10 / 14
第十話 今宵も始まる
しおりを挟む
「……なるほどな、やはり伯爵は武器を買い込んでいたか。しかし、密輸入のルートが分からない」
――その日の夕暮れ。大分調子が戻ってきたナキアは、伯爵領にて未申告の武器庫を見つけた。
宿屋で資料とにらめっこするナキアに、サイラスは紅茶を淹れる。
「ここは国境近くですからね、隣国と隠れて武器を取引するにはうってつけの立地ですが……ここまで上手く隠蔽されているとは、伯爵閣下も食えない方だ」
「面倒だな、早く仕事を終わらせて帰りたいってのに」
気怠げにため息をつくナキア。
元々、城に引きこもりがちなナキアにとって、遠出ほど気が重くなるものはない。
「魔法でパッと割り出せれば楽なのに。魔法って案外使えないよな」
ブツブツ言いながら頭をひねるナキア。
――すっかり時間を忘れていた、その時だった。
「痛ッ……⁉」
全身の関節が熱く痛み出し、あっという間に子供の姿になってしまった。
「グッ……、もう、そんな時間か」
ぶかぶかになった服が肩からずり落ちるのを押さえると、ナキアは苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべて唇を噛みしめる。
……昨日までの三日間で、条件はどんどんエスカレートしてきた。
次はどんな恐ろしい命令が下されるのかと思うと、ナキアは生きた心地がしない。
『やぁ、ナキア、サイラス……今宵も始めようか、淫らな宴を‼』
亡霊の声に、二人は身構える。
冷や汗が、ナキアの背を伝った。
『――サイラスに口淫をねだれ、ナキア』
――その日の夕暮れ。大分調子が戻ってきたナキアは、伯爵領にて未申告の武器庫を見つけた。
宿屋で資料とにらめっこするナキアに、サイラスは紅茶を淹れる。
「ここは国境近くですからね、隣国と隠れて武器を取引するにはうってつけの立地ですが……ここまで上手く隠蔽されているとは、伯爵閣下も食えない方だ」
「面倒だな、早く仕事を終わらせて帰りたいってのに」
気怠げにため息をつくナキア。
元々、城に引きこもりがちなナキアにとって、遠出ほど気が重くなるものはない。
「魔法でパッと割り出せれば楽なのに。魔法って案外使えないよな」
ブツブツ言いながら頭をひねるナキア。
――すっかり時間を忘れていた、その時だった。
「痛ッ……⁉」
全身の関節が熱く痛み出し、あっという間に子供の姿になってしまった。
「グッ……、もう、そんな時間か」
ぶかぶかになった服が肩からずり落ちるのを押さえると、ナキアは苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべて唇を噛みしめる。
……昨日までの三日間で、条件はどんどんエスカレートしてきた。
次はどんな恐ろしい命令が下されるのかと思うと、ナキアは生きた心地がしない。
『やぁ、ナキア、サイラス……今宵も始めようか、淫らな宴を‼』
亡霊の声に、二人は身構える。
冷や汗が、ナキアの背を伝った。
『――サイラスに口淫をねだれ、ナキア』
応援ありがとうございます!
22
お気に入りに追加
181
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる