角持ち奴隷少女の使用人。

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215、皆でお昼寝。

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使用人達だけでのんびりとお茶の時間を設け、少女もそこに混ざっている。
女は基本的にこの手の場に居ないが、居ても皆の態度は変わらないだろう。
むしろ少女にとっては、女が居る方が喜ばしいかもしれない。
因みに本日は単眼の膝の上である。最早単眼が居る時は定位置になっている気がする。

「おチビちゃん、最近虎ちゃんにべったりで、ちょっと寂しいなー」

単眼が寂しそうにそう告げると、少女はごめんねとキューっと抱きつく。
そして確かに言われる通り、最近は虎少年とずっと一緒だったと振り返る少女。
ならば今日は単眼と一緒に居ようと、単眼の指先をきゅっと握ってフンスと気合を入れている。

「えへへ、ありがとう」

単眼がにへっと笑いながら感謝を伝えると、少女も同じ様にへへっと笑顔で応える。
眺めているだけでまったりする様な空間がそこに出来上がっている。

「えー、角っ子ちゃん、あたしはー? ねえねえ、あたしはー?」

そこで彼女が少女の頬をツンツン突つき、アウアウとのけ反りコロンと転がってしまう少女。
膝の上でふみ度止まり過ぎると単眼が痛いからと力を抜いてたせいなのだが、コロコロと転がった後にもたもたと起き上がる様はハムスターの様だ。
それが全て単眼の膝の上での出来事、というのが尚の事可愛らしい。

「私は天使ちゃんが楽しそうなら別に構わないけど」
「・・・私は突っ込まないわよ」

羊角の言葉に複眼は静かに応えているが、その時点で最早突っ込んでいるのと変わらない。
当然だが羊角はカメラを構えており、コロンコロンしている少女を満面の笑みで撮影している。
虎少年との出来事もこの調子なので、羊角に不満が無いのは当たり前だろう。
羊角にとっては少女がただそこに在れば良いのだ。

「台所の主は狡いよねー。定期的に角っ子ちゃんとお料理教室してて」
「アンタは散歩で何時も一緒に行ってるじゃない。朝夕殆ど」

確かに複眼は少女と一緒に台所にいる率が低くない。
少女は犬と猫の手料理を振舞う事もあり、その監督もお願いしているのだから。
だが犬の散歩に少女は基本的について行くので、時間的には彼女の方が長いぐらいだ。

「でもこうやって暖かい部屋で角っ子ちゃん抱えて転寝とか、最近してないんだもーん」
「拗ねても可愛くないから止めなさい」
「ひどーい。可愛いよねー。ねー、角っ子ちゃん」
「ちみっこ、はっきり言って良いよ。ぶりっこする歳を考えろって」
「はっ、何時もむっつり顔よりは良いと思うけどね」
「誰がむっつりなのよ」

言い争いを始めそうな二人の様子に、少女がオロオロと慌てて二人の袖を握る。
喧嘩は駄目だよ、というよりも、喧嘩しちゃやだ、と甘える様な様子で。

「だーいじょうぶ角っ子ちゃん、こんなのちょっとした軽口だよー」
「そうそう」

彼女は少女に抱きついて頬をスリスリし、複眼は笑顔で頭を撫でる。
少女はほっと息を吐き、自分もスリスリと彼女にすりつき始めた。
実際は二人共少し苛っとしていたので、止めないと言い合いが始まっていただろう。
とはいえ本気の喧嘩ではないので、二人の言う事もさして間違ってはいないが。

「そうだ、皆でお昼寝しよう」
「何『閃いた』みたいな態度で訳の解らない事言ってんの、アンタは」
「魅力的だけど、お仕事サボリはねぇ」

彼女は名案のように口にするが、周囲の反応は芳しくない。
少女もお仕事はさぼっちゃダメなんだよ、という感じに見つめている。

「だからさぼらない程度にお昼寝するんだって。ほらほら、角っ子ちゃん、ベッドに転がってぎゅーって・・・ぎゅぅー・・・あー・・・本寝する」

少女を抱き抱えたままベッドに移動し、ゴローンと転がる二人。
キュッと抱きつく少女の暖かさに、彼女は数秒で眠りそうになっている。
今更だが今日は単眼の部屋でのお茶会なのでベッドはかなり大きい。
大きなベッドで少女が転がると、尚の事小さく見える。

「あ、狡い、私のベッドなのに。私も転がるー。あー・・・おチビちゃん暖かいねぇ」

単眼もベッドに向かうと彼女ごと少女を抱え、心地よさそうに目を瞑る。
少女も単眼の手を握り、同じ様に心地良さげに目を瞑っていた。

「時間になったら起こすからねー」

三人が転がるのを見てそう告げると、一人静かにお茶を飲む複眼。
だが何となく三人の空気に当てられたのか、少しばかりまったりとした眠気を感じている。
少女達の様に寝る気は無いが、心地よい感覚に抵抗しなくても良いかと目を瞑る複眼だった。






尚、羊角だけは皆がウトウトする中、一人ちゃんと起きていた。

「天使ちゃんの寝顔はほんと天使だわぁ・・・」

ただし確りと撮影して寝顔を見つめていたので、本人はそれで幸せな様である。
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