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本編
13 side.ロイディア
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昨日ついに神子が降臨した。先代の神子が亡くなられてから既に500年が経っていた。今まで少しの誤差はあるもののおよそ300年、長くとも400年も経たないぐらいの時で神子は降臨していたため、今回500年も空いたのは異例中の異例だった。
この世界は神に見放されたのではと、噂をするものもいたぐらいだった。
それがついに昨日、ユキがこの世界に降臨した。神子が降臨したと神官より聞いた時、私は自分が賢王だとは思ってはおらなんだが、神子は賢王の治める世に遣わされると伝承されているため、なんだか神に認められたようで喜んだのは事実だ。
そしてまもなく神子と対面すると、あまりの儚さに驚いた。こんな幼子を親元から離してしまったのかと、神子の降臨に喜んだ自分を恥じた。後から既に18と聞いて驚いたものだが、それでも、1人の人間を元の世界から引き離してしまったことには変わりない。神子も人間だ。元の世界や家族、友人が恋しくないわけがない。私やヴォイドの前ではそのようなそぶりは見せなかったが、強い悲しみを押し殺していたのだろう。
リディアからユキがストレスにより熱を出したと報告を受けた時は本当に何も言えなかった。
夜に庭に出てダグラスが見守る中で激情に身を任せ歌い、そして泣き叫んだという話には思わず目頭が熱くなったが、泣きたいのは私などではない、ユキだと、必死に拳を握り、耐えた。
あの子を守りたい。あの儚く小さな子を守りたい。あの子の笑顔を守りたい。
まだ会って間もないながら、私をロイと呼び慕ってくれるあの子を、守りたい。
あの子にはなんでも与えてやりたいが、優しいあの子のことだ。一方的に物を与えたところで喜ばぬだろう。
ならば、私のすべきことは、できることは何か。
財政、貿易、防衛、産業……まだまだ見直すべきことがある。今まで以上に国政に力を注ぎ、あの子が笑っていられる、そんな世を作ろう。
これから全てを見直すのはかなり骨が折れるが、あの子の為と思えばそんなことはいくらでもやってやろうという気になった。
私にできることはそれぐらいしかない。あの子の父親代わりになろうとは言ったが、あの子の本当の父親は他にいる。あの子は私を本当の意味で父親としてみることはないだろう。寂しい気もするが、それは当然のことだ。
だが、そうだな。いつか2人目の父親として慕ってくれたらそれほど嬉しいことはないだろうよ。それまで優しく見守り、支え続けよう。
ああ、無自覚で危機感の薄いあの子に下手な輩が近づかぬよう目を光らせるのも必要だな。
さて、まずはあの子に付ける護衛騎士の選出をした後に大臣達と話合わねばな。
そうして私は重い腰を上げたのだった。
この世界は神に見放されたのではと、噂をするものもいたぐらいだった。
それがついに昨日、ユキがこの世界に降臨した。神子が降臨したと神官より聞いた時、私は自分が賢王だとは思ってはおらなんだが、神子は賢王の治める世に遣わされると伝承されているため、なんだか神に認められたようで喜んだのは事実だ。
そしてまもなく神子と対面すると、あまりの儚さに驚いた。こんな幼子を親元から離してしまったのかと、神子の降臨に喜んだ自分を恥じた。後から既に18と聞いて驚いたものだが、それでも、1人の人間を元の世界から引き離してしまったことには変わりない。神子も人間だ。元の世界や家族、友人が恋しくないわけがない。私やヴォイドの前ではそのようなそぶりは見せなかったが、強い悲しみを押し殺していたのだろう。
リディアからユキがストレスにより熱を出したと報告を受けた時は本当に何も言えなかった。
夜に庭に出てダグラスが見守る中で激情に身を任せ歌い、そして泣き叫んだという話には思わず目頭が熱くなったが、泣きたいのは私などではない、ユキだと、必死に拳を握り、耐えた。
あの子を守りたい。あの儚く小さな子を守りたい。あの子の笑顔を守りたい。
まだ会って間もないながら、私をロイと呼び慕ってくれるあの子を、守りたい。
あの子にはなんでも与えてやりたいが、優しいあの子のことだ。一方的に物を与えたところで喜ばぬだろう。
ならば、私のすべきことは、できることは何か。
財政、貿易、防衛、産業……まだまだ見直すべきことがある。今まで以上に国政に力を注ぎ、あの子が笑っていられる、そんな世を作ろう。
これから全てを見直すのはかなり骨が折れるが、あの子の為と思えばそんなことはいくらでもやってやろうという気になった。
私にできることはそれぐらいしかない。あの子の父親代わりになろうとは言ったが、あの子の本当の父親は他にいる。あの子は私を本当の意味で父親としてみることはないだろう。寂しい気もするが、それは当然のことだ。
だが、そうだな。いつか2人目の父親として慕ってくれたらそれほど嬉しいことはないだろうよ。それまで優しく見守り、支え続けよう。
ああ、無自覚で危機感の薄いあの子に下手な輩が近づかぬよう目を光らせるのも必要だな。
さて、まずはあの子に付ける護衛騎士の選出をした後に大臣達と話合わねばな。
そうして私は重い腰を上げたのだった。
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