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233、サイドカー。
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今日の少女は使用人服ではなく、可愛らしい服装に身を包んでいた。
そして女にお出かけ用の帽子を被せて貰い、にへーっと嬉しそうな笑顔を向ける。
むふーと満足気に息を吐きがなら、ぽってぽってと女に手を引かれて玄関に向かう少女。
そんな少女を見つめる女の様子は説明するまでも無いだろう。
「あ、今日は帽子を被ってるんだね」
玄関が見えて来るとそんな声が少女の耳に入る。
少女はその声にすぐに反応し、ぶんぶんと元気良く手を振った。
声の主は虎少年で、くすくすと笑いながら手を振り返している。
「角っ子ちゃんはお出かけの際は帽子を被るのよん」
「ああ、そういえば空港でも被ってましたね」
見送りなのか隣に居る彼女の言葉に成程と納得する虎少年。
少女は虎少年の真正面まで来ると、帽子を両手で掴んでニマーと一層の笑顔を見せる。
虎少年はいたくご機嫌な少女に手を差し出し、少女は空いている手でその手を掴む。
そこで女はすっと手を離すと、ニコニコと笑顔で見つめあう二人を鋭い眼光で見送った。
「それじゃ、行こうか」
虎少年はエスコートする様に少女の手を引き、少女は何時も通りぽってぽってと付いて行く。
玄関を開けた所で少女は後ろを振り返り、女に手を振ってから前に向き直る。
女は不意打ちだった為か、眉間の皺を更に深くしながら手を振り返していた。
隣で彼女は「この人のこれ、いつになったら治るんだろう」などと考えている。
この状況がどういう事か説明すると、単純に虎少年とお出かけに行く事になったのだ。
元々は虎少年が少々街に用事が出来て少し出かける旨を女に伝えたのだが、気が付くと少女と一緒に街にお出かけになっていた。
何処でどうなってそういう結論になったのか虎少年は悩んだが、ここの人達にそんな当たり前の思考は通用しないと途中で諦めている。
「ん、来たね」
二人が外に出ると、ちゃりっと鍵を指で弄んでいる私服姿の複眼が声をかけた。
その服装はパンツルックなのだが、皮のパンツに革ジャンとライダー仕様だ。
背後にはサイドカーの付いた大型二輪が有り、サイドカーは二人乗りが出来る物になっている。
因みに複眼の物ではなく、どちらも女の物だ。
「はい、ヘルメット」
複眼は二人にヘルメットを渡し、虎少年は素直に被るが少女はそこで固まってしまった。
ヘルメットを被ると帽子が潰れてしまう、だけど帽子は外しては駄目だと言われているし、という風に答えが出ずにフリーズしている。
「ちみっこ、一回被って外してみたら良いよ」
複眼に声をかけられて再起動し、恐る恐るメットを被り、そして外してみる少女。
すると帽子はふわっと膨らみ、元通りの形に戻った。
ふわーと声を上げて驚きはしゃぐ少女に、複眼は優しく頭を撫でて落ち着かせる。
「ね、これは大丈夫な奴だし、もし潰れても元に戻す方法は有るから。さ、メット被ったら出発するよ。虎ちゃんも乗って・・・虎ちゃん後ろね。ちみっこスカートだし」
「あ、はい、そうですね、後ろ側に風避けないですもんね、これ」
複眼に言われた通り、素直にサイドカーの後ろに乗る虎少年。
少女は良く解らずに首を傾げながら前に乗り、初めてのサイドカーにワクワクしている。
車とはまた違う目線に何とも言えない楽しさが込み上げている様だ。
「んじゃ、ちゃんと捕まってるように。飛ばさないけど何が有るか解らないからね」
「はい、ここで良いんですよね、掴む所」
「そうそう。ちみっこも前に持つところあるから掴んでおく様に」
少女はハーイと元気よく手を上げてから、しっかりと掴んで、メキッと音が鳴った。
テンションが最高潮になりかけていた少女だが、その瞬間真っ青になる。
恐る恐る手を放して確認すると、掴む部分が少女の手の形に潰れていた。
「・・・ちみっこ、もう少しだけ、加減してね」
複眼に少し困った様子で注意され、プルプルと震えながらコクコクと頷く少女。
久々にやってしまった事にへこみながら、今度はそっと握るのであった。
そして女にお出かけ用の帽子を被せて貰い、にへーっと嬉しそうな笑顔を向ける。
むふーと満足気に息を吐きがなら、ぽってぽってと女に手を引かれて玄関に向かう少女。
そんな少女を見つめる女の様子は説明するまでも無いだろう。
「あ、今日は帽子を被ってるんだね」
玄関が見えて来るとそんな声が少女の耳に入る。
少女はその声にすぐに反応し、ぶんぶんと元気良く手を振った。
声の主は虎少年で、くすくすと笑いながら手を振り返している。
「角っ子ちゃんはお出かけの際は帽子を被るのよん」
「ああ、そういえば空港でも被ってましたね」
見送りなのか隣に居る彼女の言葉に成程と納得する虎少年。
少女は虎少年の真正面まで来ると、帽子を両手で掴んでニマーと一層の笑顔を見せる。
虎少年はいたくご機嫌な少女に手を差し出し、少女は空いている手でその手を掴む。
そこで女はすっと手を離すと、ニコニコと笑顔で見つめあう二人を鋭い眼光で見送った。
「それじゃ、行こうか」
虎少年はエスコートする様に少女の手を引き、少女は何時も通りぽってぽってと付いて行く。
玄関を開けた所で少女は後ろを振り返り、女に手を振ってから前に向き直る。
女は不意打ちだった為か、眉間の皺を更に深くしながら手を振り返していた。
隣で彼女は「この人のこれ、いつになったら治るんだろう」などと考えている。
この状況がどういう事か説明すると、単純に虎少年とお出かけに行く事になったのだ。
元々は虎少年が少々街に用事が出来て少し出かける旨を女に伝えたのだが、気が付くと少女と一緒に街にお出かけになっていた。
何処でどうなってそういう結論になったのか虎少年は悩んだが、ここの人達にそんな当たり前の思考は通用しないと途中で諦めている。
「ん、来たね」
二人が外に出ると、ちゃりっと鍵を指で弄んでいる私服姿の複眼が声をかけた。
その服装はパンツルックなのだが、皮のパンツに革ジャンとライダー仕様だ。
背後にはサイドカーの付いた大型二輪が有り、サイドカーは二人乗りが出来る物になっている。
因みに複眼の物ではなく、どちらも女の物だ。
「はい、ヘルメット」
複眼は二人にヘルメットを渡し、虎少年は素直に被るが少女はそこで固まってしまった。
ヘルメットを被ると帽子が潰れてしまう、だけど帽子は外しては駄目だと言われているし、という風に答えが出ずにフリーズしている。
「ちみっこ、一回被って外してみたら良いよ」
複眼に声をかけられて再起動し、恐る恐るメットを被り、そして外してみる少女。
すると帽子はふわっと膨らみ、元通りの形に戻った。
ふわーと声を上げて驚きはしゃぐ少女に、複眼は優しく頭を撫でて落ち着かせる。
「ね、これは大丈夫な奴だし、もし潰れても元に戻す方法は有るから。さ、メット被ったら出発するよ。虎ちゃんも乗って・・・虎ちゃん後ろね。ちみっこスカートだし」
「あ、はい、そうですね、後ろ側に風避けないですもんね、これ」
複眼に言われた通り、素直にサイドカーの後ろに乗る虎少年。
少女は良く解らずに首を傾げながら前に乗り、初めてのサイドカーにワクワクしている。
車とはまた違う目線に何とも言えない楽しさが込み上げている様だ。
「んじゃ、ちゃんと捕まってるように。飛ばさないけど何が有るか解らないからね」
「はい、ここで良いんですよね、掴む所」
「そうそう。ちみっこも前に持つところあるから掴んでおく様に」
少女はハーイと元気よく手を上げてから、しっかりと掴んで、メキッと音が鳴った。
テンションが最高潮になりかけていた少女だが、その瞬間真っ青になる。
恐る恐る手を放して確認すると、掴む部分が少女の手の形に潰れていた。
「・・・ちみっこ、もう少しだけ、加減してね」
複眼に少し困った様子で注意され、プルプルと震えながらコクコクと頷く少女。
久々にやってしまった事にへこみながら、今度はそっと握るのであった。
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