あの人と。

Haru.

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本編

2 降ろしてもらいました

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 あの後、ヴォイドさんがひょいっと僕を抱えて降ろしてくれた。
 ヴォイドさんすごいんだよ、さっきは気付かなかったけど身長2m近くあって、明らかに70歳は超えてる見た目なのに50kgはある僕をひょいっと抱えたんだよ……!不安定な感じも全くなくて足腰の衰え知らず!って感じですごかった……
 挙げ句の果てに


「神子様は大層軽くていらっしゃいますな! これはいかん! 栄養満天の食事を用意させましょう!」


 なんて言われたんだよ……いくら僕でも傷つきました。




 おっと、現実逃避してる場合じゃなかった。いや、まぁ現実逃避もしたくなるような現状なんですけども……!








 現在僕は国王陛下の御前にいます。


 なんでこんなことになったかと言うと僕を見た瞬間のヴォイドさんの声が外にも聞こえてたらしくて。それを聞いた他の神官の人達が慌てて陛下に報告に行くと曰く会わせろと……展開早すぎてついていけません。というかあの神殿って城の敷地内にあったんですね、知りませんでした。


「そなたが降臨された神子か! うむ、伝承通りの美しい黒髪に黒目……素晴らしいな!!

私の名はロイディア・ル・ヴィルヘルムだ。そなたの名を聞かせてもらえるか?」

「ぼ、僕は東幸仁です。家族名が東で個人名が幸仁です」

「ふむ、ユキヒト殿か。不思議な響きだがどこか心地よい。良き名だな」

「あ、ありがとうございます!」


 親から貰った大切な名前だ。褒められて嬉しくないわけがない。


「それにしても……神子とはかようにも幼きものなのか……神子とはいえこの世界へ降臨するまでは元の世界に手普通に暮らしておったはずであろう?それがこうも幼いとなると……親元から引き剥がしてしまった我らはまことに罪深い」


 なんかやたら幼いって強調されてるけども僕のこと何歳だと思ってるんだろう……? いやでも今はそこじゃなくて……


「ええと……やはり、ここは僕の世界とは違う世界なんですね……

戻ることはできるのでしょうか……?」

「……すまない、戻る方法は伝承されていない。つまり、恐らくは存在せぬのだろう。

すまない、ユキヒト殿が健やかに暮らせるよう、できる限りの望みは叶えよう。私のことは親の代わりとでも思ってくれ」

「いえ、謝らないで下さい。もうなんとなく戻れない予感はしていたので……陛下達は何も悪くありませんし、むしろ手厚く保護してくださることには感謝しかありません」

「本当にすまない……こんなに幼き子を……」


 また幼いって言った……!!!もう我慢ならんぞ!!!


「陛下は僕を幾つだとお思いですか……?」

「その見た目からして12歳ぐらいであろう……?」


 12歳……!!!12歳は傷ついた!!!!!!!!


「僕もう18です!!!!!」

「「えっ」」


 陛下と横に控えてじっと黙ってたヴォイドさんの声が重なったのは聞かなかったことにしたい。
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