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本編
71 幸せ
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「ん、ぅ……?」
横で何かが動いた気配がして意識が浮かび上がった。
「悪い、起こしたか?」
「ダ、グ……?」
僕は横に寝ていたダグが起き上がった気配で起きたようだった。
というか喉痛い……声でない……
「ああ、喉が枯れているな。ちょっとまて、直ぐに喉にいい飲み物を持ってくる」
「ん"……」
ダグが寝室から出ていったのを見て、せめて起き上がっておこうと身体に力を入れようと身じろぎした瞬間、身体がビキシと音を立てて死亡した。
「い"っ─────?!!!!!」
いっっっったい!!! なにこれなにこれ?! いや原因はわかってるけども!!! そうじゃなくてこんな痛くなるもの?!
だって今まで最後までしなくともそれに近しいことはしてたわけじゃん! それでもここまでにはならなかったよ?! 軽い違和感程度だったよ?! なのに、なにこれ?!
あまりの痛さに涙すら浮かんでくる。流石に泣き喚くことはないけれど完全に涙目だ。
結局起き上がることなど出来ず、痛みに唸っているうちにダグが水差しとグラスを手に戻って来た。
「ユキ、持ってきたぞ……ああ、やはり痛いか。すまない、無理をさせてしまったな」
涙目で唸っている僕を見て今の僕の状態を察したようだった。
というかダグなにも悪くないんだけどなぁ……昨日だって僕から誘ったんだし……
そう言おうにも声が出ないから飲ませてくれ、と水差しに視線を送ると、一度それをサイドテーブルに置いてから僕をゆっくり起き上がらせてくれた。それでも痛いけど自分で動くよりはるかにマシだった。
「飲めるか? レモンと蜂蜜が入っているのだが、口に合わなければ他のものを持ってくる」
たしかに渡されたグラスからは微かにレモンの爽やかな香りと蜂蜜の甘い香りがする。美味しそうだ。
一口試しに飲めばスッキリと飲みやすく、そのままゴクゴクと飲み干してしまった。
「美味しかった……!」
あ、声出た。
「そうか、よかった。もう一杯飲むか?」
「ううん、もう大丈夫。
それよりダグ、さっきのは何? 僕、今身体痛いのダグのせいだなんて思ってないからね。謝られるのはちょっと悲しいなぁ」
「だが……実際俺のせいだろう?」
「もう、僕が望んだことなんだからダグのせいじゃないってば。確かに今は身体痛いけど、それ以上に幸せなんだよ? やっとダグと繋がれたんだもん。それとも、ダグは僕とするの嫌だった?」
ものすごーく身体中痛いけど、それ以上に胸の奥深くからあったかいものがじわじわと湧き上がってくるというか。あぁ、幸せだなぁってじんわりと思う。
「そんなわけないだろう……! 俺だって幸せだ。ユキが俺を受け入れてくれて、しかもあんなに感じてくれて嬉しくないわけがないだろう?」
「うぐ……け、軽蔑、した……?」
「待て、なんでそんな風に思ったんだ。そんな流れじゃなかっただろう」
「う……だって、僕、初めてであんな……か、かんじ、て……おかしく、ない……? は、初めてって痛いものでしょ……?」
痛みなんかかけらもなくてほんとに気持ちよかった。ほんとどっかに飛んでいきそうで怖いくらいで必死にダグにしがみついてたもん。
「俺としてはユキが痛みを感じずに快感だけを得てくれたのなら嬉しいが? ユキが俺のせいで痛い思いをするなんざ耐えられん。それともなんだ、ユキは痛い方が好きなのか?」
「違うけど……」
僕そんなアブノーマルな趣味ないよ。
「ならいいじゃないか。俺はユキがあれだけ感じてくれて嬉しかったぞ? ユキは何も考えずに気持ちよくなってくれたらいい」
「あぅ……はい。その、ダグも……よかっ、た……?」
これかなり重要だと思うの。僕だけ気持ちよかったとかだったらほんと泣ける。
「当たり前だろう? 何度でもしたい位気持ちよかったぞ」
「あ、う……えと、その、身体の痛みが引いてから、でオネガイシマス……」
ふしゅーっと赤くなった顔を両手で隠しながら言えば頭を撫でられる。
「ならまたしてもいいってことだな?」
今のダグの表情見てなくてもわかるよ。ニヤッて笑ってるよ絶対。
「ぼ、僕もまたしたい、もん……」
僕だって男の子だからそれなりに性欲もあるしそれ以上に大好きな人と繋がれる幸せを感じたいのです……!
「ああ、俺もだ。また俺を受け入れてくれ」
「う、うん……」
今さらだけど朝からこんな会話恥ずかしい……
……ん? 朝? にしては随分と明るい……? まるでお昼みたいな……
「……ダグ、今何時?」
「ん? もう少しで昼、ってとこだな」
「え、僕そんな寝てたの?」
ものすごい寝坊だよ。一瞬授業……! ってなったけど今日日曜だった。よかった。
「身体が疲れていたんだろう。ただでさえ昨日はお披露目と舞踏会もあったんだからな」
「なるほど……」
そのあとにえっちしたらそりゃ疲れますよね……
「まさかユキから誘ってもらえるとはな? ユキからのお誘いでしかも最後まで、とは嬉しかったぞ」
「わ、忘れてください……!!!」
恥ずかしすぎる……! 抱いて欲しいなんてよく言えたな昨日の僕!!!
「忘れるわけないだろう。それにしても昨日はなんでいきなりそんな気分になったんだ?」
「僕もわからないよぅ……なんかワルツ踊ってる時に2人だけの世界みたいだなぁって思って。そしたら2人きりの時のこと思い出して……そのままダグの目を見たらゾクって……うぅ、僕もうワルツ踊れない……」
ワルツ恐怖症になるよ僕……
「ふむ……? だが今まではそんな風にならなかっただろう? とするなら他人が大勢いたのが原因の可能性が高いか。周りの目に慣れていなかったから今回はああなったのならそのうち慣れれば大丈夫じゃないか?」
「それって慣れるまでは昨日みたいになるってことだよね……」
「俺としては大歓迎だがな」
「僕は恥ずかしいからいやだ……」
舞踏会に出たら発情して抱いてってせがむなんてどんな体質……絶対やだよ僕……いや昨日既に誘ってしまったけども……
うぅ、なにこれアブノーマル感半端ないんだけど……下手したら痛いのが好きってのよりアブノーマルだよ……
「そうか? 愛しい恋人の可愛いお誘いを貰えると嬉しいんだがな」
「う……善処、します……?」
ダグが喜んでくれるなら……うん、僕からも誘うの頑張ろう……
「さあユキ、食べられそうなら食事にしよう」
「う、お腹は空いてるけど身体動かない……」
「俺が食べさせてやるから問題ない。今日はとことん甘やかすからな」
「いつも甘やかされてる気が……」
「今日はそれ以上、ってことだな」
それどんだけ甘やかされるの……わぁ、凄い幸せそうな顔してるぅ……
いっかぁ、僕も幸せだしもう今日はとことん甘えちゃえ。いつも甘えてるけどダグがその気ならもうどろっどろに甘えちゃうよ。
今日は甘え過ぎたって愛想つかされることも嫌がられることもないよね? だってほら、今だって僕を軽々抱き上げたダグにぐでっと身体預けて首に抱きついてグリグリ顔を擦り付けたって楽しそうに笑うだけなんだよ。もう今日の僕達糖度半端ないの決定だよ。
トイレの介助までしようとしたダグを必死に止めるまであと数分。
横で何かが動いた気配がして意識が浮かび上がった。
「悪い、起こしたか?」
「ダ、グ……?」
僕は横に寝ていたダグが起き上がった気配で起きたようだった。
というか喉痛い……声でない……
「ああ、喉が枯れているな。ちょっとまて、直ぐに喉にいい飲み物を持ってくる」
「ん"……」
ダグが寝室から出ていったのを見て、せめて起き上がっておこうと身体に力を入れようと身じろぎした瞬間、身体がビキシと音を立てて死亡した。
「い"っ─────?!!!!!」
いっっっったい!!! なにこれなにこれ?! いや原因はわかってるけども!!! そうじゃなくてこんな痛くなるもの?!
だって今まで最後までしなくともそれに近しいことはしてたわけじゃん! それでもここまでにはならなかったよ?! 軽い違和感程度だったよ?! なのに、なにこれ?!
あまりの痛さに涙すら浮かんでくる。流石に泣き喚くことはないけれど完全に涙目だ。
結局起き上がることなど出来ず、痛みに唸っているうちにダグが水差しとグラスを手に戻って来た。
「ユキ、持ってきたぞ……ああ、やはり痛いか。すまない、無理をさせてしまったな」
涙目で唸っている僕を見て今の僕の状態を察したようだった。
というかダグなにも悪くないんだけどなぁ……昨日だって僕から誘ったんだし……
そう言おうにも声が出ないから飲ませてくれ、と水差しに視線を送ると、一度それをサイドテーブルに置いてから僕をゆっくり起き上がらせてくれた。それでも痛いけど自分で動くよりはるかにマシだった。
「飲めるか? レモンと蜂蜜が入っているのだが、口に合わなければ他のものを持ってくる」
たしかに渡されたグラスからは微かにレモンの爽やかな香りと蜂蜜の甘い香りがする。美味しそうだ。
一口試しに飲めばスッキリと飲みやすく、そのままゴクゴクと飲み干してしまった。
「美味しかった……!」
あ、声出た。
「そうか、よかった。もう一杯飲むか?」
「ううん、もう大丈夫。
それよりダグ、さっきのは何? 僕、今身体痛いのダグのせいだなんて思ってないからね。謝られるのはちょっと悲しいなぁ」
「だが……実際俺のせいだろう?」
「もう、僕が望んだことなんだからダグのせいじゃないってば。確かに今は身体痛いけど、それ以上に幸せなんだよ? やっとダグと繋がれたんだもん。それとも、ダグは僕とするの嫌だった?」
ものすごーく身体中痛いけど、それ以上に胸の奥深くからあったかいものがじわじわと湧き上がってくるというか。あぁ、幸せだなぁってじんわりと思う。
「そんなわけないだろう……! 俺だって幸せだ。ユキが俺を受け入れてくれて、しかもあんなに感じてくれて嬉しくないわけがないだろう?」
「うぐ……け、軽蔑、した……?」
「待て、なんでそんな風に思ったんだ。そんな流れじゃなかっただろう」
「う……だって、僕、初めてであんな……か、かんじ、て……おかしく、ない……? は、初めてって痛いものでしょ……?」
痛みなんかかけらもなくてほんとに気持ちよかった。ほんとどっかに飛んでいきそうで怖いくらいで必死にダグにしがみついてたもん。
「俺としてはユキが痛みを感じずに快感だけを得てくれたのなら嬉しいが? ユキが俺のせいで痛い思いをするなんざ耐えられん。それともなんだ、ユキは痛い方が好きなのか?」
「違うけど……」
僕そんなアブノーマルな趣味ないよ。
「ならいいじゃないか。俺はユキがあれだけ感じてくれて嬉しかったぞ? ユキは何も考えずに気持ちよくなってくれたらいい」
「あぅ……はい。その、ダグも……よかっ、た……?」
これかなり重要だと思うの。僕だけ気持ちよかったとかだったらほんと泣ける。
「当たり前だろう? 何度でもしたい位気持ちよかったぞ」
「あ、う……えと、その、身体の痛みが引いてから、でオネガイシマス……」
ふしゅーっと赤くなった顔を両手で隠しながら言えば頭を撫でられる。
「ならまたしてもいいってことだな?」
今のダグの表情見てなくてもわかるよ。ニヤッて笑ってるよ絶対。
「ぼ、僕もまたしたい、もん……」
僕だって男の子だからそれなりに性欲もあるしそれ以上に大好きな人と繋がれる幸せを感じたいのです……!
「ああ、俺もだ。また俺を受け入れてくれ」
「う、うん……」
今さらだけど朝からこんな会話恥ずかしい……
……ん? 朝? にしては随分と明るい……? まるでお昼みたいな……
「……ダグ、今何時?」
「ん? もう少しで昼、ってとこだな」
「え、僕そんな寝てたの?」
ものすごい寝坊だよ。一瞬授業……! ってなったけど今日日曜だった。よかった。
「身体が疲れていたんだろう。ただでさえ昨日はお披露目と舞踏会もあったんだからな」
「なるほど……」
そのあとにえっちしたらそりゃ疲れますよね……
「まさかユキから誘ってもらえるとはな? ユキからのお誘いでしかも最後まで、とは嬉しかったぞ」
「わ、忘れてください……!!!」
恥ずかしすぎる……! 抱いて欲しいなんてよく言えたな昨日の僕!!!
「忘れるわけないだろう。それにしても昨日はなんでいきなりそんな気分になったんだ?」
「僕もわからないよぅ……なんかワルツ踊ってる時に2人だけの世界みたいだなぁって思って。そしたら2人きりの時のこと思い出して……そのままダグの目を見たらゾクって……うぅ、僕もうワルツ踊れない……」
ワルツ恐怖症になるよ僕……
「ふむ……? だが今まではそんな風にならなかっただろう? とするなら他人が大勢いたのが原因の可能性が高いか。周りの目に慣れていなかったから今回はああなったのならそのうち慣れれば大丈夫じゃないか?」
「それって慣れるまでは昨日みたいになるってことだよね……」
「俺としては大歓迎だがな」
「僕は恥ずかしいからいやだ……」
舞踏会に出たら発情して抱いてってせがむなんてどんな体質……絶対やだよ僕……いや昨日既に誘ってしまったけども……
うぅ、なにこれアブノーマル感半端ないんだけど……下手したら痛いのが好きってのよりアブノーマルだよ……
「そうか? 愛しい恋人の可愛いお誘いを貰えると嬉しいんだがな」
「う……善処、します……?」
ダグが喜んでくれるなら……うん、僕からも誘うの頑張ろう……
「さあユキ、食べられそうなら食事にしよう」
「う、お腹は空いてるけど身体動かない……」
「俺が食べさせてやるから問題ない。今日はとことん甘やかすからな」
「いつも甘やかされてる気が……」
「今日はそれ以上、ってことだな」
それどんだけ甘やかされるの……わぁ、凄い幸せそうな顔してるぅ……
いっかぁ、僕も幸せだしもう今日はとことん甘えちゃえ。いつも甘えてるけどダグがその気ならもうどろっどろに甘えちゃうよ。
今日は甘え過ぎたって愛想つかされることも嫌がられることもないよね? だってほら、今だって僕を軽々抱き上げたダグにぐでっと身体預けて首に抱きついてグリグリ顔を擦り付けたって楽しそうに笑うだけなんだよ。もう今日の僕達糖度半端ないの決定だよ。
トイレの介助までしようとしたダグを必死に止めるまであと数分。
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