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第十九話・それぞれの朝・4
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「・・・・・・きょ、教官・・・・・・」
か細く呼ぶオトヤの声に、リヒトはハッとして振り返る。
そこには、起きたばかりですこしとろんとした顔のオトヤが立っていた。
行為の後着せたリヒトのトレーナーはぶかぶかで、長い裾から伸びる白く細い生脚、噛み痕のついた首筋や鎖骨のあたりが丸見えになっているのが目に毒だ。
「・・・・・・オトヤ」
オトヤは、椅子に腰掛けるリヒトのすぐそばまでやってくると、頬を赤く染めもじもじとしながら口を開く。
「教官、昨日のことは、えっと・・・・・・」
そこ熱く潤んだオトヤの瞳に見つめられると、どうしようもなく胸がざわついて。
リヒトはつい、目を逸らしてしまう。
「・・・・・・すまなかった」
リヒトが謝ると、オトヤはぎゅっと服の裾を握りしめた。
「あ、謝らないでください。謝られたく、ないです・・・・・・僕、嬉しかったので」
オトヤはそう言うと、リヒトの首元にそっと抱きついて。
「リビドーショックのせいでも、教官が僕のこと好きじゃなくても、いいんです・・・・・・。僕、ひ、一晩だけでも、教官と過ごせて幸せでした」
哀しげに震える声で囁く、そんなオトヤの科白を聞いた途端、リヒトは強く胸を締め付けられるような苦しさを感じた。
・・・・・・確かに、リビドーショックに陥ることがなければ、オトヤを犯すことは無かっただろう。
しかし、リヒトは自分に微塵も気持ちが無いのだと、そう思い込んで辛そうな顔をするオトヤを、リヒトはもうこれ以上見ていたくなかった。
「ーーそんな風に考えるな」
その華奢な身体を、半ば衝動的に抱きしめ返す。
「え、きょ、教官ッ・・・・・・」
動揺するオトヤ。その耳元に唇を寄せ、片手で彼の小さな頭の後頭部をそっと撫でた。
「今まで悪かった。・・・・・・お前は何度も真っ直ぐ気持ちを伝えてきたのに、俺は適当にあしらって、気持ちを無視して、傷つけてきた」
リヒトが囁くのに、オトヤは息を呑む。
ーー予感は本当だった。一度触れてしまうともう、愛しい気持ちが抑えられない。
「・・・・・・俺も、オトヤが好きだ」
その言葉を聞いたオトヤの顔が、真っ赤に染まる。
「けじめはちゃんとつけたいんだ。・・・・・・一度抱いておいてこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、戦いが全て終わって、お前が18になっても俺のことが好きなら、その時は・・・・・・」
ーー付き合って欲しい。それまでは、一切手を出さない。リヒトがそう言うと、オトヤはぎゅうっと強く抱きついて。
目にいっぱい涙を溜めながら、微笑んで頷いた。
「教官っ・・・・・・約束ですよ、僕は、絶対ずっと教官のこと、好きですからっ・・・・・・‼︎」
その愛らしいオトヤの表情に、口付けたくなるのをぐっと堪える。
代わりに、そっと優しく頭を撫でてやると、オトヤは幸せそうにうっとりした顔をしてリヒトに寄り添った。
か細く呼ぶオトヤの声に、リヒトはハッとして振り返る。
そこには、起きたばかりですこしとろんとした顔のオトヤが立っていた。
行為の後着せたリヒトのトレーナーはぶかぶかで、長い裾から伸びる白く細い生脚、噛み痕のついた首筋や鎖骨のあたりが丸見えになっているのが目に毒だ。
「・・・・・・オトヤ」
オトヤは、椅子に腰掛けるリヒトのすぐそばまでやってくると、頬を赤く染めもじもじとしながら口を開く。
「教官、昨日のことは、えっと・・・・・・」
そこ熱く潤んだオトヤの瞳に見つめられると、どうしようもなく胸がざわついて。
リヒトはつい、目を逸らしてしまう。
「・・・・・・すまなかった」
リヒトが謝ると、オトヤはぎゅっと服の裾を握りしめた。
「あ、謝らないでください。謝られたく、ないです・・・・・・僕、嬉しかったので」
オトヤはそう言うと、リヒトの首元にそっと抱きついて。
「リビドーショックのせいでも、教官が僕のこと好きじゃなくても、いいんです・・・・・・。僕、ひ、一晩だけでも、教官と過ごせて幸せでした」
哀しげに震える声で囁く、そんなオトヤの科白を聞いた途端、リヒトは強く胸を締め付けられるような苦しさを感じた。
・・・・・・確かに、リビドーショックに陥ることがなければ、オトヤを犯すことは無かっただろう。
しかし、リヒトは自分に微塵も気持ちが無いのだと、そう思い込んで辛そうな顔をするオトヤを、リヒトはもうこれ以上見ていたくなかった。
「ーーそんな風に考えるな」
その華奢な身体を、半ば衝動的に抱きしめ返す。
「え、きょ、教官ッ・・・・・・」
動揺するオトヤ。その耳元に唇を寄せ、片手で彼の小さな頭の後頭部をそっと撫でた。
「今まで悪かった。・・・・・・お前は何度も真っ直ぐ気持ちを伝えてきたのに、俺は適当にあしらって、気持ちを無視して、傷つけてきた」
リヒトが囁くのに、オトヤは息を呑む。
ーー予感は本当だった。一度触れてしまうともう、愛しい気持ちが抑えられない。
「・・・・・・俺も、オトヤが好きだ」
その言葉を聞いたオトヤの顔が、真っ赤に染まる。
「けじめはちゃんとつけたいんだ。・・・・・・一度抱いておいてこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、戦いが全て終わって、お前が18になっても俺のことが好きなら、その時は・・・・・・」
ーー付き合って欲しい。それまでは、一切手を出さない。リヒトがそう言うと、オトヤはぎゅうっと強く抱きついて。
目にいっぱい涙を溜めながら、微笑んで頷いた。
「教官っ・・・・・・約束ですよ、僕は、絶対ずっと教官のこと、好きですからっ・・・・・・‼︎」
その愛らしいオトヤの表情に、口付けたくなるのをぐっと堪える。
代わりに、そっと優しく頭を撫でてやると、オトヤは幸せそうにうっとりした顔をしてリヒトに寄り添った。
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