あの人と。

Haru.

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After Story

色々と

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「幸仁の機嫌を損ねてしまったら駄目だしこの辺でこの会話は終わりにしよう」

「拗ねたユキも可愛いんですが」

「おや、口も聞いてもらえなくなって困るのはダグラスだろう?」

「……その拗ね方は痛いですね」

 僕が拗ねると大抵ダグにひたすらひっついて癒されようとするからね。口を聞かないのは珍しいのです。だってそもそも僕が本気で嫌がることをダグがするのってそうそうないからね。本気で嫌なことされたら拗ねてますアピールをするためにツンとした態度をとることもあるけど、基本的にはダグに癒されて終わりがいいのです。

「ふふ、本当に2人を見ているのは飽きがこないね」

「僕もダグといちゃいちゃするのは飽きません」

 一日中でも飽きないよ!

「うん、知っているとも。幸仁の感情はほぼ全て私に伝わってくるからね」

「まさか……」

 前から思ってたけどえっちの時の感情も伝わってるのかな……僕、あの時ものすごーく幸せって思ってるよね……幸せな感情って伝わりやすいんだっけ……もしかして神様にえっちの最中の感情って筒抜け?

 チラリと神様を見ればニヤリと意地悪い顔で一言。

「もちろん」

 死にたい……! 恥ずかしすぎるでしょ……!!

「今更かい? それに何万年と生きてきた私にとって人の子の閨事などさしたることではないよ。過去の神子のものだって伝わってきていたわけだしね」

 過去の神子……あの草書の神子様のもか……それは、うん、大変でしたね……? かなりマニアックな内容だったもん。それが伝わってきてた神様って大変。

「まぁ今までで1番幸仁の感情は強く伝わってくるけれど」

 感情が神様に伝わりやすいのは魂が綺麗な証拠だけども……! なんだか嬉しいようなそうじゃないような……だってそのせいでえっちの時も筒抜けなんて微妙です。

「自然と伝わってくるものは仕方ないだろう? 勿論、どんな時に感じた幸せでも私に伝われば世界に良い影響を及ぼすのだから、幸仁は思う存分ダグラスと睦みあっていたらいいさ」

 僕とダグがえっちすると世界に良い影響を及ぼすなんてなんか恥ずかしい……でもでもダグとのえっちは幸せ以外の何物でもないし……うぅ、慣れるしかないよなぁ……まぁダグといちゃいちゃしだしたら気にならなくなる、はず! だって普通に周りなんて見えなくなるし! うん、気にならない気にならない!

「ふふ、たしかにそうだろうね。そのままの幸仁でいておくれ」

「はぁい」

「では私はそろそろ戻るとしよう。2人はここでゆっくり思い出に浸っていくといい。心配しなくとも朝になれば元の世界へ戻れる。勿論疲労感も残らない。ではね」

 ゆっくりと消えていった神様を見送り、ダグと顔を見合わせてからぐるっと周りを見渡してみる。

「……座る?」

「そうだな。ちょうど良さそうな椅子があるぞ」

「わぁ、本当だ。しかも回転するやつだ」

 卵型のその椅子は座り心地の良さそうな大きめの1人掛けで、クルクルと回るようになっている。ダグが座ってからその足の間に僕が座り、ゆっくりと回りながらあちこちに映る僕達の思い出を見ていく。

「懐かしいねぇ」

「そうだな。これだけ俺との記憶がユキの中にあるのは嬉しいことだ」

「ダグの中には残ってる?」

「勿論だ。ユキとの記憶は全て宝物だからな」

「ふふ、僕も」

 どんな些細なことでもダグとの思い出は全部宝物。そこにダグがいるっていうだけで全部幸せなものに変わるからね。僕のダグへの愛はそれくらい強いってことです!

「明日からもまだまだ思い出は増えていくんだろうなぁ……」

「当たり前だ。何十年も共に過ごすのだからな」

「そうだね」

 当たり前のように何十年も一緒に過ごすと言ってくれたことが嬉しい。僕も勿論何十年だってダグと一緒にいるつもりだけど、ダグも同じように思ってくれている証拠だから。

 2人でお爺ちゃんになってもずーっと思い出を作っていくんだから、きっと今見ているこの思い出達はその中の何十分の一でしかなくなるんだろうな。でもそうなったとしても、この思い出がどうでもよくなるわけじゃない。いくら思い出が増えてもそのそれぞれが大事で、全部が宝物になるから。

 のんびりといろんな思い出を見ているとダグが口を開いた。

「ユキ、あの辺にやたらと俺の寝癖が映っているんだが」

 ダグが指さした方を見てみるとたしかにダグの寝癖ばかり映っていた。軽いものから一回全体を濡らさないと直らないくらい酷いものまで。

「かっこいいダグの髪の毛が跳ねてるのって可愛いんだもん。まとめて記憶してるんだろうなぁ」

「……格好悪いだろう」

「えー、可愛いよ? 僕ダグの寝癖見るの好き」

 ギャップ萌えってやつです。朝から寝ぼけることなくキリッとした表情のダグが寝癖をつけてるなんて可愛いすぎます。でもダグの部下さんが見たら笑っちゃうかな? ダグの威厳を守るためにもちゃんと教えるけど本当はずっと見ていたいんだよ。

「俺は寝ぼけたユキを見るのが好きだな」

「うー……僕寝ぼけると物凄いからなぁ……」

 寝ぼけた時のこともなんとなく覚えてるんだよ。いっそ記憶なかったらいいのに……ダグの胸元にひたすら吸い付いていた記憶なんていりません。……先っぽじゃなくて本当に良かったけど。

「きっと俺の心の中だと寝ぼけたユキの姿が固まっているんだろうな」

「恥ずかしい」

「俺も寝癖ばかり固められていて恥ずかしいぞ」

「お互い様かぁ」

「そうだな」

 それなら仕方ないかぁ。僕だけじゃないからいいや。むしろお揃いみたいで嬉しいです。バカ? うん、僕はダグのことになるとバカになるからね! 今更です!

「あ、結婚式だ」

「あまりにもユキが美しすぎて攫って誰の目にも映らないところへ隠したいくらいだった」

「え、そうなの? 僕もダグがかっこよすぎて死にそうだったけど」

 ダグはキラッキラと光を飛ばしてましたからね! もう本当になんで僕のダグはこんなにかっこいいんだろう。いつだってかっこいいけどおめかししたダグは格段にかっこいいんだよ! キラキラのエフェクトがかかるのです。

「死なないでくれてよかった。結婚式に妻に死なれるなど考えられん」

「たしかに」

 それなんて罰ゲーム? 逆の立場でも絶対やだよ。ダグが死んじゃうのも考えられないけど。結婚式は幸せなもの!

「こうして生きてくれているから構わないが」

「ふふ、腰は抜けちゃったけどね」

「ああ、誓いのキスで腰を抜かしたユキは可愛かったな」

 僕的には黒歴史なんだけどなぁ。だってみんなの前で腰抜かしてお姫様抱っこされて……ビシビシと生温い視線を感じてものすごく恥ずかしかったのです。

 まぁ普段も割と生温い視線を向けられてるけどね。ずっといちゃいちゃしてるからまたか……って目で見られるんだよ。それでもダグと距離を置くなんて絶対にするつもりもしたくもないです。

「次はリディアの結婚式だな」

「うん! もう少しだね。楽しみだなぁ」

 そうなのです。僕が留学に行く前にリディアとアルバスさんの結婚式があるのです! なのでリディアは今結構お休みが多くなってて、結婚式後には新婚旅行に行く予定です。それが終わってから僕の留学が始まることになってて、リディアもそれについてきてくれることになってます。

 新婚夫婦を引き離すなんて申し訳なさすぎてついてこなくてもいいよって言ったらすごい剣幕で怒られた。なぜかアルバスさんにも怒られました。僕のお世話をする人がいなくなるなんて安心できないって。僕そんな変なことしないけどなぁ……え? 放っておいたら無茶する? えっと、気付かない分には仕方な……いや、なんもないですごめんなさい!!

 まぁとにかくリディアは留学先でもお世話してくれることになってまして。新婚夫婦を暫く引き離しちゃうんだからせめて2人の結婚はそれはそれは盛大にお祝いしたいのです! それでなくとも2人の幸せはお祝いしたい気持ちでいっぱいですけどね!

「あいつには世話になっているからな。盛大に祝ってやろう」

「うん! 僕大きなケーキ焼くの!」

「きっと喜ぶだろう。団長が全部食べてしまわないといいんだが……」

「さ、流石にそれはしないよ、きっと!」

 きっと、うん……しない、よね? 念のため2つ作った方がいいかな……?
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