右手を付き、リンカは転倒を避けた。
その間も、後ろから迫りくる"悪寒"は、その強さを増して行く。
無数の針が彼女の左半身を貫き、その刺激は増々激しくリンカを苦しめる。

リンカは意識をその刺激へ向けると、それは大きな塊に感じた。
少し離れた位置から、こちらへと近づいて来るのが"見える"。
そして、ソレはリンカに対して強い"悪意"を持っている。
しかし、反撃される事に警戒していない事も"見えた"。

リンカは、後ろから向かって来る"悪意"に合わせて腕を後ろへ振りぬいた。
肘鉄が何かへ激突する感触が伝わる。
大きな張りがあり、中に硬い骨のある肉塊に肘が食い込む感覚。
その強い衝撃にリンカ自身の身体も大きく地面へと倒れ込んだ。

カウンターで肘鉄を喰らった右神うしんは、リンカから少し離れた位置へ倒れ込んだ。
どしんっと大きく地面が揺れ、不意打ちをまともに喰らった右神うしんが突っ伏している。

「えぇっ!? 何っ?ナニッ??」
突然、大男が傍らに倒れ込んで来た事に驚愕し、リンカは素っ頓狂な声を上げた。
自分のした行動の結果に理解が追い付かず、地面をバタバタと這う。
だが、すぐに意識を取り戻して、立ち上がる。
骨折していた右足を前へ出し、即座に左足を先へ出す。

最初に打倒されたディライラは、衝撃から回復していた。
そして、右神うしんとリンカのやり取りを目撃した。

「…まずいわ…っ」
「もしかして、定着している…っ??」
左神さしんっ!! アタクシは良いから…、」
「リンカを捕まえなさいっ!!」
「レベル2まで許可するわっ!!」
ディライラは、慌てて立ち上がり、左神さしんへ檄を飛ばした。

左神さしんは、軽く頷くと拳銃でも取り出す様に上着を開いた。
上着の裏には、何本かの試験管に似たアイテムを下げている。
左神さしんは、その中から1本を取り出す。
それは、注射針と薬液が一体化された"エピペン"だった。
それを躊躇いなく、自らの太ももの内側へと突き立てる。

その中身は、人造ホルモンと蛋白同化剤。
人造ホルモンは、投与されると身体のリミッターを解除する。
そして、蛋白同化剤は体内に蓄積しているエネルギーを使用可能な状態へ変化させる。
要は、身体性能を向上させる加速剤だ。
筋力だけでなく、人間の潜在力を引き出して能力を数倍に跳ね上げる。
闘争心を掻きたて、痛みや恐怖を鈍化させる効果もある。

左神さしんは走り出して、猟犬の様にリンカの後を追跡し始める。
だが、途中に倒れた右神うしんを気遣い、立ち止まり手を差し伸べた。
昏倒寸前だった右神うしんは、頭を振りつつ、その手を取って立ち上がる。
彼の無事を確認した左神さしんは、追跡を再開した。
右神うしん左神さしんと同様に、自らエピペンを注射して、肉体へブーストをかけると後に続いた。

「大人しくしてなさい、リンカさん!」
右神うしん左神さしんからは、逃れられないですわ。」
右神うしん左神さしんが追跡を始めたのを眺めつつ、ディライラは声を張り上げる。

「なにせ、彼等はドーピングで身体改造した強化人間ですもの。」
「レスラーや格闘家だって、勝てないですわ。」
「普通の、か弱い女である貴女が、かなうわけありませんのよ。」
そうして、ディライラは自分の乱れ髪を整える。
身体についた土埃を払い落し、悠々と歩き出す。

「右…、左…。」
「右…、左…。」
その間にリンカは、徐々に歩き出していた。
車から飛び降りた痛みも無く、右足でも普通に地面を踏みしめられる。
踏みしめる度に右足から激痛が走るが、耐えられない痛みでは無かった。

「…!!」
いきなり冷水を背中から浴びせられた様な感覚。
一瞬でリンカの意識は、自分の背後へ拡大された。
大きく強い"悪意"が近づく感覚。
その数。
距離。
大きさ。
近付く方向。
ざわざわと背中を悪寒が奔り、脳へと直接に見えない背後の様子を知らせる。

不意にリンカは、自分の身体が後方へ弾き飛ばされた。

いや、それは実体験ではなく、意識だけが肉体から離されて後ろへ弾き飛ばされている。
まるで霊魂と肉体をふたつに引きはがされた様な、不可思議な感覚。
そして、自分の意識が空間へと溶けてゆくのを体感する。
水の中へ、一滴のインクを垂らした様な、すうっと馴染んで拡がる様な感覚。

その感覚によって、自分の周囲360度がハッキリと見渡せた。
自分の身体から精神だけが離れ、幽体離脱したかの様に周囲が認識出来る。

後ろから迫る左神さしん

少し離れた位置で駆け寄る右神うしん

そして、最後尾に下知を飛ばすディライラの姿。
彼女の檄を飛ばす表情まで、今のリンカには認識できる。

ぎゅんっと意識が肉体へと吸い寄せられ
再び肉体と重なる。
自分の肉体へ、自分の魂が再び憑依する。
再起動したかの様に、意識や感覚がスッキリと覚醒した。

すぐ背後、間近に来ているのが…。

左神さしん

リンカは左足を軸にして、ダンスでも踊る様に、くるりっとターンをする。
闘牛の様に左神が、リンカの真横を通過した。
暴れ馬へ飛び乗るかの様に、リンカは左足で飛び上がる。
そして、回転しながら右脚を振り上げ、一気に振り下ろす。
前傾姿勢で突進する左神さしんへ、スウッと右足は吸い寄せられる様に動き、左神さしんの延髄へ振り下ろした。

完全に左神さしんの上を飛び越え、片足で地面へ着地する。
リンカの髪の毛が総毛立ち、その先に敵意がある事を知らせた。

それは、右神うしん

リンカが動くより早く、右神うしんが彼女の右手首を掴む。
そして、畑から蕪でも引き抜く様に、力任せでリンカの身を引き寄せた。

ぐるぐると目まぐるしく回る視界。
常人なら、上下左右も判らなくなる程の動きと速度。

延髄切りをまともに喰らって倒れる、左神さしん
ガッチリと自分の腕を掴み、力だけで屈服させようとしている右神うしん
バレリーナの様に片足立ちで、引き寄せられているリンカ自身。
だが、リンカは自分の位置や向きを完全に理解・把握していた。

右神うしんの動きに自分の身を任せる。
そして、宙に浮いている片脚を引き寄せ、右神の懐へ大きく踏み込む。
腕を掴まれたまま、くるりっと右神へ背を向ける。
右神うしんの腕を自分へ引き寄せつつ、彼女は背中から右神うしんへ体を預けた。
右神うしんは、彼女を後ろから抱きしめる様な体勢になる。
完全に右神うしんの懐へ入り込む。

「…し…っ!!」
リンカは小さく鋭い息を吐き、下から上へ拳を突き上げた。
がちんっと右神うしんの歯がかち合って鳴る。
真下からリンカの拳は、すとんっと右神うしんの顎を叩いた。

リンカはそのまま、ふらりっと前へ倒れかかったが、ぐっと持ちこたえる。
対して右神うしんは後ろへゆっくりと倒れ、大きく尻餅をついた。

「うっ!!ぐぅぅーっ!!」
倒れそうになるのをグッと堪え、リンカは踏みとどまる。
体内の筋肉が切れそうな程に痛みをあげ、
右足はガクガクと震え、力が抜けだしている。

物凄い勢いで、自分の身体から"力"が蒸発している。
だが、ここで倒れると、もう動けなくなる気がした。
残った気力で意識と肉体を踏みとどまらせる。

「…一体…。」
「何なのよぉ~っ、もう…っ」
精一杯の悪態を吐き、リンカは歩き出す。
ドッと戦いの緊張が抜ける。
まるで、体内の水分が抜けきった様な感覚が、リンカの肉体を支配していた。
さっきまであった、覚醒感。
全身を支配していた万能感。
それは、すっかりと蒸発して肉体と精神から抜け出ていた。
それでも、立ち止まったらいけない。

「右…、左…。」
「右…、左…。」
リンカは衰弱しきった体に鞭を打ち、右神うしん左神さしんから離れる。
ふと、リンカは振り返って、二人の状態を確認した。

うつ伏せから両手を付いて半身を起こし、頭を振っている左神さしん
座り込んだままで、脳震盪に耐えつつ、ウロウロと身悶えしている右神うしん

女性のリンカが放った攻撃とはいえ、どちらも真芯を捕らえたクリーンヒットだった。
大人の女性がフルパワーで打った打撃。
いくら男でも、気絶くらいしてもおかしくない。
だが、右神うしん左神さしんも、行動は不能になっているが、意識はある様子だ。

回復する前に二人から逃げないと…。
リンカは残りの体力で、必死に歩いた。

「…なるべく、人ごみの多い場所…。」
リンカの脚から昇る痛みは、熱い火照りとなって痛みとして感じない。
辿々しい歩みは、徐々に速度をあげてゆく。

「…待ちなさいっ!!」
「リンカさんっ!!」
「リンカ…っ!!」
ディライラが右神うしん左神さしんの所へ辿り着く頃。
リンカは、かなりの距離まで離れていた。
その走り去る姿を見たディライラは、癇癪を起した子供の様に声をあげる。
そして、まだ、回復しきっておらず、道路にへたり込む左神さしんの頭を叩いた。


そうした騒動の数時間後。
小雨が降り注ぎ出していた。

シトシトと小雨は、リンカの病院着を濡らしている。
薄手の布地は、べったりとリンカの肌へ張り付き。
浴衣の裾を短く詰めた様な、病院着だけでリンカは、渋谷のスクランブル交差点に居た。

もう、頭から完全に濡れ切って。
ボサボサだった髪の毛もぺったりと雨水に撫でつけられ。
薄い病院着は透けて、黒い下着が見えている。

だが、そんなリンカの姿を周囲の人達は、気にする様子もない。
ちょっと視線を向ける人も居るが、すぐに目を背けてしまう。
リンカは呆然と、目的もなく渋谷の交差点を駅の方へと歩いていた。

身体は冷え切り、先程の戦いでの擦り傷に雨水が滲みる。
通行人は、そんな彼女を巻き込んで、大きな流れとなって、巨大なスクランブル交差点を流れていた。

ひとり。
ふたり。
周囲の人々が歩みを止める。
それは、リンカの周り以外でも見受けられ、スマホを向けて撮影をしている人も居た。
交差点の中央から、端に立つ人まで、人々は何かを見上げて動きを止めた。
リンカも誘われる様に、皆が見ている方向へ視線を向ける。

それは、渋谷スクランブル交差点の真正面にある大型エキシビション。
映し出された映像に群衆は釘付けになっている。
交差点周辺には、6つの大型エキシビションが設置されていた。
その全てに同じ画像が映り込んでいる。

この時、全てのTV放送局は、同じ映像を放映していた。

黒髪でサングラスをかけたひとりの女性。
その背後には、太陽を模した何かの紋章。

そして、女性は全日本国民へ向けて話し始めた。
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