■Gastgeber■

悪魔ベリアル

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【第3週】

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●10月10日
10日午前。
神奈川県相模原市の交差点で、信号待ちの車に逆走した車が衝突する事故がありました。
逆走した車を運転していた立花晃さん(85)
衝突された車を運転していた物部タニヤさん(25)
両名は搬送先の病院で死亡が確認されました。

同乗者の杉本リンカさん(22)は、意識不明の重体です。
署によると、現場は2車線の広い交差点。
立花さんが逆走して、反対車線先頭に居た物部さんの車にぶつかったと見られています。

8 名前:名無しさん 20XX/10/10 19:32 ID:fNjiSWtq0
俺、事故現場見てたんだけど、逆走してきた車が急に加速して突っ込んだんだ。
あの瞬間、めちゃくちゃ怖かった…。

9 名前:名無しさん 20XX/10/10 19:33 ID:mLe.hKEL0
免許持ってないけど、車の事故ってやっぱり怖いな。
特に年配の人が運転してるのは危険な感じがする。

10 名前:名無しさん 20XX/10/10 19:33 ID:Xw6ouP920
また高齢者の運転か…。
年齢が上がると認知機能が落ちてくるのに、なんでまだ車運転させるんだ?
本当に怖い世の中だな。

11 名前:名無しさん 20XX/10/10 19:33 ID:KWIFFa.b0
85歳で運転とか無理あるだろ。
どうせこの国は老人優遇だから、男だろうが女だろうが若者より守られてるんだよ。

12 名前:名無しさん 20XX/10/10 19:34  ID:cCZda0jr0
事故見たけど、すぐに警察と救急車が来てた。
大きな事故だったから、現場は混乱してたし、何が起きたのか一瞬で分からなかった。

●10月10日
10日午後、千葉県市原市の路上で木村正和さん(32)の遺体が発見されました。
事件は5日午後11時、市原市の電柱に吊るされていた木村さんを通行人が発見した。
県警によると、遺体は損傷がひどく、暴行された後で殺害された可能性もあるとの事
木村さんは、過去に不同意性交罪で逮捕され、不起訴で釈放されており
怨恨によって殺害された可能性も視野に捜査中です。

321 名前:名無しさん 20XX/10/11 00:15  ID:aYqkvUpn0
不同意性交罪で何度も逮捕されてるとか最低すぎる。
木村が殺されたのは当然の報いだと思う。
こんな人間が許されるわけない。

322 名前:名無しさん 20XX/10/11 00:15 ID:mUVd.sJx0
木村みたいな男が世間から排除されるって、結局男を守る仕組みが崩壊してる証拠だよな。
どんどん男が弱くなっていく。

323 名前:名無しさん 20XX/10/11 00:15  ID:ebuN3XtK0
木村が罰を受けたのは間違いないけど、殺すまで行くのはやりすぎだろ。
どんな理由があっても、やっぱり暴力はよくない。

324 名前:名無しさん 20XX/10/11 00:16 ID:aMAterAsu00
木村の死は、今までの悪行による当然の報いです。
全ての人は、女性という存在を尊敬し敬うべき。
いずれ、全ての男性に天罰が下ります。

325 名前:名無しさん 20XX/10/11 00:16  ID:cCZda0jr0
これ、女性を守るための闇の組織とか関わってんじゃないか?
最近、こういう事件が続いてるのが不気味すぎる…。

326 名前:名無しさん 20XX/10/11 00:17 ID:mUVd.sJx0
>>322
は?古臭い男尊女卑思想、今の時代通用しないから。
こんなこと言ってるやつこそ危険だわ。
反省しろ。



スッキリとした会議室。
競技場のトラックの様に配置された白いテーブル。
大きな窓からは、東京湾が一望できる。
清潔で生活感の無い空間。

その中心となる席、いわゆる"上座"にひとりの男が座っている。
ビジネススーツに身を包み、明らかに会社上司然とした中年男性。
そんな彼はテーブルに両肘を付き、物思いに耽る様にそこへ頭を乗せて、テーブルへ視線を落としていた。
そのすぐ隣に立っている男は、誰か別の人と電話で会話をしている。

「えー…、そぅっ、そうかあ…はいっ。ハイッ。」

その男は、上座に座る上司と違い、上着は着ていない白いワイシャツ姿。
スマホ片手に、その向こうにいるであろう相手に頭をペコペコと下げていた。
その彼の対面には、もう一人の男が苦虫を潰した様な顔で、腕を組んで座って居る。

この場所は、お台場にあるTV局の会議室。
上座に座る上司は、報道番組制作の長である報道室長。
スマホで通話している男は、番組プロデューサー。
腕組して座る男は、室長の次に偉い次長。

「ええ、はいっ。」
「わっかりましたあ、失礼しますぅ」
「はいっ、はいぃっ。」

大仰に頭を下げ、スマホの通話を終えたプロデューサーは、二人へと向き直った。
彼は、そのまま滑り込む様に会議室の椅子へと座る。

「TBSの知り合いに聞いてみました。」
「やはり、同じものが郵送されてる様子です…。」
「今の電話から聞いた感じだと…」
「同じ内容の動画ファイルみたいです…。」

プロデューサーは、それだけ言うと室長と次長へ頭を下げた。

「これで、民放全部に郵送されている事がわかりましたな…。」
「うーん…、そうかぁ…っ。」
次長は自分の局以外にも届いている事を再確認し、それを聞いた室長は扱いに困って唸った。
大きく椅子の背もたれに身を任せ、室長は天を仰ぐ。

「その動画…。」
「悪戯…、という可能性は…?」

思いついたように身を戻し、室長はプロデューサーに確認する。

「それも確かにありますが…。」
「キー局全てに送りますかねぇ…?」
「小包みの消印は…っ?」
「何処から発送されているのかね…?」
次長は机を軽く叩きつつ、プロデューサーへ詰め寄った。

「ウチに来たヤツは、消印が沖縄でした。」
「TBSは、中国からのエアメールです。」
「こんな広範囲からの投函…」
「悪戯でやる事ですかね…?」

「う~ん…っ」
次長は諦めた様子で、室長と同じ体勢で天を見上げる。

「…どうしたモンかなぁ~っ」
「他よりも先に報道したい…」
ポツリと室長は誰に言い聞かせるでなく呟く。

「でも、ガセだったら大変な事になりますよぉ~」
身を乗り出して次長は室長に問いかけた。
「誤報なんて事になったら、クビですよっ室長…っ!!」

「それに…青鞜党と何らかの繋がりがあったりとか…?」

室長はチラリッと次長を見る。
「今のところ…、関連は見られないし…」
「政党を敵に回すのは、良い事とは思えんねぇ…」

ゆっくりと室長は、視線はそのままに身体を次長へと向けた。
「確かに、青鞜党と求める理念は通ずる所はあるが、」
「最近のこうした運動は、従来よりも活発になっているからねぇ~」
「青鞜党のやり方では、納得出来ない別団体の可能性もある。」

「…とは言え…」
大きく息を吐き、室長は再び天井を見上げる。

「他のキー局に出し抜かれたら、どうする…っ!!」
「速報…いや…っ」
「夕方のニュースに差し込めるか…??」
室長は軽く拳でテーブルを叩いた。

「はい、スタッフにはすでに編集作業に出しています。」
不意に話を振られたプロデューサーは慌てて応えた。

「警察…」
「警察は…?」
「何と言っているっ???」
室長の言葉を制する様に次長が問いかける。

「へあっ!?」
「は、はいっ、警視庁に詰めている記者に確認しましたけど…」
プロデューサーは、バサバサとテーブルに置いていた資料を漁る。
「"特に何も無い"との事でした…っ!!」

「マスコミにしかコレは届いてないのか…?」
「それとも、警察は知らんふりをしているだけか…?」
次長は眉を顰め、思い悩む素振りを見せた。
室長も彼の仕草を真似る様に、腕を組み、ギュッと眼を瞑って思案に暮れている。

「でもぉ…」
プロデューサーが恐る恐る声を上げた。

「このまま放置して、何か大事件でも起こったら…」
「マスメディア全体の責任問題になりません…?」

三人はそれ以降、椅子に座って頭を抱え込んだ。
お通夜の様に、静かに静まり返った会議室。
不意にドアが開くと、スーツ姿の老年男性が入室してきた。
彼が会議室に入った事に気が付いた三人は、慌てて起立してピシッと身を引き締める。

「これは社長…っ!!」
「ご足労いただき有難うございます…っ!!」

老齢の男性に三人は深々と一礼した。
それを睥睨しつつ、社長は会議室の上座へと移動する。
慌てて室長は上座を避け、社長へ椅子を薦めた。
促されるままに社長は椅子に座り、片手でテーブルをコンコンッと小突く。

「…話は聞いているよ。」

「はいっ! 大変申し訳ありませんっ!!」
「我々が判断するには、荷が重く…っ」

室長は大きな声をあげ、今にも床に土下座する勢いで応える。
社長は、片手を軽くあげて室長の勢いを制した。

「私の所に警察から電話が来たよ。」
「警視庁も事を把握している様子だった。」
「具体的な情報は教えてくれなかったがね…。」
「あと、ご丁寧に共同通信社からも連絡があったよ。」

「…本当ですか…???」
淡々と報告する社長の言葉に、室長は息を呑みつつ答えた。

「ああ、事は重大だ…。」
「直接、キー局の重役同士で話をつけたよ」
「フライングはなし。」
「マスコミは連携して、この件を同時刻で報道する事にする。」

毅然とした態度で社長はそう告げた。
これは業務命令であり、その場に居た三人は平伏した気持ちで受け止める。

「さて、では…」
「その動画を見せてくれたまえ。」

社長は椅子に座り直し、室長へ指示を出した。
室長はプロデューサーに無言で目配せする。
プロデューサーは、慌ててノートPCから、その動画を呼び出し
会議室のプロジェクターに問題となった動画の再生を開始した。
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