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第十四話 大迷惑な検証実験
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「なんか疲れてるね」
「え…」
沙織と久しぶりに昼食を一緒に食べようと約束をしていた昼休み。会社の近くのカフェに入り、席に着くなりそう言われる。
「…そう見える?」
「うん。あれ?美緒の癒しの矢野くんは?」
「んー…今出張中」
「あー、だから寂しいんだ」
「それもあるけど…」
ちょっと微妙な雰囲気のまま出張に行ってしまったということはなんとなく言わずに、グリーンスムージーを注文する。矢野くんの作ってくれたおにぎりとお味噌汁はかろうじて食べられたけれど、その後はあまり食欲が湧かないのだ。
「あ、じゃあわかった。あれでしょ?‘海外支社から帰ってきた元カレ’!」
「だから違うってば。ほんとにそれやめて…」
うんざりしたように返す私を見て、沙織は笑った。
「面白いよねー。みんなやっぱりそういう恋バナに飢えてるんだろうね」
「話のネタにされるのも、いちいち否定するのももう疲れちゃったよ…」
「そりゃそうよね。お疲れ様♪」
「もー…面白がってるでしょ」
「まあ面白いか面白くないかで言ったらかなり面白いと思うけど。でもほら、私は美緒と矢野くんが超ラブラブなこと知ってるから」
超ラブラブという表現については恥ずかしいから敢えてスルーするけれど、「どうせみんなすぐ飽きるよ。どんまい」と沙織に軽い感じで返されたことに、逆に少しほっとする。
しかし、沙織はカフェラテを一口飲んでから、少し声をひそめて言う。
「二人とも、付き合ってるってことは周りには言わないスタンスなの?」
「……そんなこと話したこともなかった」
「明日帰ってくるなら、その時ちゃんと話してみたら?美緒のことも矢野くんのことも、結構狙ってる人いるみたいだから、牽制するためにも丁度いいかも」
「な、何それ…」
情報量が多い。
でも、確かに「私には既に夏目さんではない彼氏がいる」という話が浸透していたならこんな厄介事はなかっただろう。いいアイデアかもしれない。でも。
——矢野くんはどう思うだろうか。
盛大に溜め息をついてからスムージーを啜ると、沙織が「少しちゃんとしたものお腹に入れとかないと午後もたないよ」と、自分の注文した分厚いサンドイッチを一切れ分けてくれた。
* * *
「これもあげるから、元気出して」と持っていたチョコレートをくれた沙織と別れ、早めに戻ろうとエレベーターを待っていたところで、社食から何やら華やかな集団が出て来た。
このままだと同じタイミングで乗り合わせてしまいそうだから、エスカレーターで行こうかなと考えていたところで、その中の一人に名前を呼ばれる。
「あっ、美緒ちゃん!」
その声と呼び方に、相手が誰なのかすぐにわかる。
心底うんざりして、無視してしまおうとしたのに、夏目さんはその集団から外れ、いつものように無駄にキラキラした笑みを浮かべながら私の方へ近付いてきた。
「今日は外で食べたの?」
「ああ…はい」
「美緒ちゃんが同じ部署の人たちと行ってみろって言うから何人かに声掛けたらみんな来てくれてさ。うちの社食のカレー、美味しいんだね」
「よかったですね」
「え、なんか怒ってる?」
「……怒ってるっていうか、疲れてます」
ちょっと棘のある言い方になってしまったかもしれないが、結局呼び方も「美緒ちゃん」のままだし、またこうしてチラチラ好奇の視線を浴びることになっている。夏目さんは、そこにいるだけで人の視線を集めてしまうのだ。
しかし、私のげんなりした様子を見るなり目を輝かせて、「先戻ってて」と同僚たちに声をかけた夏目さんは、あろうことか私の手を掴み、ロビーの隅の柱の影まで引っ張って行く。
「ちょっと…なんですか急に」
「ねえ、今どんな気持ち?」
「…は?」
さすがに眉間に皺を寄せて、そのわくわくしている顔を睨み付ける。でも私の視線など意に介さず、夏目さんは続ける。
「久しぶりに会った男と、不本意ながら噂になってる、今の気持ちを出来るだけ詳しく教えてほしい」
そこではっとする。
夏目さんは、私の5つ上の兄 田中翔たなかかけるの1番の友人。
そして、私の兄は——。
「…どういう意味ですかそれ」
「翔がさあ、またスランプだーインスピレーションがわかないーって落ち込んでるんだ」
「それと今の質問にどんな関係が…」
「だから、悩める小説家大先生のために俺が一肌脱ごうかと検証実験をしてるんだよ!」
「小説家大先生…」
そう、私の兄は小説家なのだ。
夏目さんが言うような「大先生」というほどではないが、いくつかの作品はアニメ化されたり舞台化されたりと、一部の界隈ではなかなか有名人だ。私が読書好きになったのも、元を辿れば兄の影響だった。しかし。
「え、ていうか…検証実験?」
何を言われているのかさっぱり理解出来ないが、思い起こすと、以前にも似たようなことがあった。
私が高校時代に他校の男子から告白されたときのこと。通学していた女子校の門の前で毎日放課後に待ち伏せのようなことをされて結構面倒な騒ぎになった。
その時、兄に聞かれたのだ。「美緒、今どんな気持ち?」と。ドキドキするよりも、会ったことも話したこともない人に待たれているというのが怖かった私は、「すごく嫌な気持ち」と答えた気がする。しかし、取材のように根掘り葉掘り聞き取りされたそのエピソードは、後々になって、兄の作品にほぼ丸ごと使用された上、実はその男子も兄が差し向けたものだった(しかも近くで本人がその様子を観察していた)ということもわかって、それから兄とは1ヶ月くらい口をきかなかったし、今もあまり良好な関係ではない。
ということは もしかして……。
「………私はネタ作りのために利用されてたってこと?」
「ね、それでそれで、どんな気持ち?」
「…ありえない」
「…美緒ちゃん?」
「…もー!馬鹿じゃないですかほんとに!!すごいムカついてますよ!夏目さんのせいで面倒な対応は増えるし、彼氏と変な感じになっちゃうし、迷惑です!大迷惑!!」
「おお…!すごい熱量だ」
「まさか人のこと勝手に巻き込んでおいて、この期に及んで馬鹿にしてます?」
「してないしてない!」
私が胡乱げな視線を向けると、夏目さんはちょっと慌てたように顔の前で手を振る。
しかし、その直後に はっとして、話の内容を咀嚼するように恐る恐る言った。
「…ていうか美緒ちゃん、彼氏いるの?」
「いますよ!しかも‘超ラブラブ’って言われてますからね!なのに…」
さっき沙織に言われたときは恥ずかしかった言葉を、開き直って自分で使う。
すると、急に焦ったように夏目さんは頭を下げた。
「ごめん!!」
その声は意外とロビーに響いて、勘弁してほしいと内心頭を抱える。
「…本当にいい加減にしてくれません?」
「も、申し訳ない。ちゃんと本命の彼氏がいるっていうのに、変な噂立てて…」
「いたっていなくたって、嘘の噂流すのは最低ですよ」
それが誹謗中傷じゃなかったとしても。
私がどんなに否定しても噂話がなかなか収まらなかったことも納得だ。
兄にも一言言わなくては気がすまない。
「ちなみにその彼氏ってこの会社の人?」
「……そうです」
「いや、本当にごめん。彼氏にも謝っておいてほしい。いや、俺が直接謝りに行った方がいいな」
本当は、私に二度と関わらないでくださいと言いたいところだけど、いたく反省している様子にやや怒気を削がれ、こちらも小さく溜め息をついた。
結局、夏目さんの言い分としては、スランプ状態の兄を助けるために何か出来ることはないか考えていたところに、本社勤務が決まったため、新しい環境でじっくり人間観察をして、面白そうな話を探そうと思っていた。すると、なんと妹である私も同じ建物で働いていることがわかった。浮いた噂もなく、至って真面目に働いている様子の私に、しかし何か事件がある方がネタになる。それなら自分で関係を匂わせて、渦中の人間になってしまう方が手っ取り早い。
ただ、私に彼氏が、しかも同じ社内にいるとは思っていなかった、と。その後は…今の状況だ。
「これからは夏目さんもちゃんと、全力で否定してください。これまで匂わせはしたけど肯定はしてないんですよね?」
「それはしてない。約束する」
大きく頷いて、夏目さんは「ごめん」と再び頭を下げる。
まあ、夏目さんが肯定していなくても噂話というのはどんな風に広がっていくかわからない。面倒なことをしてくれたものだ。
でもそれ以上に、徐々に昼休みを終えた社員が帰って来て、また変に注目を集めるのは本意ではない。
「もういいですから。お互い早くお仕事に戻りましょう」
これ以上厄介なことになるのは避けたいので、同じエレベーターに一緒に乗り込むのだけは避ける。エレベーターに夏目さんを押し込んで、私はエスカレーターで移動することにした。
あの様子からすると、事実無根の噂はきっとすぐに収束していくだろう。全くはた迷惑な話だった。
——矢野くんにも、謝りたい。
私がいろんなところで否定していても、一方で夏目さんが適当なことを吹聴していたのであれば、矢野くんの耳にどんな形で届いていたかわからない。私の兄と、その周りの人の軽はずみな計画のせいで…
「不安にさせちゃったんだろうな…」
スマホを取り出す。
忙しくて私用スマホなど見ることが出来ないだろうけど、とりあえず短くメッセージを送る。予定通りなら明日帰ってくることになっていたはず。
——早く会って、話がしたい。
なんだか安心したら、少しお腹が空いてきた。
さっき沙織からもらったチョコレートを口に放り込んでから、私は大きく深呼吸をした。
「え…」
沙織と久しぶりに昼食を一緒に食べようと約束をしていた昼休み。会社の近くのカフェに入り、席に着くなりそう言われる。
「…そう見える?」
「うん。あれ?美緒の癒しの矢野くんは?」
「んー…今出張中」
「あー、だから寂しいんだ」
「それもあるけど…」
ちょっと微妙な雰囲気のまま出張に行ってしまったということはなんとなく言わずに、グリーンスムージーを注文する。矢野くんの作ってくれたおにぎりとお味噌汁はかろうじて食べられたけれど、その後はあまり食欲が湧かないのだ。
「あ、じゃあわかった。あれでしょ?‘海外支社から帰ってきた元カレ’!」
「だから違うってば。ほんとにそれやめて…」
うんざりしたように返す私を見て、沙織は笑った。
「面白いよねー。みんなやっぱりそういう恋バナに飢えてるんだろうね」
「話のネタにされるのも、いちいち否定するのももう疲れちゃったよ…」
「そりゃそうよね。お疲れ様♪」
「もー…面白がってるでしょ」
「まあ面白いか面白くないかで言ったらかなり面白いと思うけど。でもほら、私は美緒と矢野くんが超ラブラブなこと知ってるから」
超ラブラブという表現については恥ずかしいから敢えてスルーするけれど、「どうせみんなすぐ飽きるよ。どんまい」と沙織に軽い感じで返されたことに、逆に少しほっとする。
しかし、沙織はカフェラテを一口飲んでから、少し声をひそめて言う。
「二人とも、付き合ってるってことは周りには言わないスタンスなの?」
「……そんなこと話したこともなかった」
「明日帰ってくるなら、その時ちゃんと話してみたら?美緒のことも矢野くんのことも、結構狙ってる人いるみたいだから、牽制するためにも丁度いいかも」
「な、何それ…」
情報量が多い。
でも、確かに「私には既に夏目さんではない彼氏がいる」という話が浸透していたならこんな厄介事はなかっただろう。いいアイデアかもしれない。でも。
——矢野くんはどう思うだろうか。
盛大に溜め息をついてからスムージーを啜ると、沙織が「少しちゃんとしたものお腹に入れとかないと午後もたないよ」と、自分の注文した分厚いサンドイッチを一切れ分けてくれた。
* * *
「これもあげるから、元気出して」と持っていたチョコレートをくれた沙織と別れ、早めに戻ろうとエレベーターを待っていたところで、社食から何やら華やかな集団が出て来た。
このままだと同じタイミングで乗り合わせてしまいそうだから、エスカレーターで行こうかなと考えていたところで、その中の一人に名前を呼ばれる。
「あっ、美緒ちゃん!」
その声と呼び方に、相手が誰なのかすぐにわかる。
心底うんざりして、無視してしまおうとしたのに、夏目さんはその集団から外れ、いつものように無駄にキラキラした笑みを浮かべながら私の方へ近付いてきた。
「今日は外で食べたの?」
「ああ…はい」
「美緒ちゃんが同じ部署の人たちと行ってみろって言うから何人かに声掛けたらみんな来てくれてさ。うちの社食のカレー、美味しいんだね」
「よかったですね」
「え、なんか怒ってる?」
「……怒ってるっていうか、疲れてます」
ちょっと棘のある言い方になってしまったかもしれないが、結局呼び方も「美緒ちゃん」のままだし、またこうしてチラチラ好奇の視線を浴びることになっている。夏目さんは、そこにいるだけで人の視線を集めてしまうのだ。
しかし、私のげんなりした様子を見るなり目を輝かせて、「先戻ってて」と同僚たちに声をかけた夏目さんは、あろうことか私の手を掴み、ロビーの隅の柱の影まで引っ張って行く。
「ちょっと…なんですか急に」
「ねえ、今どんな気持ち?」
「…は?」
さすがに眉間に皺を寄せて、そのわくわくしている顔を睨み付ける。でも私の視線など意に介さず、夏目さんは続ける。
「久しぶりに会った男と、不本意ながら噂になってる、今の気持ちを出来るだけ詳しく教えてほしい」
そこではっとする。
夏目さんは、私の5つ上の兄 田中翔たなかかけるの1番の友人。
そして、私の兄は——。
「…どういう意味ですかそれ」
「翔がさあ、またスランプだーインスピレーションがわかないーって落ち込んでるんだ」
「それと今の質問にどんな関係が…」
「だから、悩める小説家大先生のために俺が一肌脱ごうかと検証実験をしてるんだよ!」
「小説家大先生…」
そう、私の兄は小説家なのだ。
夏目さんが言うような「大先生」というほどではないが、いくつかの作品はアニメ化されたり舞台化されたりと、一部の界隈ではなかなか有名人だ。私が読書好きになったのも、元を辿れば兄の影響だった。しかし。
「え、ていうか…検証実験?」
何を言われているのかさっぱり理解出来ないが、思い起こすと、以前にも似たようなことがあった。
私が高校時代に他校の男子から告白されたときのこと。通学していた女子校の門の前で毎日放課後に待ち伏せのようなことをされて結構面倒な騒ぎになった。
その時、兄に聞かれたのだ。「美緒、今どんな気持ち?」と。ドキドキするよりも、会ったことも話したこともない人に待たれているというのが怖かった私は、「すごく嫌な気持ち」と答えた気がする。しかし、取材のように根掘り葉掘り聞き取りされたそのエピソードは、後々になって、兄の作品にほぼ丸ごと使用された上、実はその男子も兄が差し向けたものだった(しかも近くで本人がその様子を観察していた)ということもわかって、それから兄とは1ヶ月くらい口をきかなかったし、今もあまり良好な関係ではない。
ということは もしかして……。
「………私はネタ作りのために利用されてたってこと?」
「ね、それでそれで、どんな気持ち?」
「…ありえない」
「…美緒ちゃん?」
「…もー!馬鹿じゃないですかほんとに!!すごいムカついてますよ!夏目さんのせいで面倒な対応は増えるし、彼氏と変な感じになっちゃうし、迷惑です!大迷惑!!」
「おお…!すごい熱量だ」
「まさか人のこと勝手に巻き込んでおいて、この期に及んで馬鹿にしてます?」
「してないしてない!」
私が胡乱げな視線を向けると、夏目さんはちょっと慌てたように顔の前で手を振る。
しかし、その直後に はっとして、話の内容を咀嚼するように恐る恐る言った。
「…ていうか美緒ちゃん、彼氏いるの?」
「いますよ!しかも‘超ラブラブ’って言われてますからね!なのに…」
さっき沙織に言われたときは恥ずかしかった言葉を、開き直って自分で使う。
すると、急に焦ったように夏目さんは頭を下げた。
「ごめん!!」
その声は意外とロビーに響いて、勘弁してほしいと内心頭を抱える。
「…本当にいい加減にしてくれません?」
「も、申し訳ない。ちゃんと本命の彼氏がいるっていうのに、変な噂立てて…」
「いたっていなくたって、嘘の噂流すのは最低ですよ」
それが誹謗中傷じゃなかったとしても。
私がどんなに否定しても噂話がなかなか収まらなかったことも納得だ。
兄にも一言言わなくては気がすまない。
「ちなみにその彼氏ってこの会社の人?」
「……そうです」
「いや、本当にごめん。彼氏にも謝っておいてほしい。いや、俺が直接謝りに行った方がいいな」
本当は、私に二度と関わらないでくださいと言いたいところだけど、いたく反省している様子にやや怒気を削がれ、こちらも小さく溜め息をついた。
結局、夏目さんの言い分としては、スランプ状態の兄を助けるために何か出来ることはないか考えていたところに、本社勤務が決まったため、新しい環境でじっくり人間観察をして、面白そうな話を探そうと思っていた。すると、なんと妹である私も同じ建物で働いていることがわかった。浮いた噂もなく、至って真面目に働いている様子の私に、しかし何か事件がある方がネタになる。それなら自分で関係を匂わせて、渦中の人間になってしまう方が手っ取り早い。
ただ、私に彼氏が、しかも同じ社内にいるとは思っていなかった、と。その後は…今の状況だ。
「これからは夏目さんもちゃんと、全力で否定してください。これまで匂わせはしたけど肯定はしてないんですよね?」
「それはしてない。約束する」
大きく頷いて、夏目さんは「ごめん」と再び頭を下げる。
まあ、夏目さんが肯定していなくても噂話というのはどんな風に広がっていくかわからない。面倒なことをしてくれたものだ。
でもそれ以上に、徐々に昼休みを終えた社員が帰って来て、また変に注目を集めるのは本意ではない。
「もういいですから。お互い早くお仕事に戻りましょう」
これ以上厄介なことになるのは避けたいので、同じエレベーターに一緒に乗り込むのだけは避ける。エレベーターに夏目さんを押し込んで、私はエスカレーターで移動することにした。
あの様子からすると、事実無根の噂はきっとすぐに収束していくだろう。全くはた迷惑な話だった。
——矢野くんにも、謝りたい。
私がいろんなところで否定していても、一方で夏目さんが適当なことを吹聴していたのであれば、矢野くんの耳にどんな形で届いていたかわからない。私の兄と、その周りの人の軽はずみな計画のせいで…
「不安にさせちゃったんだろうな…」
スマホを取り出す。
忙しくて私用スマホなど見ることが出来ないだろうけど、とりあえず短くメッセージを送る。予定通りなら明日帰ってくることになっていたはず。
——早く会って、話がしたい。
なんだか安心したら、少しお腹が空いてきた。
さっき沙織からもらったチョコレートを口に放り込んでから、私は大きく深呼吸をした。
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