あの人と。

Haru.

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After Story

限界なんてない

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「んぅ……」

「おはよう、ユキ」

「お、はよ……?」

 ぼうっとする視界で大好きな声が聞こえた方を見れば、スリスリと頬を撫でながらちゅっと優しいキスをされました。いい目覚めです。

 なんとなくまだ離れたくなくて、むぎゅ、と抱きつけばなんだか服っぽい感触がないことに気付いた。なんだろ、まるで人の肌みたいな……

「擽ったいぞ、ユキ」

「……ダグ、なんで服着てないの?」

 ビックリした。ダグは服を着ていなかったみたいだ。僕はしっかり見覚えのある寝間着を着ている。ダグだけどうして? 寝る前は着てた筈だけどなぁ。

「ああ、暑かったから脱いだんだ。下は履いてるぞ?」

「人前で脱いじゃダメだからね。こんなかっこいい身体僕しか見ちゃダメだもん」

 惚れ惚れするくらいカッコいい引き締まった身体だもん。ただでさえハイスペック過ぎるのにこんな身体みたらみんな惚れちゃうよ。ダグは僕のなのに。

「はは、ユキも人前で脱いだら駄目だからな」

「脱がないもん。……ていうか脱げないよ。こんなにダグの証つけられてるもん……」

 ちらりと服の襟から中を覗けば花弁のように散りばめられたダグの証があちらこちらにあった。こんなの恥ずかしくて見せられないよ。ダグに言われなくとも人前で服を脱ぐなんてこと出来ません。

「本当は見えるところにつけたいんだがな」

「だ、だってみんなに知られちゃう……」

「何をだ?」

 ニヤリと笑うダグは確実に僕の思ってることを理解しているはずだ。僕が恥ずかしがることを言わせたがるなんてダグったら意地悪……

「え、えっちしたって……」

「そうだな。ユキがいやらしく乱れたところも想像されてしまうかもな」

「やだぁ……ダグ以外にそんなこと想像されたくない」

「俺も嫌だな。ユキは俺のものだと見せびらかしたいのに難しいところだ」

 相変わらずダグは僕との関係を見せびらかしたいみたい。僕もダグは僕のって示したい気持ちがあるからまったく納得できないわけじゃないけども、やっぱりちょっと恥ずかしい。

 でも、ダグのって誰がみてもわかる証もちょっと心惹かれる気も……うぅむ……

「……1つだけ、なら見えるところにつけていい、よ? でも髪とかで隠れやすいとこがいいけど……」

「本当か? ならここ、いいか?」

「……ん」

 ガバリと起き上がったダグが指先でなぞった場所は髪を下ろしてしまえば見えない場所だった。そこなら髪型を考えたら周りに見られることはない。かといって油断して外に出て風が吹いたら見られちゃうかも……っていう絶妙な位置。

 ダグがそこに強く吸い付き、チリ、とした痛みで赤い証がついただろうことがわかった。僕からは見えない場所だけれど、なんだかほわっとする。

「ん、綺麗についたな」

「僕も、ダグの首につけたい」

「いいぞ。俺は隠さないが」

 ……それってつまり僕がつけたものが周りに丸見えってことで。うぅ、恥ずかしいけどでもでも僕もつけたい……!

 恥ずかしさに耐えてつい今さっきつけられた場所と同じような場所に強く吸い付き、そっと唇を離せばくっきりと痕が残った。僕のって証を残すのはものすごく気分がいいものです。

「ふふ、僕のダグ」

「どうした? 可愛いな」

「えへへ。ダグは髪が短いから見えちゃうね」

「俺はユキがつけてくれた証を見せたいから構わない」

 僕の独占欲の証を見られちゃうなんて恥ずかしいなぁ。でもダグが嬉しそうだからいいや。僕は見せないけど。つけられたのを見せるのは恥ずかしいもん。リディア相手ならもう慣れたけどね。

「さて、そろそろ起きるか。着替えてくる」

「ん。……あ、ダグ、これって……」

 着替えるためにと僕に背を向けたダグの背中に引っ掻き傷が……ぼ、僕が昨日つけたん、だよね……

「ご、ごめんね、痛い……?」

「ん? ああ、傷になっているか? 気付かなかったくらいだから痛くないぞ」

 よ、よかったぁ……傷つけちゃったことは変わらないけど痛みがないだけよかった。

「ふむ……ユキの証がここにもついているのか。嬉しいものだな」

「え? ……あぅ……」

 そ、そっか、これって僕がしがみついた証拠で……引っ掻いたことに気が付かないくらいに思考を奪われちゃったってことで……うぅ、恥ずかしい……!

「くく、トロトロになったもんな?」

「~~っっ、言わないでよぅ……」

 そうだけど! そうだけども!! 間違ってないけど恥ずかしい……恥ずかしくてダグの顔が見れません。布団を引き上げて潜るとギシ、と音がしてダグが覆いかぶさってきた気配が。

「ユキ、可愛い顔を見せてくれないのか?」

「うー……」

「ユーキ」

 凄く甘くて上機嫌なことがわかる声が聞こえて、そろりと目だけ出してみると甘く微笑んだダグの顔がすぐそばにあった。

 僕の1番好きなダグの表情だ……黄金色の瞳も蜂蜜のように甘く蕩けていて胸が甘く締め付けられます。

「可愛いな、ユキ。ほら、出ておいで」

 そろりと手を出して少し布団を下げればそのままグイッと引っ張られて完全に布団から引き出された。ダグの膝の上に乗せられてガッチリと固定されて逃げられません。

「真っ赤だな」

「やっ、見ちゃダメ」

 ふるふると頭を振ってダグの首元に顔を隠せばくつくつと笑いながら頭を撫でられた。

「本当にユキは何もかもが可愛いな。これ以上虜にしてどうするんだ?」

「……僕だってダグに魅了されすぎてるもん。お互い様だよ」

 まるで毎日恋をしているかのように、ダグへの想いは留まるどころか日に日に増していく。限界はどこなのかなってくらいにダグが好きで好きでたまらない。きっと限界なんてないんだろうなぁ……寿命が尽きるその時まで、果てしなくダグのことを好きになっていくんだと思う。

「ふ、そうだな。愛している、ユキ」

「……僕も。ダグ愛してる」

 そろりと首元から顔を離してそう言えば嬉しそうに、幸せそうに微笑んだダグの唇がそっとおりてきて僕のそれと合わさった。今の気持ちにぴったりなゆったりと、それでいて蜂蜜のように甘いキスはうっとりするほど気持ちよくて、時間も忘れて酔いしれた。


 ようやく唇が離された時は僕は腰はすっかりと抜けて思考もとろんと溶けていて。上機嫌なダグによって準備を整えられて漸くベッドから出た。

 歩けないからダグに抱えられて寝室から出るとテーブルの上にはフードカバーが被せられたお皿がズラリと並んでいた。そういえばまだご飯食べてなかった。ダグとのいちゃいちゃに夢中で忘れてました。

 それでもご飯を食べていないことを意識しだしたら一気に空腹感が襲ってきてお腹もくるくると鳴き出した。もうお昼までにはちょっと早いけど朝ご飯にしては随分遅いくらいの時間だもんね。お腹も空きます。

「もう時間的にブランチだな」

「ん。お腹すいた」

「そうだな。食べたら庭でも行くか? 城ほどではないがここの庭も悪くないぞ」

「行く!」

 そのまま庭でお茶もいいなぁ。ちょうど今日は天気もいいし暖かくて気持ち良さそう。早く食べて外に行きたいです。

「そうと決まれば早く食べよう」

「うん! えへへ、デート久しぶりだね。嬉しいなぁ」

「留学中は出来なかったからな。俺も嬉しいぞ」

 久しぶりのデート、目一杯楽しまなくちゃね! かといってはしゃぎすぎたら僕の場合体調を崩しかねないから気をつけなくちゃね。せっかくダグの故郷に来てるのに寝込むなんて嫌だもん。軟禁なんてもってのほかです。今日は大人しくダグの腕の中で過ごします。

 ブランチのサンドウィッチはダグの膝の上でちゃんと自分で掴んで食べて、デザートはダグと食べさせあいっこしながら食べました。美味しかったです。

 さぁ、いざデートです!!
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