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245,恋愛感情。
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少女は少し悩んでいた。
先日の複眼の出来事で、結婚や恋人、特別人を好きだという感覚について。
少女にとって特別好きな相手、というならばそれは間違いなく男と女の事だ。
大きな感謝と好意を持つ男と、生きていく為の色んな事を最初に教えてくれた尊敬する女。
勿論屋敷の皆の事も大好きだが、少女にとっての特別はこの二人に対する物だろう。
だけどその『好き』と恋人に対する『好き』は、何が違うんだろうか。
少女はその部分が未だ良く解らず、ベッドでゴロンゴロンしながら考えていた。
少年や虎少年の事も好きだが、それは他の使用人達を好きな感覚と余り変わらない。
可愛い弟の様な気持ちになる少年と、優しいお兄ちゃんの様な虎少年。
好き、という点では二人共同じで、そこに差があるかと言われれば良く解らない。
とはいえ少女も色々と学んだ故に『結婚』と『恋人』という概念自体は多少は理解している。
だけどそこに至る為の感情部分が、少女には未だ理屈ですら良く解らないのだ。
みゅーんっと唸りながら、単眼に作って貰った人形を抱き締めてゴロンゴロンと転がる少女。
色々悩んでいながら出て来ない答えに、頭がこんがらがってきた様である。
転がるのを止めるとパタパタと手足を動かして布団を叩き、暫くするとまた動かなくなった。
どうやら完全に思考が詰まってしまった様だ。枕に顔を埋めてむふーっと息を吐いている。
そこでふと『お嫁さん』というものに自分がなったら、という事を考え始めた少女。
以前彼女と話した事も有り、改めてよく考えてみようと思ったらしい。
男のお嫁さんになって、男の身の回りの世話を焼く。
それはとても嬉しくて楽しい。大好きな男の為にいっぱいお世話が出来るのはきっと幸せだ。
それを想像してきゃーっと手足をパタパタさせる少女だったが、途中であれっと首を傾げる。
良く考えたら別に使用人のままでも出来るなと気が付いたらしい。
というか、女が大体少女の理想通りに男の世話を焼いている。
勿論殴り飛ばしたりはしないが、別にお嫁さんになる必要は無さそうだと。
そしてそうなると、自然と別の異性の事に考えがシフトしていく少女。
あの二人のお嫁さんになる、という気持ちに自分がなるのだろうかと。
勿論二人の事は好きだし、一緒に過ごす日々はきっと楽しい。
だけど恋物語の様な物だと、誰よりも一番大事に感じる相手、などと書いている事が多い。
二人に男相手にする程の感情が有るかと言われれば、申し訳は無いけど男の方が上である。
となるとそれは恋や愛とは違う物なんだろうなぁ、と首を傾げながら考える少女
という事で結局また良く解らなくなる少女は、うにーっと唸りながらベッドに体を投げ出した。
何だかもう良く解らない事を考え続けて疲れてきた様子である。
少女にとっては理解不能な事を理解しようと頑張っている訳なので。
そこにずっと隣に座っていた猫が心配気にぶなぶなと鳴き、少女の手をペロペロと舐める。
少女はえへへーと笑いながらお返しに頭を撫でると、気持ち良さそうに手を受け入れ、頭をスリスリとこすりつけ始める猫。
既に何の為に少女に近づいたのか忘れてただ甘えており、ぶな~鳴いて完全に脱力している。
そんな猫の毛皮を無心で撫でていると、少女は少しだけ心が落ち着いてくる気がしていた。
そしてそのおかげか、少女は一つの結論に至る。
良く解らないし、解るまで保留で良いや、と。つまり何時も通りである。
結局そういった感情は理屈では無いので間違ってはいないのだが、結果として少年と虎少年が苦労する結論に至ってしまった。
やはり相変わらず、少女に恋愛感情が芽生えるのはまだまだ先の様だ。
ただし以前とは違う部分がある事に、本人が全く気が付いていない。
男を特別視するのは今まで通りで、女に対しても確かに変わらないだろう。
だがそれでも以前なら、男と虎少年と少年を同項目、では考えなかったはずだ。
今の少女はあの二人を恋人としての相手、という項目で考える事をした。
それは単純に「対象に成り得る」という認識とも言える。
結局本人は無自覚なままの変化なのだが、それでもきっと大きな変化だろう。
ただし結局良く解っていないので、反応が相変わらずで回りも本人も変化に気が付いていないのだった。
先日の複眼の出来事で、結婚や恋人、特別人を好きだという感覚について。
少女にとって特別好きな相手、というならばそれは間違いなく男と女の事だ。
大きな感謝と好意を持つ男と、生きていく為の色んな事を最初に教えてくれた尊敬する女。
勿論屋敷の皆の事も大好きだが、少女にとっての特別はこの二人に対する物だろう。
だけどその『好き』と恋人に対する『好き』は、何が違うんだろうか。
少女はその部分が未だ良く解らず、ベッドでゴロンゴロンしながら考えていた。
少年や虎少年の事も好きだが、それは他の使用人達を好きな感覚と余り変わらない。
可愛い弟の様な気持ちになる少年と、優しいお兄ちゃんの様な虎少年。
好き、という点では二人共同じで、そこに差があるかと言われれば良く解らない。
とはいえ少女も色々と学んだ故に『結婚』と『恋人』という概念自体は多少は理解している。
だけどそこに至る為の感情部分が、少女には未だ理屈ですら良く解らないのだ。
みゅーんっと唸りながら、単眼に作って貰った人形を抱き締めてゴロンゴロンと転がる少女。
色々悩んでいながら出て来ない答えに、頭がこんがらがってきた様である。
転がるのを止めるとパタパタと手足を動かして布団を叩き、暫くするとまた動かなくなった。
どうやら完全に思考が詰まってしまった様だ。枕に顔を埋めてむふーっと息を吐いている。
そこでふと『お嫁さん』というものに自分がなったら、という事を考え始めた少女。
以前彼女と話した事も有り、改めてよく考えてみようと思ったらしい。
男のお嫁さんになって、男の身の回りの世話を焼く。
それはとても嬉しくて楽しい。大好きな男の為にいっぱいお世話が出来るのはきっと幸せだ。
それを想像してきゃーっと手足をパタパタさせる少女だったが、途中であれっと首を傾げる。
良く考えたら別に使用人のままでも出来るなと気が付いたらしい。
というか、女が大体少女の理想通りに男の世話を焼いている。
勿論殴り飛ばしたりはしないが、別にお嫁さんになる必要は無さそうだと。
そしてそうなると、自然と別の異性の事に考えがシフトしていく少女。
あの二人のお嫁さんになる、という気持ちに自分がなるのだろうかと。
勿論二人の事は好きだし、一緒に過ごす日々はきっと楽しい。
だけど恋物語の様な物だと、誰よりも一番大事に感じる相手、などと書いている事が多い。
二人に男相手にする程の感情が有るかと言われれば、申し訳は無いけど男の方が上である。
となるとそれは恋や愛とは違う物なんだろうなぁ、と首を傾げながら考える少女
という事で結局また良く解らなくなる少女は、うにーっと唸りながらベッドに体を投げ出した。
何だかもう良く解らない事を考え続けて疲れてきた様子である。
少女にとっては理解不能な事を理解しようと頑張っている訳なので。
そこにずっと隣に座っていた猫が心配気にぶなぶなと鳴き、少女の手をペロペロと舐める。
少女はえへへーと笑いながらお返しに頭を撫でると、気持ち良さそうに手を受け入れ、頭をスリスリとこすりつけ始める猫。
既に何の為に少女に近づいたのか忘れてただ甘えており、ぶな~鳴いて完全に脱力している。
そんな猫の毛皮を無心で撫でていると、少女は少しだけ心が落ち着いてくる気がしていた。
そしてそのおかげか、少女は一つの結論に至る。
良く解らないし、解るまで保留で良いや、と。つまり何時も通りである。
結局そういった感情は理屈では無いので間違ってはいないのだが、結果として少年と虎少年が苦労する結論に至ってしまった。
やはり相変わらず、少女に恋愛感情が芽生えるのはまだまだ先の様だ。
ただし以前とは違う部分がある事に、本人が全く気が付いていない。
男を特別視するのは今まで通りで、女に対しても確かに変わらないだろう。
だがそれでも以前なら、男と虎少年と少年を同項目、では考えなかったはずだ。
今の少女はあの二人を恋人としての相手、という項目で考える事をした。
それは単純に「対象に成り得る」という認識とも言える。
結局本人は無自覚なままの変化なのだが、それでもきっと大きな変化だろう。
ただし結局良く解っていないので、反応が相変わらずで回りも本人も変化に気が付いていないのだった。
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