あの人と。

Haru.

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After Story

その時は

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 みんなへのお土産もたくさん買い、やることがなくなればあとはダグとまったりデート。噴水のそばのベンチに座って休憩したり、お店に入って色んなものを見たり。

 ……たっくさんダグにプレゼント買ってもらいました。主に髪飾りで、あとは櫛とかティーカップとかグラスとかの小物類。靴とか服も買いたかったらしいんだけど、僕のサイズにするには仕立てることになるから、採寸のために上着を脱がされたり、仕立て上がったものを届けてもらうために住所を教えないとダメだったりで、流石にそれはマズイと諦めたそうです。騎士さんへのお酒はあれ、ダグの名前を使って騎士団へってことにしたから問題無いのです。

「……今度仕立て屋を呼ぶか。やはり服と靴も買いたい」

「えっ、まだ買うの?」

「冬用の服がいるだろう?」

「冬服が僕の衣装部屋に増えてたのは気のせいかなあ」

 いつのまにか冬服が増えてたんだよねぇ。その分衣装部屋も広くなって……いつか部屋より広くなるんじゃって戦々恐々としてます。

「服は毎日着るんだ。俺は制服があるからそう数はいらないが、ユキはいくらあってもいいはずだ」

「たしかに毎日着るけど……なんだかそのうち特別感が薄れちゃいそうで怖いなあ」

 ダグからのプレゼントは嬉しいし、全部宝物だけど……そのうち当たり前になって全部に同じような感情しか抱かなくなっちゃいそうで怖い。

「ユキの周りに当たり前のように俺が与えたものが増えるなら嬉しい限りだ」

「もう、そんなこと言って……」

 たしかに僕もダグにもらったもので囲まれてると安心しますけど! 胸がぎゅっと甘く締め付けられてダグへの想いが増しますけど! でもいっぱいもらうのはなぁ……だって僕のお給料ダグみたいに多くないからダグにプレゼントあんまりできないんだもん!!

「僕もダグに沢山プレゼントしたいのにずるい」

「その気持ちだけで十分だ。俺の横で笑っていてくれたらそれでいい」

「僕だってダグがいるだけで十分なのに……ダグが沢山僕に買い与えたせいで僕がとんでもないわがままになっても知らないからね」

「ユキがわがままになればもっとユキに貢げるな」

「ばか」

 どれだけ僕にお金を使う気なのさ……ダグのお金だからダグの好きなように使っていいけども……旦那様の浪費は妻が諌めるべきですか? でもダグの話からして破産しそうにもないのに諌める意味とは……うぅむ、難しい!


 暗くなる前に馬車に乗り、お城へ帰るとまずはロイの元へ報告に。あ、朝からデートだったけど、お昼はちゃんと食べたよ。リディアが用意してくれてたものをダグが預かっててくれてて、それをベンチで2人並んで食べたのです。

 まだお仕事中だろうとロイの執務室へ行くとロイとオリバーさんがいた。ロイは僕を見ると確認していた書類を置いて手招きしてくれて、僕はそのままロイのそばへ駆け寄った。

「ただいま!」

「おかえり。楽しかったか?」

「うん! 行かせてくれてありがとう」

「ユキが楽しかったならいい」

 わしゃわしゃと頭を撫でられ、くすぐったくて思わず笑ってしまう。そんな僕にロイも優しく笑いかけ、最後にポンポンと優しく僕の頭を叩くと手は離れていった。

「さて、疲れただろう。今日はもう食事をとったらゆっくり休むといい」

「お土産……」

 ロイの気遣いはありがたいけど、お土産も渡したいのに……

「また買ってきてくれたのか? ユキの都合のいい時で構わないさ。体調を崩してはことだから、今日はお休み」

「わかった。またみんなでお茶したいな」

「そうだな、週末にでもしよう」

「うん!」

 みんなでお茶できることが嬉しくて、僕はロイの言葉通り今日はもう休むことにして足取り軽く部屋へ戻った。

「ふぁー……疲れたぁ……」

 さっきまではそんなに疲れた気はしてなかったんだけど、部屋に戻った瞬間にどっと疲れが……気が抜けたからかなぁ。

 バフっとカウチにダイブするとダグに起こされてリディアにコートを脱がされて手に浄化をかけられました。行儀悪くてごめんなさい。あ、ヴェールはお城の敷地内に入ってから馬車の中でとったよ。要は城下町の人に見られなかったらいいので。

「今日は早く寝よう」

「うん」

 ひょいっとダグの膝に乗せられ、そのままぐでっともたれると頭を撫でられました。癒されます。

「私はすぐにお食事のご用意をしてまいります。それまでごゆっくりなさっていてください」

「はぁい」

 リディアが出ていってもダグはずっと僕をなでなで。正直寝そうです。寝落ちしそうです。

「ダグ~……寝そうだから撫でるのはご飯食べてから~……」

「くく、撫でられはしたいんだな」

「ダグに撫でられるの好きだもん……」

 いくらでもしてほしいけどご飯食べたい……リディアが用意してくれるご飯を食べないわけにはいかないのです……リディアに申し訳ないし僕もお腹すく……!

「ポンポンもだめ~……」

「わかったわかった」

 くつくつ笑いながら抱き締められて寝ないように必死に意識を保つ僕。どうしよう、ダグの体温だけでもう寝そう……

「ユキ、寝る前にほら、ネックレスをつけてくれ」

「ネックレス!」

 そうだ! お揃いのネックレス買ったんだった!

 さっきまでほとんど閉じていた目もぱっちり開き、いそいそとポシェットからネックレスが入った箱を取り出すとダグも同じように箱を出していた。かけられたリボンの色が違うだけの、全く同じ箱です。

「はい、ダグ」

「ありがとな。ユキもほら」

「ありがと!」

 ひとまず交換し、それぞれリボンを解き、包装紙も綺麗に剥がして箱を開く。そこからはまた交換して、お互いの首に付けあいっこです。あくまでもお互いからプレゼントされたものだってことを実感するために、包装を解くのは贈られたものなのです。しっかりと箱を交換するのが重要です!

「似合う?」

「ああ、よく似合う。可愛い」

「ダグも似合ってる! 僕のダグかっこいい」

 ちゃんとチェーンの長さは変えてもらったから、それぞれサイズはピッタリなのです。お店で思った通り、ダグにも似合うデザインでダグのかっこよさが増してます。今はネックレスをつける時にシャツのボタンをいくつか開けたから胸元が見えてて……そこから覗くネックレスがダグの筋肉を引き立てて……色気がものすごいです!!

「これ見せちゃだめだからね! こんなに色っぽいのは僕にしか見せちゃだめだよ」

 きっちりボタンを留めなおして色っぽい胸元を隠せば大満足! たとえロイ達でもだめです! リディアとラギアスは……ギリギリ、本当にギリギリ許します! だって僕のそばにいることがダントツで多いから全く見ないなんてあり得ないと思うし……でも極力隠すよ! こう……抱きついたりして見えなくします! ダグの色気は僕だけのものです。

「それを言うなら俺はユキの全てを見せたくない。誰にも見せずに閉じ込めてしまいたいくらいだ」

「鎖とかつけて逃げないようにするの?」

「鎖などつけなくともユキは逃げないだろう?」

 たしかに。ダグがずっと僕のことを好きでいてくれて、ダグがそれを本当に望むなら僕は逃げないと思う。側から見たらヤンデレ夫婦でしかないだろうけど、まぁそれはそれで?

「だが、色々なものを見てキラキラとした笑顔を見せるユキも好きだから閉じ込めるようなことはしない。あまり嫉妬させないでくれよ」

「僕だってかっこいいダグがとられないかいつもハラハラしてるんだからね! 今日だってダグのこと見てる人いっぱいいたもん……」

 僕はこの世界の人からしたら12歳程度だから、並んで歩いても夫婦になんて見られない。年の離れた兄弟くらいにしか思われないから、いくら僕が牽制のつもりでダグに腕を絡ませても、周りはダグを嫌そうなそぶりも見せずに弟の面倒を見る面倒見のいいお兄ちゃんとしか見ないんだよ。このルックスで面倒見がいいってなるとモテるのはわかるけど……! わかるけどダグは僕のなんだからね! 僕は弟じゃなくてダグの妻です!!

「俺が愛しているのは、今までもこれからもユキだけだ」

「僕だってダグだけだもん」

「そうでないと困る」

 コツンとおでこを合わされてちょっとキュン。この優しい金色の眼差しに僕は惹きつけられてばっかです。

「浮気をしたらお仕置だからな」

「僕は……泣きながらロイのところへ行こうかな? それともお義父さんのところへ……」

「やめてくれ、絶対に浮気はしないからやめてくれ。殺される」

 本気の表情でそう言うのでやめておきます。ダグが浮気しない限りね! 万が一にもないとは思うけど浮気したら……
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