【完結】性の快感を力に変えろ！リビドー戦隊ミダラーファイブ

第二十九話・黄の告白

　全身についた縄の痕を、レイジの指先がそっとなぞる。

「･･････今日は、一段と気持ちよさそうでしたね」

　ふ、と笑う声に、ユウキは頬を染めて恥ずかしがり、毛布に潜って顔を隠す。

　レイジの部屋、いつものようにリビドーを貯めた二人は、一人用の狭いベッドの上に並んで横たわっていた。

「レイジが、き、きつく縛ったり、するから･･････♡」

　ユウキの答えに、レイジはニヤッと微笑む。今日のプレイは、ユウキの全身を紐で縛った緊縛プレイだった。

「へぇ、ユウキ君はきつく縛られると気持ち良くなっちゃうんですね。･･････どうしようもない変態だ」

　言いながら、レイジは毛布からはみ出たユウキの頭を愛玩するように撫でる。

　髪に優しく触れられて、ユウキはついとろけたため息をついてしまった。

「レイジ、だけだよ･･････他の人に縛られたって、僕は別に」

　ユウキのそんな科白に、レイジの胸の内でゾクゾクと優越感が湧き上がってくる。ユウキが支配され、痛めつけられることに悦ぶのは自分に対してだけだと思うと、どうしようもなく胸が満たされてしまう。

（･･････狂ってますね、私は。こんなにユウキ君を酷く扱って、滅茶苦茶に抱いておきながら彼を愛しんでいる）

　自分が性愛の方面において正気で無いことを、レイジはよく分かっていた。だから、自分から告白することなどない。

　心身共にレイジの歪んだ愛情表現を受け入れて、それでもレイジを愛することのできる人間でなければパートナーにすることはできないのだ。

（ユウキ君、貴方は私を許しすぎる･･････。私が好きだと言えば、例え本当は嫌でも断れないでしょう）

　だから、ユウキが告白してくるのを待つ。それがレイジにとって、恋人になる相手を傷つけないための最善策だった。

　ーーそんな一向に心の内を見せないレイジに、“自分との性行為はリビドーの為でしかないのでは”とユウキが悩んでいたことなどつゆ知らず。

「･･････なぁレイジ、君はミダラーファイブの任務を全て終えたらどうするんだい」

　ふいにユウキが毛布から頭を出し、恐る恐る、といった様子で振ってきたその話題に、レイジは少しの間を置いて答える。

「さぁ･･････どうしましょうね。戦いが全て終われば、一生働かなくとも暮らしていけるだけの金が貰えますから」

　それで投資でもやりながら細々と暮らしていこうかと、などと言うレイジ。

　そんな彼の曖昧な科白に、ユウキは寂しげに微笑んだ。

「僕は･･････きっと高校に入り直して、大学に行くよ。西園寺家の会社を継がなきゃいけないから」

　そんな未来は望んでいなそうな、沈んだ声。

「･･････ユウキ君」
　
　レイジがユウキを慰めるため、頭を撫でようと半ば無意識のうちにそっと伸ばしたその手を、ユウキがぐっと掴む。

　熱い体温を感じて、互いの鼓動がゆっくりと高まっていく。

　熱く潤んだ揺れる瞳で見つめられて、レイジは思わず息を呑んだ。

「ねぇ、レイジ･･････君が嫌でなかったら、僕と･･････一緒に来てくれないか」

　ぎゅ、とレイジに抱きつき、上目遣いで見つめるユウキ。

　ずっとずっと、言おうかどうか悩んでいたこと。

　シンとアオイの情熱的な必死の告白に感化されて、ついにその踏ん切りがついた。

「ーーレイジのことが、好きなんだ。戦いが終わっても、ずっとずっと一緒にいたい･･････‼︎」