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After Story
初めては痛い?
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「楽しいか?」
「うん! すっごく楽しい!!」
「そうか、よかった。寒かったりしたら言うんだぞ」
「うん!」
ダグはまずはゆっくりとクロードを歩かせて、僕が慣れてきたら少し速めてみたりと、細かく調節してくれた。おかげさまで僕は酔うことも、最初みたいに怖くなることもなく思う存分楽しめました!
そうして20分くらいかな? ようやく目的の丘についた。丘を登りきれば見えたのは城下街。
「本当に街が見える! すごいすごい!!」
「良い眺めだろう?」
「うん!」
お城の敷地はちょうど城下町を覆うように三日月に近い形をしてるの。お城自体は城下街から見て真正面の1番奥にあって、この丘はお城から見て右側の三日月の先端らへんのあるんだって。だから城下街が見えるんだね!
「降りてゆっくりするか。リディア、ユキを下ろすの手伝ってくれ」
「わかっていますよ。ラギアス、私の馬も繋いでおいてください」
「わかりました」
リディアはひらりと軽やかに馬から降り、ラギアスに白毛の馬の手綱を渡すとそのままこっちに来た。ダグは僕の脇に手を入れて持ち上げて、乗せられた時の逆再生のようにリディアに手渡された。
……んだけども。
「……あの、リディア? おろして、くれないの……?」
なぜか持ち上げられたまま下ろしてくれません。足が虚しげにぷらぷら揺れておりますよ。
「……ダグラス、おろして大丈夫だと思います?」
「待て、俺が降りてからだ。ラギアス、クロードを頼む」
「はい」
ダグもひらっと降りてラギアスにクロードを預けて、リディアに抱えられた僕の真後ろに立った。腕を僕の身体の両側に伸ばしていて、いつでも僕を支えられる体勢ですよ。
「よし、ゆっくり下ろせ」
「ええ。ユキ様、下ろしますよ」
なんでそんな2人がかりで……僕普通に立てるよ?
……って思ってたんです。
「うぇ?!!」
「おっと……やっぱりな」
た、立てない……! え、なにこれ?! 内股が痛い!! 痛すぎてガニ股になる……!
ゆっくり地面に足をつけられて、僕は自分で立つために力を入れたつもりだったんだけど、うまく力は入らないわ痛いわで見事に崩れかけまして。構えてたダグがさっと支えてくれました。
「ちょ、え、なにこれどういうこと?!」
「くっくっく……乗馬は普段使わない筋肉を使うからな。慣れていないとそうなるんだ」
「先に言って……!」
「これも経験だ。それにしても……くっ、ふ……っ……すごい体勢だな?」
そ、そう言うなら腕を位置をですね、もう少し高くしてくれませんかね……?! 足に力が入らないから脇にダグの腕が来るようにぶら下がるしかないのに、足が中途半端に地面につくように腕の位置を低くされるとね……?!
後ろのダグだけじゃなくて目の前のリディアまで笑ってるし……! あっよく見たらラギアスともう1人の騎士さんも笑ってるじゃないか!! これ虐め?!
「うわぁん、助けてよぉお!!」
いつもはまるで当然と言わんばかりに抱き上げてくるのに、なんでこんな時は抱き上げてくれないの……!
「くっくっく……悪い悪い。予想通り過ぎて可愛くてな」
だんだん拗ね始めた僕の空気を感じ取ってようやく抱き上げてくれたダグ。可愛いって言われると大抵のことを許しちゃう僕だけども。
「むぅ……」
今回はまだちょーっとだけ不満ですよ。
「ほら、そんなに拗ねないでくれ。詫びに今日はユキのして欲しいことをなんでもしてやるぞ」
「……なんでも?」
「ああ、なんでもだ」
なんでも……うぅむ……どうしよう。
「幾つでもいいんだぞ?」
うんうん唸っていると多すぎて困っていると思われたみたい。まぁ多いって言えば多いんだけどそうじゃないのです。
「僕のしたいこと、いつもダグとしてることだからこんな時に! って言うのが思いつかないの。僕、ダグとこうやって一緒にいるだけで幸せだもん」
「ユキ……本当にユキは可愛いな。なら今日はずっと一緒にいよう。風呂もな」
「うん!」
えへへ、久しぶりに一緒にお風呂! 寒くなってきたからゆっくりと温かい湯船に浸かってると幸せなの。ダグと一緒に入れたらもっと幸せだろうなぁ……お風呂に入れるようの香油を垂らしてもいいかもしれない……楽しみ!!
「あ、でもトイレは別だからね」
ずっと一緒だからってそれだけはNGです! 熱でフラフラな時とかは行き帰りだけはありがたいからお願いするけども。
「俺は一緒でもいいぞ?」
「恥ずかしいからダメ!」
僕はそんな趣味ないもん! 逆の立場でお願いされたとしてもえっ……それだけはやめてくれない……? ってなっちゃう。普通だよね?
「くっく……冗談はこれくらいにして昼にしよう」
「食べさせてくれる?」
「喜んで」
やったね! 綺麗な景色に加えてダグのあーん! もう美味しいの確定だよ! いやまぁ出されるご飯はいつでも美味しいですけども! 絶対に今日はそれ以上ですよ!
リディアが丘の上の東屋にささっとお昼の用意をしてくれて、グローブを外して手に浄化魔法をかけたら幸せなランチタイム開……待って、リディアたちのご飯は?!
「リディア、リディア達はご飯どうするの?」
ちゃんと持ってきてる?
「常に多目に食事は持つようにしておりますので、私どもの分も問題なくございますよ。ユキ様とダグラスが食べ終わった後に私どもも交代で食べますので」
「一緒に食べていいのに」
僕気にしないよ?
「いえ、目の前でいちゃつくお2人を見ながらの食事など砂糖の味しか感じられなさそうですので別々で」
「……はぁい」
ラギアスと騎士さんも頷くものだから無理に一緒になんて言えなくなっちゃった。リディアなんて本気の目をしてたもの。
「ユキ、気にしないで食べよう。ほら、ユキの好きなハニーマスタードチキンのサンドイッチもあるぞ」
「わぁ!! は、早く食べたい!!」
「ちゃんと食わせてやるからそんなに慌てるな」
だってだって! ハニーマスタードチキン美味しいもん! しかもホットサンドじゃないか……! 僕の大好物!!
ダグが口元に持ってきてくれたサンドに豪快にかぶりつく。絶妙なハーモニーを奏でる蜂蜜とマスタードが柔らかな鶏肉にしっかりと絡まってて……はぅ……美味しい……
口一杯のハニーマスタードチキンサンドを幸せに浸りながらもぐもぐと噛み締めていると、なでなでと頭を撫でられた。もちろんダグの手ですよ。
「いや、可愛くてな。まだまだあるから沢山食べろ」
どうしたのかと首を傾げて見上げるとそう返ってきた為、大きく頷いてから口の中のものを飲み込み、再び口元へ運んでくれたダグの手からサンドにかぶりついた。うん、美味しい!
時折スープを飲ませてもらいながらハニーマスタードチキンサンドを2つとチキンとチーズのサンドを1つペロリと食べきった僕は流石にお腹いっぱいで、ぷはっと息を吐きながらダグにもたれかかった。流石に食パン3枚と鶏肉はかなりお腹にきますね……
「お腹いっぱいだぁ……」
「結構食べたな。デザートは後にするか」
「うん……」
デザートは大好きだけど今は固形物は入りません……
「消化を助けるお茶をどうぞ」
「ありがと~」
リディアが出してくれたお茶をクピクピと飲みながらグデっとダグにもたれかかる。うん、やっぱりリディアのお茶は美味しいね。色々と身体にいいお茶ってあまり美味しくないイメージがあるけど、リディアのは別なのです。リディアが出してくれるものはなんだって美味しいよ。……リディアが商品開発したらいくらでも売れるんじゃない?
「リディアはこういうの売ったりしないの?」
「こういうの、と言いますと?」
「色々と身体にいい飲み物作ってくれるでしょ? 商品として出したらかなり売れると思うの」
「私はユキ様ただお一人のために作っているのです。売るつもりなどありませんよ。それに、今頂いているお給料だけでも多いくらいですのでこれ以上増えてしまえば使い道がありません。まぁ、ユキ様に貢ぐくらいでしょうかね?」
僕だけのためにっていうのはものすごく嬉しいけど貢ぐならアルバスさんにしようよ……! なんで僕なのさ……
「ユキに貢ぐのは俺だ。俺以外の男がユキに貢ぐなど俺が許すはずないだろう」
「ぐえ」
独占欲を出すのは全然いいしそういうとこも好きだしそれだけ愛されてるって嬉しいけども……! 今そんなに強く抱きしめられたら出る……! すぐに腕を緩めてお腹をさすってくれたからいいけども。
というか、僕貢がれても喜ばないよ……? ダグから貰うものはなんだって嬉しいしすぐに宝物になるけども、貢ぐ、っていうのはなんだか違う気がするのです。
「うん! すっごく楽しい!!」
「そうか、よかった。寒かったりしたら言うんだぞ」
「うん!」
ダグはまずはゆっくりとクロードを歩かせて、僕が慣れてきたら少し速めてみたりと、細かく調節してくれた。おかげさまで僕は酔うことも、最初みたいに怖くなることもなく思う存分楽しめました!
そうして20分くらいかな? ようやく目的の丘についた。丘を登りきれば見えたのは城下街。
「本当に街が見える! すごいすごい!!」
「良い眺めだろう?」
「うん!」
お城の敷地はちょうど城下町を覆うように三日月に近い形をしてるの。お城自体は城下街から見て真正面の1番奥にあって、この丘はお城から見て右側の三日月の先端らへんのあるんだって。だから城下街が見えるんだね!
「降りてゆっくりするか。リディア、ユキを下ろすの手伝ってくれ」
「わかっていますよ。ラギアス、私の馬も繋いでおいてください」
「わかりました」
リディアはひらりと軽やかに馬から降り、ラギアスに白毛の馬の手綱を渡すとそのままこっちに来た。ダグは僕の脇に手を入れて持ち上げて、乗せられた時の逆再生のようにリディアに手渡された。
……んだけども。
「……あの、リディア? おろして、くれないの……?」
なぜか持ち上げられたまま下ろしてくれません。足が虚しげにぷらぷら揺れておりますよ。
「……ダグラス、おろして大丈夫だと思います?」
「待て、俺が降りてからだ。ラギアス、クロードを頼む」
「はい」
ダグもひらっと降りてラギアスにクロードを預けて、リディアに抱えられた僕の真後ろに立った。腕を僕の身体の両側に伸ばしていて、いつでも僕を支えられる体勢ですよ。
「よし、ゆっくり下ろせ」
「ええ。ユキ様、下ろしますよ」
なんでそんな2人がかりで……僕普通に立てるよ?
……って思ってたんです。
「うぇ?!!」
「おっと……やっぱりな」
た、立てない……! え、なにこれ?! 内股が痛い!! 痛すぎてガニ股になる……!
ゆっくり地面に足をつけられて、僕は自分で立つために力を入れたつもりだったんだけど、うまく力は入らないわ痛いわで見事に崩れかけまして。構えてたダグがさっと支えてくれました。
「ちょ、え、なにこれどういうこと?!」
「くっくっく……乗馬は普段使わない筋肉を使うからな。慣れていないとそうなるんだ」
「先に言って……!」
「これも経験だ。それにしても……くっ、ふ……っ……すごい体勢だな?」
そ、そう言うなら腕を位置をですね、もう少し高くしてくれませんかね……?! 足に力が入らないから脇にダグの腕が来るようにぶら下がるしかないのに、足が中途半端に地面につくように腕の位置を低くされるとね……?!
後ろのダグだけじゃなくて目の前のリディアまで笑ってるし……! あっよく見たらラギアスともう1人の騎士さんも笑ってるじゃないか!! これ虐め?!
「うわぁん、助けてよぉお!!」
いつもはまるで当然と言わんばかりに抱き上げてくるのに、なんでこんな時は抱き上げてくれないの……!
「くっくっく……悪い悪い。予想通り過ぎて可愛くてな」
だんだん拗ね始めた僕の空気を感じ取ってようやく抱き上げてくれたダグ。可愛いって言われると大抵のことを許しちゃう僕だけども。
「むぅ……」
今回はまだちょーっとだけ不満ですよ。
「ほら、そんなに拗ねないでくれ。詫びに今日はユキのして欲しいことをなんでもしてやるぞ」
「……なんでも?」
「ああ、なんでもだ」
なんでも……うぅむ……どうしよう。
「幾つでもいいんだぞ?」
うんうん唸っていると多すぎて困っていると思われたみたい。まぁ多いって言えば多いんだけどそうじゃないのです。
「僕のしたいこと、いつもダグとしてることだからこんな時に! って言うのが思いつかないの。僕、ダグとこうやって一緒にいるだけで幸せだもん」
「ユキ……本当にユキは可愛いな。なら今日はずっと一緒にいよう。風呂もな」
「うん!」
えへへ、久しぶりに一緒にお風呂! 寒くなってきたからゆっくりと温かい湯船に浸かってると幸せなの。ダグと一緒に入れたらもっと幸せだろうなぁ……お風呂に入れるようの香油を垂らしてもいいかもしれない……楽しみ!!
「あ、でもトイレは別だからね」
ずっと一緒だからってそれだけはNGです! 熱でフラフラな時とかは行き帰りだけはありがたいからお願いするけども。
「俺は一緒でもいいぞ?」
「恥ずかしいからダメ!」
僕はそんな趣味ないもん! 逆の立場でお願いされたとしてもえっ……それだけはやめてくれない……? ってなっちゃう。普通だよね?
「くっく……冗談はこれくらいにして昼にしよう」
「食べさせてくれる?」
「喜んで」
やったね! 綺麗な景色に加えてダグのあーん! もう美味しいの確定だよ! いやまぁ出されるご飯はいつでも美味しいですけども! 絶対に今日はそれ以上ですよ!
リディアが丘の上の東屋にささっとお昼の用意をしてくれて、グローブを外して手に浄化魔法をかけたら幸せなランチタイム開……待って、リディアたちのご飯は?!
「リディア、リディア達はご飯どうするの?」
ちゃんと持ってきてる?
「常に多目に食事は持つようにしておりますので、私どもの分も問題なくございますよ。ユキ様とダグラスが食べ終わった後に私どもも交代で食べますので」
「一緒に食べていいのに」
僕気にしないよ?
「いえ、目の前でいちゃつくお2人を見ながらの食事など砂糖の味しか感じられなさそうですので別々で」
「……はぁい」
ラギアスと騎士さんも頷くものだから無理に一緒になんて言えなくなっちゃった。リディアなんて本気の目をしてたもの。
「ユキ、気にしないで食べよう。ほら、ユキの好きなハニーマスタードチキンのサンドイッチもあるぞ」
「わぁ!! は、早く食べたい!!」
「ちゃんと食わせてやるからそんなに慌てるな」
だってだって! ハニーマスタードチキン美味しいもん! しかもホットサンドじゃないか……! 僕の大好物!!
ダグが口元に持ってきてくれたサンドに豪快にかぶりつく。絶妙なハーモニーを奏でる蜂蜜とマスタードが柔らかな鶏肉にしっかりと絡まってて……はぅ……美味しい……
口一杯のハニーマスタードチキンサンドを幸せに浸りながらもぐもぐと噛み締めていると、なでなでと頭を撫でられた。もちろんダグの手ですよ。
「いや、可愛くてな。まだまだあるから沢山食べろ」
どうしたのかと首を傾げて見上げるとそう返ってきた為、大きく頷いてから口の中のものを飲み込み、再び口元へ運んでくれたダグの手からサンドにかぶりついた。うん、美味しい!
時折スープを飲ませてもらいながらハニーマスタードチキンサンドを2つとチキンとチーズのサンドを1つペロリと食べきった僕は流石にお腹いっぱいで、ぷはっと息を吐きながらダグにもたれかかった。流石に食パン3枚と鶏肉はかなりお腹にきますね……
「お腹いっぱいだぁ……」
「結構食べたな。デザートは後にするか」
「うん……」
デザートは大好きだけど今は固形物は入りません……
「消化を助けるお茶をどうぞ」
「ありがと~」
リディアが出してくれたお茶をクピクピと飲みながらグデっとダグにもたれかかる。うん、やっぱりリディアのお茶は美味しいね。色々と身体にいいお茶ってあまり美味しくないイメージがあるけど、リディアのは別なのです。リディアが出してくれるものはなんだって美味しいよ。……リディアが商品開発したらいくらでも売れるんじゃない?
「リディアはこういうの売ったりしないの?」
「こういうの、と言いますと?」
「色々と身体にいい飲み物作ってくれるでしょ? 商品として出したらかなり売れると思うの」
「私はユキ様ただお一人のために作っているのです。売るつもりなどありませんよ。それに、今頂いているお給料だけでも多いくらいですのでこれ以上増えてしまえば使い道がありません。まぁ、ユキ様に貢ぐくらいでしょうかね?」
僕だけのためにっていうのはものすごく嬉しいけど貢ぐならアルバスさんにしようよ……! なんで僕なのさ……
「ユキに貢ぐのは俺だ。俺以外の男がユキに貢ぐなど俺が許すはずないだろう」
「ぐえ」
独占欲を出すのは全然いいしそういうとこも好きだしそれだけ愛されてるって嬉しいけども……! 今そんなに強く抱きしめられたら出る……! すぐに腕を緩めてお腹をさすってくれたからいいけども。
というか、僕貢がれても喜ばないよ……? ダグから貰うものはなんだって嬉しいしすぐに宝物になるけども、貢ぐ、っていうのはなんだか違う気がするのです。
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