あの人と。

Haru.

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本編

105 久しぶりに5人で

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 今日は久しぶりにロイ達4人とお茶会です。みんなのお休みがたまたま重なったんだって。家族水入らずはいいのかって聞いたらちょっと怒りながら「ユキも家族だ」って言われちゃった。嬉しかったよ。


「ユキ、体調はどうだ?」

「大丈夫だよ? 夜も寝れるし特に変なことはないよ」

「それでもダグラスが夜間警護の日は数回魘されているでしょう」

 僕は大丈夫と言ったのに給仕にまわっていたリディアがすかさず暴露した。

 ……言わないでって言ったのに……

「なに、聞いてないぞ。ユキ、大丈夫ではないじゃないか」

「でも僕それ知らないもん。起きないで寝れるもん」

 うんうん。僕的にちゃんと寝れてる感あるからなにも問題ないんだよ。寝不足にもならないし。

「しかし……うぅむ……一度でも目が覚めるようになればダグラスの夜間業務を免除にするからな。リディア、もしそうなれば隠さず報告するように」

「かしこまりました」

「ちょっとそれは……!」

 そんなことしたら他の騎士さん達から不満の声があがりそうだよ……! 僕はいいけどダグが悪く思われでもしたらぜっっっったい嫌!!!

「ユキ、気にせんでも騎士達はむしろダグラスの代わりに夜間業務を請け負いたいと申し出ているもの達ばかりだぞ?」

「え、なにそれ」

 そんなの聞いたことないよ。なんで大変そうな夜間業務を変わりたいなんて……

「皆優しいユキのことを慕っておるからな。ユキが辛いときくらい恋人と一緒にいたっていいではないかと思う奴ばかりなのだよ」

「……僕甘やかされてるなぁ」

 まさかそんな風に思ってくれてるなんて。僕なにもしてないのになぁ……

「いいではないか。貰えるものは貰っておきなさい。ただし感謝をすることと驕らないことが前提ではあるがな」

「……うん、わかった」

 いつかまた騎士さん達にお礼できたらなぁ……リディアに頼んで用意して貰ってもいいけど僕自身のお金がないから微妙? 前はお土産兼お礼としてロイが分けてくれたお金で買ったけども……できれば自分で稼いだお金が欲しいなぁ。

「ロイ、僕働きたい」

「なぜだ?! 欲しいものがあるなら私が買ってやるぞ?」

「何言ってんだ、ロイにばっかり買わせるか。俺が買う!」

「え、と……欲しいものがあるわけではないんだけども……」

 なんか2人に言ったらなんでも買ってくれそうな勢いだけど別に欲しいものがあるわけではない。もともと物欲はないし。

「ならなぜだ? 金が必要なら用意させるぞ?」

「うーん、でもそれって僕が稼いだわけじゃないでしょう? 僕自分の手で稼いだお金がいい」

「うぅむ……しかしなぁ……」

 神子に働かせるわけには、ってことなのかなぁ……それなら仕方ないし諦めるしかないかな……?

「父上、ならば手伝いという形でどうでしょう。ユキは算学が学者顔負けと聞きますし会計書類の手伝いをしてもらうのはどうでしょう」

 会計! それなら僕にもできるかも。難しい政治のことはわからないけど計算なら得意だよ。暗算も自信あります!!

「僕やりたい!」

「しかし……わかった、ならばラスもレイの手伝いをしておるしユキもやってみるか? まだ私のところよりもレイのところの方が楽だろうしな」

 期待を込めた眼差しでじっと見つめたら許してくれた。レイの部屋で一緒にお仕事かな?

「じゃあユキと一緒にお手伝い?! やった!!」

「くれぐれもユキに無理はさせないようにの」

「もちろんです。私にとってもユキは大事ですからね」

「ユキが一緒なら俺もっと頑張れる!!」

「レイ、ラスよろしくね!」

 やった! 僕もお仕事できるんだ!! これでちょっとでもお金がもらえたらお世話になった人たちにお礼ができる!! 頑張ろう!!

「とりあえず平日の午後にしようか。辛ければ少なくしていこう」

「僕日本じゃ朝から夕方まで勉強してたから大丈夫だよ?」

 僕の高校1限70分の授業が毎日5限だったからね。体力と集中力は結構鍛えられた気がする。……まぁそんな体力もこの世界の人にとっては微々たるものなんでしょうけど。

「まぁ無理はせぬようにの。結婚も控えておるのだし」

 そう言われたらそうか。結婚前に身体壊して結婚式延期なんて目も当てられない。僕もそんなの嫌だ。

 無理はしないようにしないと。まぁ無理なんて僕センサー異常な例の2人が許さないと思いますが。

「結婚といえばそうだ。ロイ、リゼンブルとの連絡は取れたのか?」

「む? そうだった。ユキ、リゼンブルの者達が二日後の夕方に王都へ着くそうだ。ま、あまり長くは滞在できぬようだがな」

「ほんと? 遠くから来てもらうの申し訳ないなぁ……ゆっくりしてもらいたいけどお仕事もあるもんね」

「まぁ移動にはそう時間もかからぬし大丈夫だろうよ」

「え?」

 移動に時間がかからない? どうして? リゼンブル領って国境沿いにあるんだしかなり遠いんじゃないの? 移動もかなり時間がかかるんじゃ……

「辺境の上級貴族は飛竜を飼っているからな。長くとも半日くらいで着くだろうよ」

「飛竜?!」

 初めて聞いた! でもそうか、ここ魔法の世界だもんね。竜人だっているし飛竜がいてもおかしくないか。

「なんだ、ユキは知らなんだのか。城にもおるし今度ダグラスにでも見せてもらったらどうだ? ちゃんと訓練しておるから襲われるようなこともないだろうしの」

「見たい!」

 竜人が飛んでるのは見たことあるけどあれは結構遠かったし。近くで竜を見れるなら見てみたい。

「ならダグラスに頼みなさい。こちらからの許可は出しておくからの」

「ありがとう!!」

 竜かぁ……僕映画思い出しちゃった。眼鏡君があたっちゃったみたいな凶暴な竜もいるのかな……? 訓練されてるなら大丈夫かな。ちょっとドキドキソワソワしてしまう。


「あとはリゼンブルの者達と会う場所だが城で構わんか? まずはユキとダグラスのみで挨拶ののちに双方の家族の顔合わせも済ませてしまおう」

「お城で全然いいけど、ロイ達時間大丈夫……?」

 日本で言う結納みたいなものも済ませようってことなんだろうけど時間あうのかな。ロイ達忙しいし。

「なぁに、少しの調整くらい問題はないさ」

「そうだぞ。それにユキのためならいくらだって時間をあけるからな!」

「そう? 僕のためにありがとう」

「構わぬよ。結婚式だってちゃんとあけるからの」

「うん!!」

 結婚式が今から楽しみだなぁ……早く左手にブレスレットつけたい!


「私は結婚式の後日の舞踏会が楽しみだな。今度はなにかやるのか? 前はピアノを弾いていただろう」

 レイに言われて舞踏会をやることを思い出してしまった……忘れてたのに……ダンスもまた確認しておかないと……

「あれは僕が挨拶の嵐に疲れちゃって気分転換したかっただけだからなぁ……どうだろ」

 また挨拶の嵐があるのなら途中で何か気分転換がほしいけども。

「はは、やはりか。ユキのことだからそんな理由だろうとは思っていた。ローレンツと笑っていたのだ」

「2人とも面白いこと大好きだよね……」

 アルバスさんとこの2人は本当に面白いことが大好き。隙あらば……いや、一見隙がなくとも抉じ開けてからかいにくるような人達だ。

「だが流石の腕前だったな。たまにホールの外から聴いていたんだが、近くで聴けてよかったよ」

「ユキのピアノはすごいよなぁ。なんであんなに弾けるんだ? 俺たちだって小さい頃から習わされるのがほとんどだけどあんなに弾けないぞ」

 素直に褒められると照れるなぁ……でも大好きなピアノを褒められるのは凄く嬉しい。

「うーん、なんでだろ? 僕自身ピアノが好きなのもあるのかなぁ。よく大会とかにも出てたし、時間があればピアノばっか弾いてたからね」

「ふむ、それでか。ユキのピアノは本当に聴き惚れる。また聴かせておくれ」

「ロイ達の頼みならいくらでも弾くよ? リクエストがあればそれも練習しておくし」

 楽譜さえあればなんでも弾きますよ!! 幸い暗譜もすぐできるしね。それと弾けるかはまた別だけども……

「えー、じゃあ今聴きたい!」

「でもここにピアノないよ?」

 弾くのは構わないけどピアノがないと無理だよ。

「それならばピアノがある部屋へ移動したら良い。さて、行くとしよう」

「そうだな、俺も聴きたいし移動するか」

 え、わざわざ移動するんですか。別に弾くのはいいけども……

 今日のところはリクエストはどんな感じの曲って感じで聞いて弾くことにしよう。いつかまたちゃんと曲名で言われても弾けるようにしよっと。



 いつものホールに移動してリディアやロイ達のお付きの人達がテーブルをセットし直してくれてささやかな演奏会をしてゆったりとお茶会は過ぎていった。

 ちなみにロイ達にも弾いてもらったんだよ。ロイ達の演奏はそれぞれの個性があって聴いてて楽しかった!






────────────────────
すみません、作者です。
作者が未熟なもので、この先で少々日付にずれが生じてしまったのでロイディアが辺境伯は三日後に来る、というのを二日後に来る、に変えてあります。
ご了承くださいませ。

2018.9.27
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